続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

SL故障時の取り扱い

 磐越西線を走る快速「SLばんえつ物語」号をけん引するC57-180に故障が見つかり、8月13・15・16日の「SLばんえつ物語」号は運休となりました。C57-180は2年前の7月にも炭水車の車輪の損傷が見つかり、修理のためその後1年近く運休しています。国内で走るSL(蒸気機関車)はいずれも製造から70年以上経っていて、故障や老朽化と闘いながら走行可能な状態を維持しています。

 「SLばんえつ物語」は運休した代わりに、DL牽引で同じ客車・ダイヤの無名の臨時快速が運転されました。普通車は全車自由席でしたが、運転される予定だった「ばんえつ物語」の指定券を持った客が現れた場合は席を譲る必要がありました。また、グリーン車はグリーン券を持っていないと利用できませんでした。運転終了後に指定券・グリーン券は無手数料で払い戻すという運用でした。

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SLばんえつ物語号:信越線・亀田 2017/11/19

 そして、どういうわけか、8月14日に8月22日以降の「SLばんえつ物語」が発売保留となりました。発売保留とは運休の可能性があって指定券の発売を中止している状態です。そのまま運休になることもあれば、運転が決まって指定券の発売が再開されることもあります。この時点では故障した機関車の修理が長期化する恐れがあり、その後の予定が立たないと判断したのでしょう。

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 発売保留中は「えきねっと」では検索結果として表示はされるものの、空席状況は-になっていて、予約はできない状態になっていました。

 そして、困ったことに発売保留になってしまうと発売保留前に予約した予約も受け取れなくなります。

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 実は甥1と乗るつもりで「えきねっと」で8月22日の「SLばんえつ物語」のグリーン席を押さえていました。運休は8月16日までだから22日は大丈夫だろうと油断していたら、発売保留になってしまいました。

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 指定席券売機で受け取ろうとしたら、予約内容は表示されるものの、「お取り扱いできません」のメッセージが出て発券できません。窓口の係員はどこかに電話していろいろ確認してくれましたが、やはり発券できないとのことでした。

 発券にこだわったのはグリーン席の予約だったからです。仮に「SLばんえつ物語」が運休になってまた代替の臨時快速が設定されたとしても、グリーン券があれば臨時快速のグリーン車が利用できるからです。でも、発券できなければ普通車の空席利用になってしまいます。


 ここでふと3年前のことを思い出しました。北海道で「SL冬の湿原」に乗ろうとした時のことです。牽引機のC11が故障となり、列車名はそのままでDL牽引で運転されることが発表されていました。しかし、JR東日本管内ではDL牽引となった「SL冬の湿原」の指定券を発売できませんでした。

 そこで北海道に到着後、帯広駅の旅行センターで確認してみたところ、乗客にDL牽引に変更された旨を説明し、承諾が得られたらマルスではなく料金補充券(料補)で発券するとのことでした。JR東日本管内で発売できなかった理由は分かりませんでしたが、JR北海道管内のみでの発売に制限したのかもしれません。

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 しばらく待って発券された料補です。記事のところに「DL牽引承知」と追記されています。料補が登場したのは驚きでしたが、合理的な取り扱いだなと感じました。 

 「ばんえつ物語」もSLが故障してDLで運転する時はこの方法でいいと思います。機関車がDLに変更になっても「SLばんえつ物語」としてそのまま運転し、指定券を発券する際は「指定席券売機」での発券は停止しみどりの窓口へ誘導したうえで、事前にDL牽引になることを説明して、同意が得られれば発券すればいいですし、得られなければ発券しなければいいです。

 同意が得られて発券した指定券にはこの料補のように「旅客承知済み」とでも余白に書いておけばいいでしょう。先ほどのJR北海道のように料補で発券する必要はまったくなく、マルス券に追記で十分です。

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 乗車2日前の8月20日の午後に、C57-180の修理・点検が終わり8月22日以降の「SLばんえつ物語」は予定通りSL牽引で運転されることが発表されました。それに伴って発売保留も解除され、発売できるようになりました。

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 なお、甥1は「SLばんえつ物語」のグリーン車専用の展望席に大変ご満悦で、「みなかみ号よりこっちの方がかなりよかった(゚∀゚)」と興奮気味にまくし立て、グリーン車用の記念乗車証を大事そうにスマホのケースにしまっていました。おじさんはここに至るまで正直ヒヤヒヤもんでしたが、新型コロナ禍で短くなった夏休みの思い出が作れてよかったです。