続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

高輪ゲートウェイ

 JR東日本は2012(平成24)年に山手線・品川~田町間にあった田町車両センターを廃止し、その跡地を再開発し新駅を建設する計画を発表しました。その後、その駅名を公募したまではよかったんですが、「高輪」や「芝浦」といった上位の名前は採用されず、36位の「高輪ゲートウェイ」に決まりました。これには賛否両論(否の方が圧倒的に多い)あり、駅名撤回を求める署名運動まで起きました。

 JR東日本には「前科」があります。2002(平成14)年の東北新幹線八戸開業の際にも列車の愛称を公募していたんですが、トップ10にも入らなかった「はやて」に決まりました。公募の結果を考慮しないのはこの頃からです。

 なので、36位の駅名が採用されたと聞いた時には「ああ、またやりおったな」と思いました。絶対に1位の案を採用すべきとは言いませんが、公募する以上は常識的に変なものでない限り上位の案が採用されるべきだと思います。

 とはいえ、駅の所有権は一義的に鉄道会社のもので、その駅名の最終的な決定権も鉄道会社にあります。外野が署名運動をしたところで、決まってしまったものは諦めるしかありません。

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高輪ゲートウェイ駅改札 2020/3/15

  駅周辺の再開発エリアは「グローバルゲートウェイ品川」と名付けられており、駅名に「グローバル」か「ゲートウェイ」を入れたかったんじゃないかと思います。「グローバル」だと意味が広すぎますから、所在地の高輪と「ゲートウェイ」をくっつけて、適当な理由を後付けして「高輪ゲートウェイ」を仕立て上げたのでしょう。

 おそらくこれはずっと前<少なくとも発表前>に代々木の本社の高層階の爺さんたちの間では決まっていて、新駅の機運を盛り上げるために公募というアリバイ作りをし、われわれはその盛り上げ役として付き合わされただけなんでしょう。「悪名は無名に勝る」なんて言いますから、開業前の話題づくりとしては大成功です。これも広報戦略の一つだとしたら身も蓋もない話ですが。


 その高輪ゲートウェイ駅は今年3月14日に開業しました。開業前からこれだけ有名になった駅はなかったと思います。なので、東京では新型コロナウィルスの感染拡大が心配されつつある中で、初日には5万人を超える人が詰めかけました。券売機で初日のきっぷを買うだけで最長4時間も並んでいたそうです。

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高輪ゲートウェイ駅構内 2020/3/15

 私が行ったのは開業翌日でした。ソコソコ人はいましたが、初日よりは全然少なかったと思います。きっぷはほぼ並ばずに買えました。

 周囲をガラス張りにしてホーム上の柱を極力なくし、吹き抜けにすることで明るい開放感を出していました。第一印象では吹き抜けは北大阪急行の千里中央駅に、ホーム上の柱が少ないのは新しくなった東京メトロ銀座線の渋谷駅に似てるなと思いました。

 駅業務は子会社に委託されています。あれだけ宣伝しておきながら、直営駅でなく社員がいないのは軽い驚きでした。また、みどりの窓口はありません。山手線内でも閉鎖された駅は増えていますし、むしろ近年のJR東日本の新駅では設置される方が稀です。駅運営のコスト削減は抜かりなくやっている印象です。

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漢字とカタカナの文字の大きさが異なる

 高輪ゲートウェイは8文字なので、マルスのきっぷで区間表記がどうなるか興味がありました。結果、高輪ゲートウェイと具合に漢字に比べてカタカナが少し小さくなっています。発売箇所表記は「高輪ゲートVF2」と略されています。この端末も含め指定席券売機は3台設置されていて、他にVF1とFC3(カード専用機)があります。ちなみに指定席券売機に入場券口座はありません。

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無効印は「高輪ゲート」

 また、無効印も「高輪ゲート」という略され方をしています。三ノ宮から「サンライズ瀬戸」のシングルデラックスを利用して帰ってきた時のものです。 

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高輪ゲートウェイ駅改札内の無人コンビニ 2020/4/14

 改札内には「TOUCH TO GO」という無人のコンビニもありました。入店時に顔認証し、欲しい商品を棚から選んでICカードで精算する仕組みです。店内のカメラや商品棚の重量計を組み合わせてどの商品をいくつ取ったかをAI(人工知能)で判断するんだそうです。私もコーヒーとお菓子を買ってみましたが、問題なく利用できました。

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試験中の自動改札機:高輪ゲートウェイ駅 2020/4/5

 改札口にはQRコードに対応した新型の自動改札機が設置されていました。現在はIC専用改札として運用されていますが、今後QRコードのきっぷのモニター試験を行うそうです。国内ではQRコードのきっぷはまだまだ少数派ですが、将来はJRでも導入されるかもしれません。ところで、IC読み取り部がこの向きだと、ハンドバッグに入れたICカードが意図せず反応してしまわないか密かに心配です。

 高輪ゲートウェイは駅であると同時に、将来に向けた新技術の実験場でもあるんだなと感じました。駅構内や周辺は工事が続いていて駅周辺はまだ何もありません。オリンピックに間に合わせるためだけに開業した感は否めませんが、新技術が楽しいと思う人は一度行ってみるといいと思います。

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高輪ゲートウェイ駅ホームから臨む 2020/4/14

 田町車両センターは廃止されましたが、留置線は残っています。整備中のサンライズや常磐線の電車も見られます。山手線や京浜東北線に加え東海道線や東海道新幹線も見えますので、電車が見たい子供を遊ばせておくにはうってつけだと思いました。今度甥1でも連れてきて遊ばせますかね。