JR四国は8月26日のプレスリリースにて来年春での運賃・特急料金の値上げを発表しました。消費税増税に伴う値上げを除くと、1996(平成8)年以来27年ぶりの値上げになります。定期券や関連するトクトクきっぷも値上げされます。
運賃は200Km以内の区間を対象として、201Km以上は据え置かれます。値上げされる区間は平均12.51%の値上げになります。また、1996年の値上げの際の激変緩和措置として導入された瀬戸大橋線関連の特定運賃は役目を終えたことを理由に廃止され、当該区間も値上げになります。
現在JR四国の初乗り運賃は170円ですが、値上げ後は190円になります。同じ170円だったJR九州より高くなり、200円のJR北海道よりは安い中間の水準です。
現行運賃 | 値上げ後 | 値上げ幅 | 値上げ率 | |
---|---|---|---|---|
1~3Km | 170円 | 190円 | +20円 | 11.7% |
4~6Km | 210円 | 240円 | +30円 | 14.3% |
7~10Km | 220円 | 280円 | +60円 | 27.3% |
11~15Km | 260円 | 330円 | +70円 | 26.9% |
16~20Km | 360円 | 430円 | +70円 | 19.4% |
21~25Km | 460円 | 530円 | +70円 | 15.2% |
26~30Km | 560円 | 630円 | +70円 | 12.5% |
31~35Km | 670円 | 740円 | +70円 | 10.4% |
36~40Km | 770円 | 850円 | +80円 | 10.4% |
41~45Km | 870円 | 980円 | +110円 | 12.6% |
46~50Km | 970円 | 1,080円 | +110円 | 11.3% |
プレスリリースの内容から50kmまでの値上げ前後の運賃テーブルをまとめてみました。初乗り運賃の値上げ率は抑えていますが、7~15Kmの値上げ率が大きくなっています。11~35Kmの値上げ額が一律70円なので、相対的に距離が長いほど値上げ率は低くなっています。値上げ率が10%を割らないように値上げ額を微調整しているような感じです。
また、特定運賃は瀬戸大橋線を挟む児島と坂出~多度津間、上の町と宇多津・丸亀間で設定されていますが、これは廃止され通常の運賃計算と同じになります。現在530円の児島~丸亀間の運賃は、21~25Kmの運賃(530円)に瀬戸大橋線の加算運賃(110円)を足した640円になります。
現行特急料金 | 値上げ後特急料金 | |||
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25Km以内 | 50Km以内 | 25Km以内 | 50Km以内 | |
自由席 | 330円 | 530円 | 450円 | 760円 |
指定席 | 1,070円 | 1,290円 | 1,290円 |
25Km以内の特急料金は残るものの自由席・指定席とも値上げされ、指定席は50Km以内のA特急料金と同額になります。50Km以内の自由席もA特急料金と同額になります。それ以上の区間は据え置きです。
201Km以上の運賃の据え置いたのと同様に、そこを値上げしてしまうと高速バスとの競争上不利になりかねないので、据え置いたのかなと推測しています。
こちらは値上げ対象となる区間の特急券です。短距離の特急を気軽に乗れなくなるのはちょっと痛いですが、全料金帯を値上げしたJR九州よりははるかに良心的で、安すぎた近距離の特急料金を適正化するというイメージが近いと思います。
JR四国としては今回の値上げについて、新型コロナ禍で落ち込んだ鉄道運輸収入の穴埋めするとともに、安全対策投資や老朽車両・設備の更新、利便性向上策や省力化・省人化に取り組んでいき、今後とも公共交通機関としての役割を果たしていくとしています。
一利用者としては値上げを実力行使で阻止することはできないので受け入れざるを得ませんが、今後のJR四国の動向には注視していこうと思っています。8600系車両より設備の落差が大きい8000系車両のリニューアルが予定されているそうなので、それは是非早期に実施してほしいです。
【補足:2023/2/5】
一連の値上げの実施日が2023年5月20日発売分からと発表されました。ずいぶん中途半端な日に実施するもんですね。