昨年7月の西日本豪雨の復興支援の第2弾として、愛媛県とJR四国と愛媛県観光物産協会が連携し、10月から12月にかけて「疲れたら、愛媛。愛ある南予フリーきっぷ」(以下「南予フリーきっぷ」)という大変個性的な名前のきっぷが発売されています。きっぷの名称に「疲れる」というネガティブな意味を含む単語が含まれるのは過去に例がないと思います。
期間中の土休祝日に松山~宇和島間の特急列車の自由席が1日フリーで利用できて大人1,000円というもので、昨年の同時期に発売された「がんばってます!南予 南予観光きっぷ」と同じ効力です。
今年の「南予フリーきっぷ」は前日発売枠と当日発売枠が用意され、前日発売枠は使用する1ヶ月前~前日まで購入可能で、購入時に松山〜宇和島間の沿線に宿泊することがわかるもの(予約画面や領収書等)を呈示する必要があります。当日発売枠は3連休の当日朝からの発売でした。
発売条件の違いは以下のとおりです。
発売箇所 | 発売期間 | 発売条件 | 1日あたりの 発売枚数 |
|
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前日発売 | 松山駅 ワープ松山支店 |
10/5~12/1の間の 土日祝日 |
松山~宇和島間沿線での 宿泊が条件 |
10枚 |
当日発売 | 松山駅 | 10/12~10/14と 11/2~11/4 |
なし(先着順) | 50枚 |
前日発売は期間中の土休祝日が20日なので10枚×20日で200枚の割り当て(10月22日の即位の礼は対象外だったっぽいです)、当日発売は50枚×6日分で300枚の割り当てで、トータル500枚しか発売されません。昨年の「南予観光きっぷ」が550枚だったので、規模が縮小されています。
まずは前日発売に期待して、ワープ松山(=旅行センター)にFAXなりメールなりで予約が確認できるものを送付して、その上で発券してもらえるか電話で聞いてみたところ、不可で営業時間内での来店が必要とのことでした。
私が電話で問い合わせた10月8日時点で、当初利用を考えていた11月2日分は既に2枚売れていて残り8枚でした。おそらく前日より前に売り切れていた可能性が高いです。遠方からの旅行客よりも、松山近辺在住もしくは事前に松山に来て入手する手段がある人の方が有利になっていて、このきっぷのターゲットが観光客であればこの扱いは疑問です。これだったら去年のような旅行商品との抱き合わせや旅館組合を通じた注文の方がまだマシです。
ということで、当日発売に賭けるしかなくなりました。登山家が目の前の山が高く困難であればあるほど燃えるのと同様に、きっぷヲタにとっても入手条件が厳しいほど燃えます(ちょっと違う?)。今年も絶対に買うことを目標に松山入りしました。
松山駅のみどりの窓口が開くのは朝4:50です。岡山・高松方面始発の「しおかぜ・いしづち4号」が5:05に発車するので超早いです。念には念を入れて4時起きし、4:40にホテルをチェックアウトしてタクシーで松山駅へ向かいました。
タクシーを拾うのに手間取り4:55に松山駅のみどりの窓口に着いて、最初に飛び込んできた掲示がこれです。今年は5:20から発売なんてHPのどこにも記載されていなかったんですが…。睡眠時間30分損しました。それと1人2枚制限についてもHPには記載されていませんでした。
そして、購入時は現金扱いのみと言われました。家に帰ってから愛媛県のHPを見てみると、確かに1人2枚制限や現金扱いのみということは記載されていました。JR四国のHPから記載が漏れたと思われますが、そういう大事なことは漏らさないで欲しいものです。
いろいろと腑に落ちないことはありましたが、無事に購入できた「南予フリーきっぷ」を有効利用してきました。
せっかく早起きしたので、駅前の温泉で朝風呂に入った後に始発列車に乗って下灘駅へ行きました。ホームから海が見える駅として知る人ぞ知る存在でしたが、最近はインスタなんとかで有名になってしまい、休日になると周囲の道路が渋滞するほど車で多くの人が押しかけます。朝早ければ人がいないだろうと見込んで行ったところ、思惑どおりかつてのような海辺の静かな駅の雰囲気が楽しめました。たまには早起きもいいことがあります。
その後は宇和島に移動し、ちょうど開催されていた宇和島運転区の公開イベントである「鉄道の日ふれあい祭り」に足を延ばしました。宇和島駅と宇和島運転区を結ぶこの日限りのシャトル列車で構内に入場し、一部で物議を醸し続ける四国新幹線や「かっぱうようよ号」も間近で見ることができました。
完全にネタですが、「ンョ゛ハー゛」の看板で一躍有名になってしまった大洲市にあるショッパーズ長浜店にも寄ってきました。全国的に広まってしまったため、駐車場には他府県ナンバーの車も止まっていましたが、列車で来た人は少ないと思います。伊予長浜駅から徒歩10分ほどのところにあります。
ネタのついでに(?)重要文化財の長浜大橋も見てきました。ショッパーズ長浜店から徒歩3分ぐらいのところにある昭和10年に建造された日本最古の現役の開閉橋です。「赤橋」という別名があります。「伊予灘ものがたり」の車内から見たことはあるんですが、間近で見たのは初めてでした。戦時中の米軍の機銃掃射の跡もしっかり残っていました。
「疲れたら、愛媛」という券名には愛媛に来て日頃の疲れを癒してほしいという意味合いを込めたと思いますが、私の場合は4時起きしてきっぷの入手から始まり、帰りの飛行機までフルで動き回ったのでぐったり疲れ、「疲れたぞ、愛媛」状態でした。やりたいことは全部できて楽しかったんでそれはそれで満足だったんですが。
この記事を一旦書き終えて数日経った11月11日に衝撃のプレスリリースがありました。「南予フリーきっぷ」が好評のため、当日発売分を追加発売するとのことでした。私が3連休でホテルが高い時期に松山に行って、4時起きしてタクシーを飛ばしてまで仕込んだのは一体何だったんだろうか?と思いました。
11月23・24・30日に50枚ずつ追加発売されるそうなので、興味を持った方は行ってみてください。松山駅で朝5:20からの発売で現金のみで1人2枚制限なのは変わりません。
いちおう評価の方もしておきます。入手は大変ですが、松山→伊予大洲の片道の特急利用だけで元が取れるので、価格は間違いなく安いです。爆安の部類に入ります。でも、早起きは辛いです。
使い勝手:★★★★★
お得感:★★★★★
当日発売:あり
小児用:なし