根室線・富良野~新得間が台風で被災し復旧しないまま廃止になりそうです。JR北海道が沿線自治体に対してバス転換を求めていて、それについて話し合う4市町村の会議でバス転換で合意したことが明らかになりました。
2016(平成28)年8月の台風10号で富良野~新得間が被災し、富良野~東鹿越間は復旧し列車が走っているものの、東鹿越~新得間はバス代行が続いていました。
JR北海道は2016年10月の「JR北海道再生推進会議」で採算の悪い富良野~新得間を廃止・バス転換したいという意向を示していて、うがった見方をすると台風10号による被災は渡りに船だったと思います。JR北海道は沿線自治体に対し、存続するのであれば災害復旧の費用負担(10億5000万円)と運行後の赤字補填(毎年10億9000万円)を求めました。
被災して復旧していない区間は放置され、既に廃線のような雰囲気が漂っています。私個人的には支線ならともかく、この区間は石勝線が不通になった時の貨物列車の代替ルートとして使い道があるので、廃止にしない方がいいと思っていました。しかし、沿線自治体がJR貨物に利用意向を確認したところ、色よい返事が貰えなかったそうで、それも今回のバス転換の方針を後押ししたようです。線路を残しても使ってもらえなければ仕方ないですね…。
廃止区間にある最大の見どころは映画「鉄道員」の舞台にもなった幾寅駅でしょうか。映画では幌舞駅として使われ、駅舎内部は映画で使われたセットや写真パネルが展示されていて、ちょっとした観光スポットになっています。
幾寅駅は2003(平成15)年3月末で簡易委託解除し無人化されていましたが、台風10号で不通となった後の2018年夏ごろに道の駅「南ふらの」(先日南富良野町長が逮捕されたのはここの設備工事を巡る官製談合の疑いだそうです)と駅に隣接する「南ふらの観光プラザ」(≒観光案内所)で幾寅→富良野の片道乗車券と富良野~札幌間の「富良野・札幌往復きっぷ」を発売するようになりました。
簡易委託再開前後で同じ区間のきっぷがあったので比較してみます。様式に大きな違いはありませんが、古い方は小児断線がある大人小児併用券で、新しい方は小児断線がない大人専用券です。現在は運賃が970円に値上げされたバージョンを発売しています。
道の駅「南ふらの」は幾寅駅から15分ほど歩いたところにあり、駅からは便利でないですが、毎日営業しています。それに対し「南ふらの観光プラザ」は駅に隣接していますが、土休日は休み(土休日を休む観光案内所の存在意義を考えてしまいますが)なので、都合のいい方で買えばいいと思います(補足参照)。ちなみにこちらに上げたものは「南ふらの観光プラザ」で購入したものです。
鉄道として不通となっている最中に簡易委託を再開しきっぷの発売を始めた意図は分かりませんが、南富良野町としては廃線に反対であるものの、他の駅は廃止になっても幾寅駅さえ残ればいいという立場を表明していたので、少しでも幾寅駅の売り上げを計上することで、存続への意欲を示そうとしたのかなと感じました。結果的に残念ながら、廃線という大きな流れを変えるには至りませんでしたが…。
【補足:2023/11/12】
2021年11月に私が「南ふらの観光プラザ」を訪ねた際は確かに土休日休みだったんですが、現在では土休日も営業し12/31~1/5以外は無休だそうです。また、道の駅「南ふらの」での乗車券の販売は取りやめた模様です。
【補足2:2024/5/10】
2024年3月31日で根室線・富良野~新得間の廃止されたことに伴い幾寅駅は廃止となっていますのでカテゴリーを追加しています。