今年10月からJR東日本で在来線および新幹線がQRコードの乗車券・特急券で利用できる「えきねっとQチケ」のサービスが始まりました。
10月から開始した利用エリアは東北5県ですが以下の区間は除きます。
- 東北線:白坂~郡山
- 東北新幹線:新白河~郡山
- 常磐線:勿来~いわき
- 磐越西線:徳沢~喜多方
- 只見線:只見~西若松
- 羽越線:鼠ヶ関~鶴岡
- 気仙沼線:前谷地~柳津
- 気仙沼線BRT
- 大船渡線BRT
支社で言うと概ね東北本部(旧仙台支社)、盛岡支社、秋田支社のエリアになります。JR東日本から飛び地になった大湊線でも利用できます。まずは交通系ICカードが十分にカバーできていない地域から展開し、来年度末までにはJR東日本全域に広げていく予定とのことです。
JRグループでQRコードで在来線に乗車できる仕組みはJR四国の「スマえき」に続くものです。専用アプリが必要なのはJR東日本も同じで、乗車にあたっては「えきねっとチケットレスアプリ」のインストールが必要です。ざっくりと両者の比較表を作ってみました。
JR東日本 | JR四国 | |
---|---|---|
アプリ名 | えきねっとチケットレスアプリ | しこくスマートえきちゃん (スマえき) |
サービス開始 | 2024/10/1 | 2022/11/24 |
利用エリア | 概ね東北6県 | 本四備讃線除くJR四国全域 |
複数人利用 | 6人まで | 7人まで |
乗車券 | 片道・往復 | 片道で最短距離のみ |
途中下車 | きっぷと同じ条件で可 | 距離によらず不可 |
有効日数 | きっぷと同じ | 距離によらず1日 |
新幹線・特急 | 自由席・指定席・グリーン席 グランクラス |
自由席のみ |
トクトクきっぷ | トクだ値・チケットレス割引 | スマえき専用商品あり |
定期券取り扱い | なし | 通勤・通学定期に対応 |
割引対応 | 株主優待・JRE BANK割引に対応 (Webサイトからの申込のみ) |
ミライロIDを事前登録することで 障害者割引に対応 |
こうして比べてみると「えきねっとQチケ」は「えきねっと」の延長できっぷの引き換えなしにQRコードで乗車できるようにした仕組みで、JR四国の「スマえき」はゼロベースで機能を取捨選択して導入されたような印象を受けます。
ちょうど「えきねっとQチケ」のサービスが始まって間もない10月中旬に私は八戸線に乗ろうとしていました。券売機できっぷを買おうと思ったんですが、ここで「えきねっとQチケ」のことを思い出しました。
私:「QRコードで自動改札通るか紙のきっぷで降りる時に改札口できっぷ貰うかどっちがいい?」
嫁:「…どっちも嫌」
というやり取りはありましたが、気にせず使ってみることにしました。
まず「えきねっとチケットレスアプリ」を開きログインし「新規申込」タブから経路検索を行います。ログインアカウントは「えきねっと」のものと同じです。
そうすると検索結果が表示されるので乗車する列車を選択して次に進みます。どうせ普通列車なのでどちらを選んでも違いはありません。
途中経過は省きましたが「えきねっと」に登録したクレジットカードで決済して完了です。乗車する陸奥湊駅は自動改札機がないので乗車時に自分でチェックイン処理をする必要があります。位置情報を「常に許可」にしておくと乗車駅に近づいた際にプッシュ通知してくれる機能があります。
陸奥湊駅は3年前に無人化されているので別にいつチェックイン処理してもいいんですが、念のため列車の乗車直前にしました。
チェックイン時の確認画面です。裏にQRコードが潜んでいます。ここで「いいえ」や「駅が異なる場合」を押したらどうなるんでしょうね?
QRコードを表示させるとこんな感じになります。スクリーンショットは取れないので、スマホの画面を撮影しました。小さく「入場 陸奥湊駅」と表示されています。QRコードの下の電車の画像がスクロールしていて、スクリーンショットは利用できないようにしています。
「えきねっとQチケ」のエリア内のうち自動改札機設置駅については赤いQRコード読み取り部が設置されています。下車時にQRコードをここにかざすと、交通系ICカードよりワンテンポ遅い反応でしたがちゃんと自動改札機の扉が開きました。ちなみに途中下車可能な「えきねっとQチケ」で途中下車する際も自動改札機が利用できます。
使用後の画面です。一番下の「最終ご利用情報」のところに八戸駅と使用した日時が表示されています。
実際使った感じとしては通常使用に十分耐えうるレベルだと感じました。東北地方の路線は窓口はおろか券売機まで撤去されている駅もあり、きっぷを買うのに苦労する駅も少なくありません。クレジットカード決済限定にはなりますが、そういった路線を利用するのに乗車券や特急券を購入できる手段があるのは結構なことだと思います。気が向いたら新幹線や特急列車でも試してみたいと思います。
嫁は不慣れなことは極力やりたくないという保守的な人間なので、当然のごとくきっぷを選択しました。もちろん最後のテイクアウトまでやってもらいました。