今年3月のダイヤ改正で60年近く続いていた新幹線と在来線の乗継割引が廃止されました。個人的にはコロナ禍の減収を埋め合わせる目的とした便乗値上げの一環でしかないと思っていますが、新幹線ネットワークが広がるに従って在来線特急が減っていったので、乗継割引の利用頻度が落ちていたのは否定しがたいところです。
一足先に廃止された岡山接続の特急「やくも」と新山口接続の特急「スーパーおき」については「EXサービス」利用者限定の救済措置として「岡山乗継チケットレス特急券」が発売されています。
米原接続の名古屋~北陸方面は乗継割引が廃止されたことに加え、北陸新幹線の敦賀延伸開業に伴って在来線特急が新幹線になって特急料金も大幅に高くなってしまいました。その救済措置的に発売されているのが「[EXサービス限定]乗継きっぷ」(以下[]内は省きます)です。
「EXサービス限定乗継きっぷ」はその名の通り米原発着で「EXサービス」を利用した場合にのみe5489で購入できます。米原~北陸方面の乗車券と特急「しらさぎ」と北陸新幹線の指定席特急券がセットになったきっぷです。購入方法は↑の「岡山乗継チケットレス特急券」と同じですので割愛します。
さっそく価格の比較をしてみます。下記の9区間が設定区間の全てです。
区間 | 正規価格 | 乗継きっぷ | 差額 | |
---|---|---|---|---|
米原 | 敦賀 | 2,150円 | 500円 | -1,650円 |
越前たけふ | 3,340円 | 1,530円 | -1,810円 | |
福井 | 4,580円 | 2,160円 | -2,420円 | |
芦原温泉 | 4,870円 | 2,730円 | -2,140円 | |
加賀温泉 | 5,200円 | 3,320円 | -1,880円 | |
小松 | 5,530円 | 3,620円 | -1,910円 | |
金沢 | 6,660円 | 4,640円 | -2,020円 | |
新高岡 | 7,520円 | 4,840円 | -2,680円 | |
富山 | 7,850円 | 5,530円 | -2,350円 |
「EXサービス限定乗継きっぷ」単体で買うことができないので、正規との価格差を出すのはナンセンスかもしれませんが、どの区間も1,500円以上安くなっています。
これに名古屋~米原間の新幹線(通常期指定席)を足した通算でいくらになるかを「スマートEX」と「EX-IC」(EX予約)とでまとめてみました。
区間 | 正規価格 | スマートEX + 乗継きっぷ |
EX-IC + 乗継きっぷ |
しらさぎ直通 (比較用) |
|
---|---|---|---|---|---|
名古屋 | 敦賀 | 5,240円 | 3,930円 | 3,860円 | 4,700円 |
越前たけふ | 6,930円 | 4,960円 | 4,890円 | ー | |
福井 | 8,260円 | 5,590円 | 5,520円 | 5,810円 | |
芦原温泉 | 8,590円 | 6,160円 | 6,090円 | 6,140円 | |
加賀温泉 | 8,920円 | 6,750円 | 6,680円 | 6,690円 | |
小松 | 9,150円 | 7,050円 | 6,980円 | 7,020円 | |
金沢 | 10,380円 | 8,070円 | 8,000円 | 7,460円 | |
新高岡 | 11,240円 | 8,270円 | 8,200円 | ー | |
富山 | 11,570円 | 8,960円 | 8,890円 | ー |
一番右の「しらさぎ直通」は名古屋~金沢間で運転していたダイヤ改正前の「しらさぎ」で直通利用した場合の運賃・特急料金(通常期)です。
「EXサービス」と「EXサービス限定乗継きっぷ」を併用することで、名古屋~米原と米原~北陸方面の乗車券部分が打ち切られて割高になるものですが、それでも福井より先の区間の割引額は2,000円を超えます。名古屋~敦賀・福井間については「しらさぎ」直通よりも「EXサービス」+「EXサービス限定乗継きっぷ」の方がむしろ安くなっていたりします。
私が利用してきた「EXサービス限定乗継きっぷ」の現物です。85mmの企画券に北陸新幹線と「しらさぎ」の2枚の指のみ券がセットになっています。きっぷの様式としては特に目新しいものはありません。
米原から先はこちらのきっぷと併用しました。e特急券+乗車券の組み合わせでも利用できます。米原経由の小松~新横浜(横浜市内)間は正規運賃+特急料金(通常期)が17,170円しますが、これらのきっぷのトータルは15,250円なので2,000円弱は安くなっているという計算になります。
ちなみに「しらさぎ」が金沢まで直通していて米原で乗継割引が適用されていた北陸新幹線敦賀開業前の頃(今年3月16日以前)の同区間の正規運賃+特急料金(通常期)は15,470円だったので、ネット予約をいろいろ駆使すればそれと同水準に抑えられるというのはメリットかもしれません。
ただ、このきっぷには重大な欠陥があります。このきっぷはe5489で取り扱いますが、JR東海区間を含まないためにJR東海の駅では受け取れないことです。
東海道新幹線→北陸線と乗り継ぐ場合、新幹線乗車前に受け取ることができず、米原駅の10分ソコソコの短い乗り換え時間の間にJR西日本の米原駅のみどりの窓口か「みどりの券売機」で受け取る必要があります。ポジショニングを間違えず慣れていれば何とかなりますが、それでも厄介客が窓口や券売機を塞いでいるようなことがあればアウトです。
私は北陸線→東海道新幹線と乗り継いだので事前にJR西日本管内で受け取ることができ不便は感じませんましたが、逆の場合はこういうことがあり得ます。
そもそも東海道新幹線との乗り継ぎを前提として発売するきっぷなのに、JRの中の人はこの状況が誰もおかしいと思わなかったんですかね?利用客の利便性より会社間の利害争いの方が優先なんですかね?いつまでこんなことやってるんだろうかとちょっと呆れてしまいます。
もうね、アホかと。馬鹿かと。