昨年10月乗車分より「えきねっと」の房総方面の「トクだ値」の内容が変わりました。それまで乗車券付きタイプで35~40%引きで発売されていた「トクだ値」がなくなり、乗車券なしの特急券のみタイプで35%引きの「トクだ値35」に一本化されました。
特急券のみタイプの「トクだ値35」は2018年4月から設定され、2021年10月より房総全域に拡大されました。その間2021年6月の「えきねっと」リニューアルの際にチケットレス化され「チケットレス特急券」となっています。
チケットレス特急券の設定区間は発着駅に東京・新宿~蘇我間を含む区間で、佐倉~銚子とか木更津~館山のような区間の設定はありません。このあたりは概ね「房総料金回数券」の思想を踏襲しています。
価格は以下の通りです。繁閑の変動はなく通年同額です。
50Kmまで | 100Kmまで | 150Kmまで | |
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チケットレス特急券 (特急券のみトクだ値35) |
680円 | 960円 | 1,220円 |
自由席 | 520円 | 950円 | 1,360円 |
指定席(通常期) | 1,050円 | 1,480円 | 1,890円 |
チケットレス特急券は指定席なので50Kmまでだとさすがに自由席より高いですが、100Kmまでだとほぼ同額で、100Kmを超えると自由席より安くなります。
チケットレス特急券のメリットは乗車当日でも申し込めて乗車前にきっぷに引き換える必要がないこと、乗車券部分は定期券や交通系ICカードなどと併用できることが挙げられます。個人的には「休日おでかけパス」や「週末パス」等の特急料金を含まないフリーきっぷと併用できるのが最大のメリットかなと思っています。
一方でデメリットもあります。以下は乗車券付きタイプ「トクだ値」との料金比較です。いずれも通常期の特急料金で比較しています。
正規運賃+特急券 | 乗車券付きトクだ値 | 乗車券+ チケットレス特急券 |
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トクだ値35 | トクだ値40 | |||
東京~成東 | 2,820円 | 1,830円 | - | 2,300円 |
東京~茂原 | ||||
東京~旭 | 3,870円 | 2,640円 | - | 3,200円 |
東京~勝浦 | ||||
東京~銚子 | 4,200円 | - | 2,640円 | 3,530円 |
東京~安房鴨川 | ||||
新宿~館山 |
チケットレス特急券と同区間の乗車券を併用した場合、すべての区間で乗車券付きタイプの「トクだ値」よりも高くなっています。前者は乗車券部分が無割引なのに対し、後者は乗車券部分も割引になっていますから当然と言えば当然です。
手元にあった乗車券付きタイプの「トクだ値」を探してみました。だいたい年に1~2回利用していました。券面上部の表記や注意書きが若干異なるのは時期的な違いです。
「トクだ値」を乗車券付きから特急券のみタイプに一本化することでステルス値上げをした格好ですが、フリーきっぷは毎日利用できるわけではないですし、単純に片道ないし往復利用するだけであればフリーきっぷを買う方が割高になる場合もあります。なので、特急券のみタイプに一本化するのではなく、房総方面では今まで通り乗車券付きタイプも残して欲しかった感はあります。
今年4月乗車分より常磐線特急においても乗車券付きタイプの「トクだ値10」の発売を終了し、チケットレス特急券(トクだ値35)に移行します。来月のダイヤ改正で登場する特急「草津・四万」は最初からチケットレス特急券のみです。今後は(ほぼ)ICカード利用エリア内で完結する在来線特急の乗車券付き「トクだ値」は発売終了し、チケットレス特急券化していく方針なのかもしれません。
もっとも、常磐線の場合は乗車券付きタイプの「トクだ値」の割引率が10%と低いため、チケットレス特急券化しても房総方面のように割引額に大きな差が出ることはなさそうです。気が向いたらこちらも調べてみます。