JR九州の11月30日のプレスリリースで、鹿児島中央~吉松間の特急「はやとの風」が来年3月21日で運転終了し廃止することを発表しました。昨年9月から長期運休となっていましたが、今月25日から来年3月21日まで土休日を中心に運転を再開するとのことです。
運休の表向きの理由は新型コロナ禍による利用の減少となっていましたが、昨年7月の熊本豪雨で肥薩線・八代~吉松間が不通となり、「はやとの風」を利用した肥薩線縦断ルートが機能しなくなり利用が見込めなくなったことも大きいように思います。
「はやとの風」は2004(平成16)年の九州新幹線鹿児島ルート(新八代~鹿児島中央間)開業の際に霧島方面へ誘客する観光列車として登場しました。普通列車用のキハ40系を観光列車っぽく内外装を改造して特急仕様にしたものです。今でこそ九州にはキハ40ベースの観光列車仕様の特急列車が各地を走っていますが、この列車はその端緒とも言える存在です。
「はやとの風」は観光列車であるだけでなく、鹿児島市と霧島地方の地域間輸送も担っていました。そのためか、一部の座席が自由席になっていて、吉松~隼人間は310円、吉松~鹿児島中央間は520円という割安な特急料金が設定されています。自由席に制服を着た高校生が乗ってきて驚いたことがあります。
趣味的な話では肥薩線・栗野駅は簡易委託駅で、このようなクーポンサイズの常備の自由席特急券を発売していました。「はやとの風」が走り始めてごく短期間、霧島温泉駅でも発売していました。発売箇所はいずれも吉松駅になっています。
「はやとの風」が昨年9月から運休中で、今月から再開される列車は全車指定席で運転されるので、列車の廃止に先立って栗野駅の常備の自由席特急券はお蔵入りする可能性が高そうです。
「はやとの風」の廃止後、車両は廃車になるわけではなく、来年秋に開業する西九州新幹線に接続する観光列車「ふたつ星4047」(これまた人を食ったような名前ですな)の車両に改造され、次なる新幹線接続の観光列車に転生します。あのオンボロをまだまだ使い倒す模様です。個人的には置き換えが決まっているJR東海のキハ85系を譲ってもらって改造の種車としたほうがまだいいものができそうに思うんですが。
「ふたつ星4047」とやらもまた水戸岡氏のデザインです。水戸岡氏の観光列車は初期のJR九州のイメージアップには多大な貢献をしたと思いますが、最近はどれも似たり寄ったりでそろそろ飽きてきたなと感じています。