続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

仙台ひたち復活

ひたち3号

◆種別:特急

◆区間:上野~仙台

 今年3月14日のダイヤ改正で常磐線・富岡~浪江間が復旧し、2011(平成23)年の東日本大震災に伴う福島第一原発の事故で不通になっていた常磐線が全線で運転を再開しました。あの原発事故を見たときは私が生きている間に復旧しないのではないかと思いましたが、9年で再開に漕ぎ着けました。

f:id:imadegawa075:20200411100247j:plain

上野駅の電光掲示 2020/3/14

 品川・上野~仙台間には特急「ひたち」が3往復設定されました。震災前は上野~仙台間が3.5往復、上野~原ノ町間が2往復、いわき~仙台間が0.5往復の「スーパーひたち」が運転されていました。本数はだいぶ減っていますが、福島県浜通り地方と東京・仙台への鉄道が復活したことはまずはめでたいと思います。

 私は仙台の大学に在学していたので、就職活動で毎週のように「スーパーひたち」を利用していた時期があり、JRの特急の中では一番思い入れのある列車です。なので、再開の日には絶対に一番列車に乗りたいと思っていました。

 10両編成で席数が多いので、朝一で「えきねっと」の事前予約を仕込んでおけば取れるだろうなと思っていました。ところが発売日10時過ぎに届いたのは「(満席)JR指定席をご用意できませんでした【えきねっと】」という予想外のメールでした。

 びっくりして「えきねっと」を開いてみると、確かに上野→仙台間は満席でした。しかし、全席全区間埋まっていることはさすがにないだろうと思い、いわき→仙台間で調べてみると〇でした。上野→いわき間も〇で、いわき分割であれば上野→仙台間が確保できることに気づき、いったんは席を押さえました。

f:id:imadegawa075:20200411102514j:plain
f:id:imadegawa075:20200411102829j:plain
水戸分割の空席状況(2/14 11時時点)

 そうなると、上野~A、A~仙台のAに相当する分割点を調べ、どの範囲で分割すれば指定が取れるのか気になったので調べてみました。その結果、勝田~いわき間であれば分割可能という結論に達しました。水戸だと上野→水戸間は〇でしたが、水戸→仙台間が満席でした。逆に広野だと上野→広野、広野→仙台ともに満席でした。

 これはおそらく発売制限をかけたんだと思います。発売制限とはJRが存在を公にはしていませんが、一般的には長距離客が不便を蒙らないように短区間指定席の発売を発売開始から一定期間制限することです。下り「あずさ」で新宿→甲府は満席でも新宿→松本だと空席がある場合なんかが一例です。今回の場合は上野から水戸やいわきなどある程度需要の多い比較的近距離客のために、逆に上野・柏・土浦・水戸→いわき以北の長距離客(≒鉄ヲタ)に制限をかけたのかなと推測しました。

f:id:imadegawa075:20200411022256j:plain

f:id:imadegawa075:20200411022306j:plain

f:id:imadegawa075:20200411022245j:plain

 結局、シートマップで同じ席が空いていたので常陸多賀分割で購入しました。座席未指定券に「えきねっと」で確保した指のみ券2枚を添付することで、特急料金は分割されることなく通しで発券できました。

f:id:imadegawa075:20200411103550j:plain

f:id:imadegawa075:20200411103824j:plain

ひたち3号 仙台

 震災前は651系「スーパーひたち」だったものがE657系「ひたち」になっての復活でしたが、上野駅で「ひたち3号 仙台」の表示を見ると、感慨深いものがありました。就活がしんどくてとてつもなく不安だった頃を少し思い出しました。

f:id:imadegawa075:20200411104612j:plain

上野駅でのひたち3号のお見送り 2020/3/14

 上野駅をはじめ沿線での見送りは盛大でした(特に福島県内)。BRTに転換された区間を除き、これで東日本大震災で不通になっていた区間が全線再開したので、関係者にとってもこれで一区切りという思いはあったのでしょう。

 「ひたち」は全車指定席とはいえ、座席未指定券を発売するので、指定が取れていなくても立席であれば合法的に乗ることはできます。なので、デッキにも常時人が立っていたり、空席があればすかさず座りにくる人もいて、座席定員以上乗っていたと思います。また、車内販売はいわきまでの乗務でした。

 車窓の風景で釘付けになったのは、やはり再開した富岡~浪江間でした。この辺りはつい最近まで帰還困難区域に指定されていて、立ち入りすら許されませんでした。人気がなく、壊れたまま放置された建物や耕作できずに放置され荒涼とした農地が広がる車窓は厳しい現実を物語るようでした。

f:id:imadegawa075:20200416094608j:plain

f:id:imadegawa075:20200416094618j:plain

仙台駅に到着したひたち3号 2020/3/14

 線路内人立ち入りや混雑の影響で仙台には8分遅れで到着しました。いわき以北で震災前は複線だった区間を一部単線で復旧させたため、震災前は上野~仙台間が4時間ちょっとだったのが4時間半かかるようになっていました。

f:id:imadegawa075:20200416100017j:plain

駅は再開してもバリケードで封鎖されたままの大野駅前の商店街 2020/3/14

 この後、原ノ町に戻ってレンタカーを借りて再開区間を見て回りました。常磐線の再開に合わせて駅と鉄道施設周辺を優先的に除染をして帰還困難区域の指定解除したので、真新しい駅と駅周辺とは対照的に、バリケードの向こうは9年前のあの日から時間が止まっていて、今も立ち入りは出来ません。常磐線の再開で人の行き来も再開させ、さらに復興を促進していくんでしょうが、前途は多難だなという印象を強くしました。

 せっかく常磐線が再開したことですし、新型コロナウィルスが落ち着いたら原発被災地の今を見てみることをオススメしたいです。