肥薩おれんじ鉄道のレストラン列車「おれんじ食堂」は2013(平成25)年3月より運転を開始しました。車両は新製ではなく5,000万円かけて既存車両を改造しました。
赤字で苦しむ肥薩おれんじ鉄道がどうやって5,000万円もの大金を捻出したのか興味があったので、ちょっと調べてみました。
水俣病で疲弊した水俣・芦北地域の再生のために、熊本県は国の支援の下で1979(昭和54)年度より「水俣・芦北地域振興計画」を策定し、産業基盤の整備や地域振興にお金を使ってきました。「おれんじ食堂」の改造費用は2011(平成23)年から始まった第5次計画の中で賄われていました。要は水俣病の地域対策の補助金を活用したということです。こんなカラクリが潜んでいたとは意外でした。
今年11月から来年3月までのダイヤでは出水→新八代→川内→出水と3便の列車が設定されています。日によって3便目が運転されない日があります。「おれんじ食堂」には食事付きのプランと食事なしのプランがあります。以下に違いを比較してみます。
食事付き | 食事なし | |
---|---|---|
食事 おもてなし |
あり | なし |
乗車号車 | 1・2号車 | 2号車のみ |
乗車区間 | 原則始発から終点まで | 停車駅相互間任意 |
料金 | 4,000円~21,000円 | 乗車券+1,400円 |
小児料金 | 食事あり:大人と同額 食事なし:乗車券+700円 |
大人の半額 (乗車券+700円) |
予約方法 | 予約センター web予約 旅行代理店 |
予約センター 肥薩おれんじ鉄道有人駅 JR九州の主な駅 |
食事付きの最高値の21,000円のプランは新八代~川内間を乗車する2便の「スペシャルランチプラン」です。いくら移動込みの食事・おみやげ付きとはいえランチで2万円超えはかなり攻めた価格だと思います。
予約センターだけは食事付き・食事なしいずれの申し込みもできます。決済方法は銀行振込か肥薩おれんじ鉄道有人駅での現金払いのいずれかになります。web予約は申込みの登録のみで、後から予約センターから折り返し電話があり、諸々の手続きを進めるようです。
食事付きの場合は振込後に後日予約確認書(バウチャー)が郵送されます。このバウチャーはA4サイズのプリントアウトされた紙きれで、趣味的に面白いものではありません。
食事付きは2013(平成25)年暮れに乗車していて、面白くないバウチャーが出てくることは知っていました。その上で、食事なしプランを肥薩おれんじ鉄道の駅で購入したらどういうきっぷが出てくるか?という課題をきっぷ的な興味から試してみました。もちろん試すだけでなく実際に乗車しています。
こちらが肥薩おれんじ鉄道発行の食事なしプランの指定席券です。様式は簡略化されていますが、記載されている内容からして料補(料金補充券)と言っていいと思います。また、新八代発なのでいちおうJR連絡になります。
確かこの時の手続きは事前に予約センターへ電話して座席を確保し、その際に川内駅で支払う旨を伝えて、川内駅で代金を支払ってきっぷを発券してもらいました。
ネット上で画像検索をしてみても、案外この券は出てきません。6年も前のもので、私自身もおれんじ食堂はご無沙汰していますので、今でもあるかどうかは何とも言えません。興味のある方は現地に行って確かめてみてください。