家城(いえき)駅は名松線唯一の直営駅で三重県津市にあります。津市と合併する前に白山町にあり、周囲に学校や公共施設が点在しています。
名松線はその名のごとく名張と松阪を結ぶために建設された路線です。松阪側から建設を進めている最中の1930(昭和5)年に近鉄の前身の一つである参宮急行電鉄が同区間を別ルートで開業(しかも電化で)させてしまったため、名松線を名張まで開通させる意義がなくなりました。そのため、名松線は名張まで繋がることなく現在の伊勢奥津止まりになっています。
家城駅の駅舎は1931(昭和6)年の開業来使用されているものです。JR東海で最後の腕木式信号機が2004年まで使われていました。近くには高校があり利用客もほとんどが高校生とのことです。名松線の中間駅では一番利用客が多いですが、ここ20年ほどの乗車人員は200人程度で推移しています。
家城駅には始発から終電まで終日係員がいます。しかし、おそらく一人勤務な上に出札だけでなく運転扱い要員も兼ねているため、列車の到着前後は窓口を離れ運転扱い業務を行っています。
上の写真を見ての通り券売機はないので、列車の到着前ギリギリに行ってもきっぷが買えないことがありますし、本数が少ないからと言って列車交換の合間や停車時間中にきっぷを買おうなんて考えない方がいいです。
JR東海では簡易委託駅にもマルス端末が設置されているぐらいなので、直営駅には当然のごとくマルス端末(MR52型)が入っています。乗車変更してしまいましたが、e5489の受け取りもできました。「EX予約」も大丈夫だと思います。
名松線自体が2009年に台風で被災した際に家城~伊勢奥津間のバス転換の話もありましたが、地元自治体が治水・治山工事を肩代わりすることで復旧に漕ぎつけたという経緯があります。なので、近い将来の廃止はないと思いますが、少子化が進んでいるなかで通学輸送に依存しているようだと先行きは危ない感じはします。