JR北海道のニセコエクスプレスが老朽化により廃車になって早1年半が経ちます。個人的には座席の相性が悪く、乗っていてなぜか体が疲れる車両でしたが、それもまた懐かしい思い出です。
ニセコエクスプレスは昭和63年にJR北海道苗穂工場で製造されました。「アルファコンチネンタルエクスプレス」(アルコン)や「トマムサホロエクスプレス」(トマサホ)などと肩を並べる初期のJR北海道を彩ったリゾート列車の一つに数えられます。ニセコエクスプレスがアルコンやトマサホと大きく違うのは、既存車両の改造ではなく新製されたことです。
冬場は千歳空港・札幌~ニセコ間のスキー列車として運転されていました。スキーシーズン以外は特急「フラノラベンダーエクスプレス」や「ヌプリ」・「ワッカ」など臨時列車にも充当され、道内各地を走りました。
また、変り種としては6年前にエンジン火災の影響でキハ183系の一部が使用停止になり車両不足となったため、特急「北斗」の代走として動員されたこともあります。3両編成だったので、指定席も自由席も乗客満載でしたが…。
ニセコエクスプレスのさよなら運転は平成29年10月29日と11月3・4日に行われ、それぞれの日で、倶知安~蘭越間およびニセコ~倶知安間の2種類の栞タイプの記念乗車券が1000枚限定で発売されました
こちらの倶知安~蘭越間の記念乗車券のデザインは苗穂工場で落成したばかりの写真です。正面にNisekoのロゴが入り、先頭車の上部には"Niseko Express"の塗装もされており、ラストランの頃の印象とはだいぶ異なります。発売日は予め印刷されています。
唐突にニセコエクスプレスを取り上げたのは、ニセコエクスプレスの車両をニセコ町で保存するためのクラウドファンディングが立ち上がってることを知ったためです。3両編成のうち先頭車のキハ183-5002と中間車のキハ182-5001の2両は既に解体されていて、残る先頭車のキハ183-5001の保存を目指すんだそうです。
ギロチン(先頭部分7mのみ)での保存に860万円、1両丸ごとで950万円要するそうです。ここからクラウドファンディングの胴元に200万円超の手数料を抜かれるのはかなり痛い感じはしますが、それを差し引いても鉄道車両を1両保存するにも結構な大金がかかるもんだなというのが実感です。
北海道新幹線が札幌まで開通する際には函館本線の函館〜小樽間は並行在来線になり、JR北海道の経営から切り離されます。その際はおそらくいわゆる山線(長万部〜小樽間)は一部もしくは全部が廃線になると予想しています。ひょっとしたら鉄路がなくなるかもしれないニセコの地にニセコの名がついた車両を保存し、その歴史を後世に伝えていくというのは意義があると思います。
なので、私も少々保存に協力するつもりです。ギロチンではなく何とか1両丸ごと保存して欲しいものです。プロジェクトが成功し無事に保存されたら、相性の悪かった座席に当地で再び座ってみたいと思っています。
【補足:2019/5/28】
クラウドファンディングは1000万円ちょっとを集めて昨日で終了し、めでたくニセコの地で1両保存されることが決まりました。まずは一安心です。