先月のダイヤ改正で水郡線・磐城棚倉(いわきたなくら)駅が無人化されました。水郡線の福島県側の2つある業務委託駅のうちの1つでした。
福島県棚倉(たなぐら)町の中心駅で、広い執務スペースや待合室があってそれなりに風格のある駅舎です。コロナ禍前(2019年度)の1日当たりの乗車人員が147人なので、無人になっても仕方ないかなと思わざるを得ない数字でした。
磐城棚倉駅には2018年10月末までみどりの窓口がありました。みどりの窓口閉鎖の際にMEX端末が撤去されましたが、代わりに指定席券売機ではなくPOS端末が設置されました。この前月に同じ水戸支社管内で無人化によるPOS窓口の閉鎖があったので、そこで浮いた端末を転用したと思われます。
MEX端末撤去によってこのような「えきねっと」予約の受け取り、トクトクきっぷの発売、クレジットカード決済の取り扱いができなくなりました。また、POS化されてから料補扱いはしなかったため、指定券類の発売も終了しました。
みどりの窓口閉鎖前後の写真を見比べてわかる通り、上の写真の左側にあった近距離券売機も撤去されています。なので、専らPOS窓口できっぷを発売していたと見られます。
以前購入していたマルスの入場券とわずか3年半ほどで姿を消すことになったPOSの入場券です。私が訪れたのは無人化前の最後の土曜日だったので、入場券が特によく売れていたようで券番が進んでいました。
磐城棚倉駅からはかつて東北線・白河駅までを結ぶ白棚(はくほう)線が分岐していました。戦時下の1944(昭和19)年に不要不急線として休止となり、鉄材供出のため線路が剥がされました。戦後になっても鉄道路線として復旧せず、線路跡は舗装されバス専用道となりました。その専用道を現在のJRバス白棚線が走っています。線路が剥がされてから80年近く経ちますが、意外とそれらしき痕跡が残っています。
また、かつては磐城棚倉駅でこのような白棚線からJR線への通しの乗車券が発売されていました。普通乗車券の発売は早い段階で終了したようですが、白棚線の定期券については2017(平成29)年3月末までみどりの窓口で発売していました。
鉄道跡の専用道を走るバス(BRT)は鹿島鉄道や日立電鉄の廃線跡や、東日本大震災で被災した気仙沼線や大船渡線でも見られますが、いずれも平成に入ってから導入されています。白棚線は1957(昭和32)年と導入が古く、BRTの嚆矢とも言えるものです。
磐城棚倉から | 水郡線で郡山 | JRバス白棚線で新白河 |
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本数 | 下り10本・上り8本 | 18往復 |
運賃 | 990円 | 740円 |
所要時間 | 1時間02分 | 43分 |
磐城棚倉から水郡線で郡山へ行くには1時間ちょっとでだいたい1~2時間に1本ですが、上り列車は日中4時間半間隔が開きます。JRバス白棚線で新白河へ行くには約40分で1時間に1本で、最大間隔でも1時間50分です。このあたりは既に車社会ではありますが、公共交通機関で首都圏へ行くに白棚線経由の方が安くて便利で、鉄道でなくなってからも短絡線の機能を果たしています。私も磐城棚倉からの帰りはいずれも白棚線を利用しています。