続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

ムーンライトながら廃止へ

 先週金曜(1月22日)にJRグループの春の臨時列車の概要が発表されました。その中でJR東海のリリースの以下の小さな記載が大きな注目を集めました。

臨時の快速「ムーンライトながら」につきましては、お客さまの行動様式の変化により列車の使命が薄れてきたことに加え、使用している車両の老朽化に伴い、運転を終了いたします。

 最後の運転は昨年の春シーズンでした。CBCテレビの報道によると、JR東海は廃止の理由として夜行高速バスの普及とビジネスホテルの低価格化による利用客の減少を挙げています。

 高速バスは「ムーンライトながら」の利用には相当の影響があったでしょうが、軽井沢のスキーバス事故でツアーバスへの規制が厳しくなったのと、慢性的な運転手不足で運転を取り止めたり減便する路線もあり、一時の勢いはありません。むしろ、ネットカフェや格安のビジネスホテルの登場によって宿泊費用を安く上げることができるようになり、移動と宿泊を同時に済ませたいという需要自体が減ったのが大きいのではないかと思います。

 このリリースを見たときにはついに来たかと思いました。「ムーンライトながら」や特急「踊り子」でも使用されているJR東日本の185系が今年3月のダイヤ改正を機に定期運用から離脱するので、「ムーンライトながら」への波及が見込まれていました。

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185系ムーンライトながら:横浜駅 2016/7/22

 「ムーンライトながら」は1996(平成8)年3月のダイヤ改正で登場しました。それまでは大垣夜行として165系で運転されていましたが、JR東海の新型373系を投入し全車指定席(下り小田原~名古屋間、上り熱海~東京間は一部自由席)としました。

 閑散期の利用低迷により2009(平成21)年3月のダイヤ改正で多客期のみの臨時列車化され、車両もJR東日本の189系にダウングレードしました。189系の廃車に伴って2013(平成25)年12月の運転から185系に変更され現在に至っています。

 個人的な思い出としてはなかなか寝られない列車でした。夜間減光されず夜中でも煌々と眩しかった上に、373系はデッキと客室を仕切るドアがないため、冬でも寒かった記憶があります。185系になってからはすきま風にも悩まされました。

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「ムーンライトながら」の最初と最後の指定券

 手持ちの指定券を数えてみたところ、1996(平成8)年の定期運行開始から68回乗っていました。実家が名古屋で、大学進学以降はずっと名古屋より東で暮らしているので、新幹線を除くと在来線で一番よく乗った列車かもしれません。下りの方が乗った回数は圧倒的に多かったはずですが、最初と最後はいずれも上りでした。

 68回のうち定期運行されていた13年間で51回で、毎日運行を取りやめ臨時化された2009年以降の12年間で17回でした。臨時化されてからは全区間全車指定席となって指定券が争奪戦になってしまい、乗りたいと思った時にいつでも乗れる気軽さがなくなりました。それに車両も古くなって居住性が落ち、移動の選択肢から外れていき、それが乗車回数にも表れています。

 臨時化されてからは繁忙期限定にも関わらず乗車率が悪かったように見えました。確かに指定券は満席になって売れてはいるんですが、実際は半分程度しか乗っておらず、隣が乗ってこないことも珍しくありませんでした。それに、臨時化されたがゆえに乗客のほとんどが「青春18きっぷ」利用客で、乗車区間に見合った運賃収入がなかったのも存廃の判断に影響したと思います。

 そんなわけで帰省や旅行の足として大変お世話になった列車ではありますが、使命を終えつつあったのを薄々感じていたところに乗車率の件もあり、廃止の発表があっても意外なほど驚きはありませんでした。 

 臨時列車はいつの間にか運転されなくなり、いつの間にか姿を消しているものがほとんどですが、こうして正式に発表してもらえただけよかったと思います。