長いタイトルですがそういう商品名なのでしょうがないです。チケットレスサービスは一般的に列車の発車前に予約を済ませて利用するものですが、このサービスは字面の通り列車に乗車した後に買えるという大変珍しいチケットレスサービスです。
JR西日本のe5489で昨年5月から今年3月末まで特急「こうのとり」の全列車・全区間を対象に発売され、昨年11月から特急「らくラクやまと」も対象となりました。なお、お盆や年末年始の最繁忙期は除外されました。
それではどうやって乗車後であると判断するのか?プレスリリースにはその仕組みまでは書かれていなかったので気になっていました。そこで今年1月に「らくラクやまと」に乗車した際に試してみました。
座席テーブルの背面に専用のURLにリンクするQRコードが貼ってありました。こちらは「乗った今でも」になっています。GPSで位置情報を取得するのかと思いましたが、もっとアナログで単純な仕組みでした。
QRコードを読み取ると乗車当日の「らくラクやまと」の区間選択画面に遷移します。赤字で「現時刻の15分前までの列車を検索できます」と記載があるので、発車後15分以内が購入リミットであると言えます。その後ログインして次の画面に進みます。
区間・列車・利用設備を選択し次の画面に遷移すると、このような見慣れないアラート画面が表示されます。e5489では列車の大幅な遅れが発生した場合に予定発車時刻を過ぎた列車の予約や変更ができることがあるのは知っていましたが、おそらくその際もこの画面が表示されるんだと思います。ちなみに私はこの画面を初めて見ました。
それ専用の商品が用意されていたわけではなく、「WESTERポイントチケットレス」、「J-WESTチケットレス」、「WESTERポイント特典チケットレス」、「eチケットレス特急券」のチケットレス商品4種類が発車時刻後も購入できるというものでした。
個人的にもう一つ興味があったのが「乗った後でも買える」チケットレスサービスでもきっぷの発券が可能かどうかでした。きっぷの発券をするのは必然的に下車後の話になるので、必要か必要でないかと言えばまったく必要ない機能です。
そこで「らくラクやまと」を久宝寺駅で降りて新大阪へ戻った時に、購入した「J-WESTチケットレス」のきっぷが発券できるかどうか試してみました。
発券できてしまいました。何か違いはないかなと思ってよーく見てみたら、(4- )の記載の右に遅の印字があります。これはダイヤ乱れ等で指定列車発車時刻後に予約・購入した際に印字されるもののようです。通常は狙って入手できるものではないので、期せずして入手出来てよかったです。
私の席の近くで天王寺から「らくラクやまと」に飛び乗りで乗ってきたおっちゃんがいました。車掌が回ってきて特急券を購入しようとした際に「こちらのサイトから買われたほうが安いですよ」と勧められていました。あいにくおっちゃんはe5489のアカウントを持っていなかったようで結局正規料金を払っていましたが...。
「こうのとり」はともかく「らくラクやまと」を「乗った後でも買える」チケットレスサービスの対象に加えた理由としては、乗車後も自由席に近い料金で特急券を買えるようにして通勤客に気軽に特急を利用して欲しいという意図があったと思います。
また、近畿圏の在来線特急はここ数年で全車指定席化が進み「はるか」以外は自由席がなくなったので、目の前の列車に乗りたいけれど指定席特急券を買う時間がなくて乗らなかった(乗れなかった)という需要を取りこぼしていると思います。そういった需要を取り込む意図もあったように感じます。
そんなところから「乗った後でも買える」チケットレスサービスは発売期間が延長され近畿圏全体に広がっていくのかな?と思っていましたが、3月末で終了してしまいました。理由は分かりませんが期待したほど利用が伸びなかったのかもしれません。