新幹線Wきっぷ発売終了へ
JR東日本は昨年11月12日のプレスリリースで来月のダイヤ改正から「タッチでGo!新幹線」のサービスエリアを拡大することを発表しました。「タッチでGo!新幹線」とはSuicaなど交通系ICカードで事前予約なし(初回のみ利用開始登録が必要)に新幹線自由席に乗車できるサービスです。運賃・自由席特急料金はチャージ残額から引き落とされます。これまで東京~那須塩原・上毛高原・安中榛名間の関東圏だけの利用だったものを、管内全域に拡大します。
既に管内全域で展開されている「新幹線eチケットサービス」との違いを以下にざっくりまとめます。
タッチでGo!新幹線 | 新幹線eチケット | |
---|---|---|
対象エリア | JR東日本管内のみ (区間により一部制約あり) |
東北・北海道・秋田・山形・ 上越・北陸の各新幹線全区間 |
交通系ICカード | 必須 | なくても可 |
予約 | 不要 | 必要 |
クレジットカード | 不要 | 必要 なくても可 |
席種 | 自由席のみ | 自由席・指定席・ グリーン席・グランクラス |
割引 | なし | 自由席は割引なし 自由席以外は200円 |
ここで言う「自由席」とは盛岡以北の特定特急券も含みます。私個人的には「タッチでGo!新幹線」は「新幹線eチケットサービス」の敷居を下げた簡易版のような位置づけと理解しました。いずれにしろ自由席は割引がないので、どちらを使ってもきっぷを買っても値段は一緒です。
ここからが本題です。同じプレスリリースの中の下の方に「特別企画乗車券の発売終了について」という項目がありました。今後は「チケットレス&スピーディー」な新しい乗車スタイルを推進することを理由に、「新幹線Wきっぷ」など6種類のきっぷを3月末もしくは6月末で発売終了することが発表されました。
「新幹線Wきっぷ」とは運賃と新幹線自由席特急券がセットになった1ヶ月有効の2枚綴りの回数券で、JR九州の「2枚きっぷ」をほぼ丸パクりしたきっぷです。
「新幹線Wきっぷ」は同一区間の新幹線自由席を複数回利用する人に対するインセンティブだったはずです。それをチケットレス推進を名目に全部ぶった斬るのは違和感があります。サービス開始から3ヶ月以内に同一区間を2回乗車した場合はJREポイントを10%還元するキャンペーンを実施しますが、キャンペーンが終われば元に戻ります。所詮3ヶ月間限定の撒き餌でしかありません。
チケットレスを推進するのであれば、「新幹線Wきっぷ」の代替となるような商品を「新幹線eチケットサービス」の中で用意してくれてもいいわけで、単純な発売終了はチケットレス推進を隠れ蓑にした値上げと断言していいでしょう。
手持ちの「新幹線Wきっぷ」を探してみたところ少々ありました。私の手持ちの区間で料金比較をしてみます。
本八戸~青森 | 福島~仙台 | 高崎~安中榛名 | |
---|---|---|---|
正規運賃+料金(きっぷ) | 3,560円 | 3,210円 | 1,210円 |
新幹線Wきっぷ | 3,150円 | 2,350円 | 1,030円 |
割引率 | 11.5% | 26.8% | 14.9% |
新幹線部分を タッチでGo!新幹線利用 |
3,770円 | 3,210円 | 1,210円 |
1枚当たりだいたい10%程度の割引があります。 福島~仙台間は高速バスと競合しているため割引率が高いです。
「タッチでGo!新幹線」は新幹線区間だけ乗るのであれば正規運賃+料金と同額ですが、在来線と乗り継ぐ場合は注意が必要です。新幹線区間は無割引な上に、新幹線と在来線の乗り継ぎ時には運賃が通算されず、新幹線乗換駅で打ち切られます。なので、ここに挙げた本八戸~青森間(この辺りはSuica非対応エリアなので交通系ICでの通算はできませんが)のようにきっぷの正規運賃+料金よりも、かえって高くなる場合が普通にあります。
個人的には運賃が新幹線乗換駅で打ち切らず通算してくれ、自分が利用したい条件に合えば使ってもいいと思ってるんですが...。売る側は便利さや気軽さばかりでなく、かえって割高になる事例があることももう少し周知すべきだと思うんですけどね。