JR九州は昨年12月23日に「駅体制の見直しについて」というプレスリリースを発表しました。管内29駅の無人化と、48駅のみどりの窓口・POS窓口閉鎖をするという内容でした。
無人化や有人窓口の閉鎖はJRグループに限らず全国的な傾向なので今さらどうこう言うつもりはありません。でも、JR九州のやり方は以下の点で問題だと思います。
- 管内の有人駅は264駅で、その3割近い77駅の有人窓口を一気に合理化すること。
- 有人窓口がなくなった駅に指定席券売機の設置やみどりの窓口設置駅に行った際の運賃払い戻し制度など代替手段が用意されていないこと。
- 無人化にあたって自治体との協議を行っていないか不十分に見えること。無人化を発表した際に、自治体が「寝耳に水」のような反応が多く、実際に後日協議して無人化が覆り簡易委託に移行した駅もあること。(5月現在で29駅のうち5駅)
- 有人窓口が残った駅に対しても大幅な営業時間短縮を実施したこと。
個人的には2番目と4番目が大きな問題だと思います。
JR他社ではみどりの窓口を閉鎖した際には指定席券売機が設置される例がほとんどです。今回のJR九州ではみどりの窓口閉鎖の際に新たに指定席券売機が設置された例は一つもありません。また、JR東日本や西日本ではみどりの窓口がない駅から最寄りのみどりの窓口を利用しようとした場合、みどりの窓口利用後に運賃を払い戻すという救済措置がありますが、JR九州では定期券購入時のみで、それ以外のきっぷの購入時は何も手当てされておらず自己負担です。
営業時間はほぼすべての駅で短縮されました。博多や熊本など新幹線が停車する大規模駅でも7:00~21:00に短縮され、始発の新幹線には間に合わなくなりました。福岡・北九州都市圏や地方の特急停車駅など比較的利用の多い駅では7:30~19:00、それ以外の駅では7:30~12:00とか7:30~15:00にまで短縮されています。
上の写真の肥前山口駅も営業時間が短縮されていますが、指定席券売機は設置されていないので(今のところ設置の予定はないとのことです)、営業時間外はきっぷの購入やネット予約の受け取りなどはできません。15時で営業終了です。多くの特急列車が停車する駅ですらこの状態で、全社的に大幅なサービス劣化になっています。
JR九州のトップは「コロナ禍前の状態には戻らない」と口癖のように言っていましたが、特急料金を値上げしてトクトクきっぷは減らしてネット予約も改悪して、きっぷを買うのまで不便にさせられたらそりゃ戻るわけないわなと思います。戻ってこようとしている客を入口で追い返してるんですから。
みどりの窓口やPOS窓口が閉鎖されるにあたって、2~3月に有休を使っていろいろと回ってきました。77駅のうち20駅ぐらいは既に行っていたので、それ以外の駅を重点的に回りました。
そのうちの一つで北九州市八幡西区にある鹿児島線・陣原(じんのはる)駅に行ってきました。すぐそばを走っていた西鉄北九州線が2000年11月に廃線となり、その陣の原停留所の代替としてほぼ同時に開業した比較的新しい駅です。コロナ禍前の2019年度の乗車人員は1日2233人で、北九州市内の鹿児島線の駅としては2番目に少ないです。
嫁実家から近くだったので以前に入場券以外のきっぷは買っていたんですが、入場券だけなぜかなかったのでみどりの窓口営業最終日に購入しました。
陣原駅の窓口回りです。みどりの窓口と多機能券売機が1台あります。窓口閉鎖後の指定席券売機の設置はありません。また、この多機能券売機は定期券発行機能がないので、定期券を買いたい場合には両隣のみどりの窓口設置駅(折尾・黒崎)に行く必要があります。
JR九州のHPには陣原駅の電話対応時間が平日7:30〜19:00、土休日8:00〜18:30と記載されており、みどりの窓口閉鎖後もその時間帯は駅員がいることが伺えます。なので端末のリース料は削減できても、人件費はほぼ削減できていません。駅員はそれだけの時間いてきっぷは売らず、券売機や改札機のお守りやたまに改札口に来る客の対応だけではさぞかしヒマなんじゃないのかな?と気になります。次なる合理化があるとすれば営業時間の短縮→無人化でしょうね。