JR北海道は7月19日のプレスリリースで自社完結およびJR東日本の区間に跨る普通回数券を今年11月末で発売終了することを発表しました。これでJRグループ全社から普通回数券が姿を消すことになりました。障害者や学生用の割引回数券は引き続き発売します。
各社のリリース日と発売終了する範囲と発売終了日は以下の通りです。
リリース日 | 発売終了した範囲 | 発売終了日 |
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2021/3/31 | JR西管内のICOCAエリア内 | 2021/9/30 |
2021/4/20 | JR九管内(下関発着を除く) | 2021/6/30 |
JR九の下関発着 | 2021/9/30 | |
2022/4/26 | JR東管内 | 2022/9/30 |
2022/6/10 | JR海管内 | |
JR東とJR海との跨り | ||
2022/6/16 | JR四管内 | |
2022/6/29 | JR西管内のICOCAエリア外 | |
JR東とJR西との跨り | ||
JR海とJR西との跨り | ||
JR西とJR四の跨り | ||
JR西とJR九の跨り | ||
2022/7/19 | JR北管内 | 2022/11/30 |
JR北とJR東との跨り |
最初は2021年3月にJR西日本が自社のICOCAエリア内のみで発売終了を発表しました。その翌月にJR九州が下関発着を除く管内全域での発売終了を発表し、JR西日本より3ヶ月先駆けて実施しました。
その後、先行して発売終了した会社の様子見をしていたのか、1年以上追随の動きがありませんでした。その間、私鉄では西日本鉄道(2021年7月末)や東武(2021年9月末)が発売終了しています。
今年4月になってJR東日本が管内全域、6月にはJR東海が管内全域と同時にJR東日本に跨る区間の発売終了を発表しました。今まで自社に閉じていたのが、このタイミングで初めて他社跨りも発売終了になりました。6月末にはJR西日本管内のICOCAエリア外とともに、隣接するJR他社との跨りをすべて発売終了することを発表し、残すはJR北海道関連だけになっていました。
以前の記事でも書きましたが、回数券は客が10回分の運賃を前払いしてくれるので、鉄道会社にとってもメリットがあると思います。JR四国の「6枚回数券」やJR九州の「ミニ回数券」のように綴り枚数や割引率、有効期限など形態を変えても回数券は残せないものなのかな?と感じます。
そう言えば回数券とはいつからあるものなのか気になったので、手元にあった大正14(1925)年の時刻表データで調べてみました。山手線が環状運転をする約半年前のものです。
そこには回数券(回数乗車券)について以下のような記載がありました。原文は縦書きの旧仮名遣いで、漢字は旧字体です。
●回数乗車券
商用其の他で、同一区間を度々往復せらるる方々の為に片道二十五回分を一緒に綴った三ヶ月有効の二等又は三等の回数乗車券を発売致します。此の乗車券は記名本人の外に其の本人と同行する四人以内の方に限り使用することが出来ます。又大人用回数乗車券は其の一片で同時に小児二人乗車に、又小児用回数券は其の二片を以て大人一人乗車に通用致します。
東京附近の電車区間では此の外に特種回数乗車券と称する十回又は二十回通用の回数乗車券も発売して居りますが無記名式で通用期間の制限もありませんから一度お求めになればどなたでも又いつでもご自由に使用せらることが出来ます。
約100年前には既に回数券があったとは驚きました。東京近辺の電車区間では無記名式・有効期限なしの10枚または20枚綴りの特種回数券があり、それ以外は記名式で同時使用4人まで可で3ヶ月有効の25枚綴りの回数券があったようです。後者は小児片2枚で大人一人が乗車できたというのも興味深いです。
現在の普通回数券は無記名式・有効期間3ヶ月・11枚綴り・大人片1枚で小児2名乗車可なので、東京近辺の特種回数券とそれ以外の回数券を合体した感じです。長く続いた回数券の歴史が今年で終わるかと思うと感慨深いものがあります。
私は普通回数券は熱心に集めていなかったので、大したものは持ってないんですが、発売終了を機に探してみました。
マルス端末だとどこも変わり映えがしないので、各社独自端末の普通回数券をかき集めてみました。発券時期がまちまちなのもありますが、有効期限の印字が大きかったり発売額の記載があったりなかったりで、各社それぞれで様式が異なっていてこれはこれで面白いなと思います。JR四国の現行のPOS端末の普通回数券は持ってなかったので、今のうちに集めておきたいなと考えているところです。