JR北海道は6月1日から本社管内の16駅で「JR北海道ふるさと入場券」を発売しています。発売駅は倶知安、小樽、銭函、手稲、森林公園、岩見沢、滝川、富良野、千歳、南千歳、苫小牧、白老、登別、東室蘭、洞爺、追分の16駅です。夏以降に対象駅を増やす予定とのことです。
JR北海道が全社的に発売していた記念入場券と言えば2017年7月~2019年9月に発売されていた「JR北海道わがまちご当地入場券」、2020年7月~2024年10月に発売されていた「北の大地の入場券」とあり、「ふるさと入場券」はそれらに続く第3弾という位置づけになります。
「ふるさと入場券」の一番の特徴は指定席券売機のみで発売(「話せる券売機」含む)することです。マルス端末で記念入場券を発売した例は過去にありましたが、指定席券売機で記念入場券を発売するのは初めてです。この方式は利用者側・発売側それぞれにメリットがあります。
【利用者側メリット】
- 指定席券売機は窓口より営業時間が長いので購入しやすい
- 売り切れの心配がない
- クレジットカードが利用できる
【発売側メリット】
- 駅無人時間帯や休業日でも指定席券売機さえ稼働していれば発売できるので増収につながる
- 駅以外の場所へ販売を委託する必要がなくなり委託費が削減できる
- 欠品や売れ残りの在庫を抱えるリスクがない
逆にデメリットって何があるかな?と考えてみましたが、機械発券なので味気ないのと印字のカスレによる品質のばらつきがあるリスクぐらいでしょうか。
マルス端末や指定席券売機で記念きっぷを発券するのに昔の熱転写印字だとインクリボンを消費し高コストになったでしょうが、現在の感熱印字だと紙代以外のコストはほぼありません。個人的にはどこかの会社で売らないかなと思っていましたが、JR北海道が先鞭をつけた感です。
まず、「ふるさと入場券」の購入ための準備として、事前に北海道四季彩館(≒北海道キオスク)や通販サイト「北の特急便」(8月末で注文受付を終了し9月末で運営自体を終了する予定)で880円のスターターキットを購入する必要があります。駅では発売していません。
その中には16駅分のQRコードが印刷されたカードが入っていて、指定席券売機にこのQRコードをかざすことによって購入する仕組みです。
スターターキットの箱は今年3月のダイヤ改正で廃止になった特急「大雪」のヘッドマークをイメージしたもので、カードの裏面にJR初期にダイヤ改正や新製車両の登場などの際に使用したポスターなどを模したどこか懐かしさを感じるデザインが印刷されています。
私が購入した千歳駅と南千歳駅の「ふるさと入場券」です。デザインは2017~8年ごろまで発売されていたD型硬券の観光入場券を模したものになります。南千歳駅のホームに停車する電車も711系や781系だったりします。また、千歳駅は(千)という路線記号が入らないのも特徴的ですね。
右上に企画コードが印字されていて、各駅で違うものが設定されています。調べてみたところこんな感じ↓で連番でした。
駅名 | 企画コード |
---|---|
倶知安 | 112-80 |
小樽 | 112-81 |
銭函 | 112-82 |
手稲 | 112-83 |
森林公園 | 112-84 |
岩見沢 | 112-85 |
滝川 | 112-86 |
富良野 | 112-87 |
千歳 | 112-88 |
南千歳 | 112-89 |
苫小牧 | 112-91 |
白老 | 112-92 |
登別 | 112-93 |
東室蘭 | 112-94 |
洞爺 | 112-95 |
追分 | 112-90 |
大人券(210円)のみの発売で小児券はありません。一度の操作で7枚まで購入でき、使用したQRコードは2028年3月末まで何度でも使えます。スターターキットを持ち歩くのが面倒であれば、スマホでQRコードを撮影しその画像を使っても購入できます。
ただし、ちょっと気になる点もありました。JR北海道の普通入場券は発売から2時間有効ですが、「ふるさと入場券」には発売時刻や「発売時刻から2時間以内有効」の印字がありません。
過去のJR北海道の印刷物の記念入場券にはそういった印字はなかったのでとやかく言う話ではないのかもしれませんが、機械発券で印字可能なのに印字されなかったのはちょっと気になりました。後日、発売時刻が印字されるよう改修する可能性もあるかもしれないと踏んでいます。
個人的にはきれいに印字された現物を手にして思った以上にいいなという印象でした。これだったら収集意欲も湧きます。ただし、せっかくの絵柄の部分に太い横筋のカスレが入ってしまうと台無しなので、日ごろの機械のメンテナンスはしっかりお願いしたいところです。