続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

クリスタルEXPラストラン

クリスタルエクスプレス

◆種別:特急

◆区間:札幌~富良野

 JR北海道の「クリスタルエクスプレス トマム&サホロ」(以下「クリスタルEXP」)は1989(平成元)年12月に登場したリゾート気動車です。石勝線のリゾート輸送を目的として自社で設計・製造されました。形式はキハ183系5100番台で、最高時速が120Kmと高速走行も可能です。 

 主に札幌からトマム・サホロへ向かうリゾート列車として運転されていましたが、トマム・サホロ方面へは2013(平成25)年を最後に運転されなくなり、最近では「フラノラベンダーエクスプレス」として富良野へ行くリゾート列車のイメージが強いかもしれません。

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クリスタルエクスプレス号:函館線・高砂駅 2019/9/29

 シルバーの車体に青と黄緑の細い帯が入った近未来感あふれる車体で、4両編成の両先頭車は展望車です。さらに3号車は2階建てのキサロハ182系という車両です。2階席は普通車の座席で、1階席は3室の普通個室があります。気動車で初の2階建て車両で、もともとはグリーン個室だったようですが、近年では普通個室として運用されています。普通個室は山陽新幹線の700系E編成(レールスター)でありますが、在来線は今ではこの列車だけだと思います。

 普通個室は8年前に乗っています。「ふらの・びえいフリーきっぷ」用に割安のオプション券を発売していて、それを利用しました。当時は今ほどインバウンドの観光客が多くなく、3連休の中日でも苦労せず指定が取れ半分ぐらいは空席でした。 


 「クリスタルEXP」は今年9月28・29日をもって運転を終えることになりました。登場から30年経ち老朽化したというのがその理由です。その発表が8月9日だったのでずいぶん唐突だなと感じたんですが、前々から噂はあったようです。後でプレスリリースを遡って読み返してみると、しばしば車両不具合で別の車両に交換になっていたので、老朽化というのは事実なんでしょう。

 9月23日までは札幌~富良野間の特急「フラノラベンダーエクスプレス3・4号」として運転され、9月28・29日はラストランとして同区間を特急「クリスタルエクスプレス」として運転されました。

 最後に乗ろうかなと思ったものの、特急「クリスタルエクスプレス」の指定は取るのにかなり苦労しました。まず、「えきねっと」には非対応で、1ヶ月前の発売日は台湾にいて10時打ちに参戦できませんでした。旅先の駅で空席照会をするものの、ことごとくダメでした。日付を変えても上り下り入れ替えても区間を細切れにしても結果は同じでした。結局、指定が取れていないまま28日に北海道入りしました。

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 指定が取れたのは28日の夜8時ごろでした。今まで「満席です」と言われ続けてきたものが、「富良野~滝川間が1席だけ空いてる」と言われたのですぐ押さえてもらいました。

 最悪、撮るだけで終わることも覚悟しかけていただけに、取れた時には久々に手が震えました。こうして取れてみると、北海道の列車のラストランなので、JR北海道管内で指定が取れてよかったです。(2-タ)よりは(1- )の方がいいですね。そこまでこだわる人は稀かもしれませんが。

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クリスタルエクスプレスラストランの様子:富良野駅 2019/9/29

 私が乗車した最終日の札幌行の列車の発車前には富良野駅でセレモニーが開催され、駅の内外に多くの人で賑わっていました。乗車率は7~8割程度でした。全然空きが出ず指定の確保に苦労したにもかかわらず、満席にはなっていませんでした。残念ながら、きっぷだけ買って乗らないという人が一定数はいるようです。

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クリスタルエクスプレスの普通個室 2019/9/29

 普通個室は発売されませんでした。その代わり3室とも係員立会いの下で室内に立ち入れることができ、記念撮影用のボードも用意されていました。やっぱり最後に個室を見たいという人はそれなりにいるでしょうから、下手に発売するよりはこの方法がよかったんじゃないかと思いました。

 偶然ながら、私が立ち入れたのは8年前に乗車していた2番の個室でした。結婚前の嫁とその両親を九州から呼んで夏の富良野にアテンドするという、今考えると無謀極まりない旅の往路に利用した部屋でした。

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クリスタルエクスプレス号:函館線・滝川駅 2019/9/30

 1時間ほどで滝川駅に到着してしまいました。そして、札幌へ向かう「クリスタルエクスプレス」を静かに見送りました。たくさんあった北海道のリゾート列車がまた一つなくなることに一抹の寂しさを感じました。

 ラストランを終えたクリスタルエクスプレスは11月に入って五稜郭に回送されました。保存という話は出てなさそうなので、おそらく解体されるんだと思います。ただ、2階建てのキサロハ182-5101だけ抜かれて苗穂運転所の片隅に留置されていますので、気動車初の2階建て車両として保存されるのかもしれません。