キハ183系サロベツ
◆種別:特急
◆区間:札幌~稚内
今年3月のダイヤ改正前日にJR北海道のキハ183系が定期運用を終了しました。キハ183系は老朽化の進んだキハ80系の置き換え用に国鉄時代の1980(昭和56)年に投入されました。
初期の車両は高運転台・非貫通構造のスラント形でした。登場時は国鉄色でした。スラント形を含む0番台は一足先に2018年6月末で定期運用を終え全車廃車となっています。
富良野線・美瑛~美馬牛間 2018/7/30
500番台・1500番台は国鉄末期の1986(昭和61)年以降に増備されたタイプで、短編成化も想定して先頭車が貫通型になっています。こちらが最後まで残りました。晩年は特急「オホーツク」・「大雪」に充当されていました。
キハ183系は定期運用を終えてからラストラン列車として、道内を巡る以下の臨時列車が設定されました。
列車名 | 運転日 | 運転区間 | 両数 | |
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普 | グ | |||
キハ183系北斗 | 3月25日 | 札幌→函館(室蘭線経由) | 4両 | 1両 |
キハ183系ニセコ | 3月26日 | 函館→札幌(山線経由) | 4両 | 1両 |
キハ183系サロベツ | 4月1日 | 札幌→稚内 | 4+1両 | 1両 |
4月2日 | 稚内→札幌 | |||
キハ183系オホーツク | 4月9日 | 札幌→網走 | 2+2両 | 3両 |
4月10日 | 網走→札幌 |
「サロベツ」と「オホーツク」については指定席発売開始後に増結されました。「サロベツ」の6両編成や「オホーツク」の7両編成でかつグリーン車3両と言うのは最後らしき華々しさで目を引きました。一方で帯広・釧路方面への設定がなかったのが気になりました。おそらくキハ183系が定期運用を終えて10年以上経っているので、今さらハンドル訓練をやってまで乗り入れさせる手間を嫌ったんじゃないかと思っています。
3月31日は留萌線・石狩沼田~留萌間が最終日だったので、もともと前後は北海道に滞在する予定でした。7両編成の「キハ183系オホーツク」には惹かれましたが、そうそう毎週毎週北海道に行ってばかりもいられないので、4月1日の「キハ183系サロベツ」一本に絞りました。
キハ183系サロベツ号 | ||
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下り(稚内行) | 停車駅 | 上り(札幌行) |
09:07発 | 札幌 | 15:58着 |
↓ | ↑ | |
10:45着 11:04発 |
旭川 | 14:26発 14:24着 |
12:12着 12:20発 |
名寄 | 12:54発 12:41着 |
15:26着 | 稚内 | 09:30発 |
ダイヤはこんな感じで、途中停車駅は旭川と名寄の2駅だけでした。旭川に前泊していたので旭川~稚内間を第一希望で狙い、取れなかった時の代替案として名寄~稚内間も念頭に入れました。翌2日の昼過ぎの飛行機で稚内空港から帰る予定だったので、上りは乗らない想定でした。
PC版の「えきねっと」で10時打ちをして取れたきっぷです。事前予約も含め旭川~稚内間は速攻で満席になってしまい、代替案で確保しました。当初は札幌~旭川間も空いていて、記念乗車証の配布がある旭川~名寄間だけ埋まっていました。私は記念乗車証に熱い思いはないので、最後に乗れさえすれば名寄~稚内間でも問題ありませんでした。
名寄駅の発車案内表示です。「臨時」で適当に済ませるかと思っていたら、正式な列車名と列車の絵柄と「36年間のご利用ありがとうございました」のメッセージが表示されていました。36年というのは500番台登場から起算したものなんでしょうね。
名寄駅に入線した特急「キハ183系サロベツ」号です。愛称幕は「サロベツ」の幕です。特急「サロベツ」は2017(平成29)年3月のダイヤ改正まではキハ183系で運用されていたので、この車両と幕の組み合わせは6年ぶりになります。
見逃せないのが「キハ183系サロベツ」号の札幌方に連結された2両のオレンジ色の帯の入った新特急色の車両です。500番台新製時の塗色で、昨年9月から2両だけこの色に塗り替えられて運用されていました。なかなか乗ることも撮ることもできずこの時初めて遭遇しました。私が乗車していた1号車はまさにこの色の車両でした。
上で書いた通りこの列車は名寄~稚内間は途中停車駅がなく時刻表上はノンストップでした。音威子府駅には一瞬停車しすぐに発車しましたが、幌延駅は徐行して通過しました。幌延駅の通過は珍しいので興味深く見守りました。楽しみにしていた利尻富士は曇天で見えず、定刻であっさり稚内駅に到着しました。
翌日の上り列車は沿線へ撮影しに行きました。上り列車は新特急色が先頭なので前日とはまた違った趣きがあります。ちなみに新特急色は1990年代半ばには消滅し、特急「サロベツ」の登場は2000年のダイヤ改正なのでこの車両と愛称幕の組み合わせは実在しませんでした。でも、最後の最後に珍しいものが見られました。
個人的にはキハ183系は「北斗」「オホーツク」でよくお世話になりました。寒さや雪に負けずに力強く疾走する様はまさに北海道の気動車だと感じました。廃車は残念ではありますが、キハ261系と比べると陳腐化は否めませんでしたし、末期は故障が多発してたびたび車両交換も発生していたので仕方ないのかなと感じます。
こうしてキハ183系が運用を終えたことによって、JR北海道の特急型車両はすべてJR化以降に製造された車両で統一されました。キハ183系は5月20日に苗穂工場での有料撮影会で最後の役目を果たした後、釧路に送り込まれて順次解体されています。記事作成時点で新特急色のハイデッカーグリーン車(キロ182-504)がちょうど解体中とのことです。