続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

星野リゾートトマムの指定席券売機

 石勝線・トマム駅は北海道占冠村のはずれにある駅です。バブル期のリゾートブームの頃に駅のそぐそばで「アルファリゾート・トマム」が開発され、高層ホテルやコンドミニアムにゴルフ場・スキー場が併設された複合リゾートとして大変賑わいました。

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 かつては駅と跨線橋で直結していた「アルファリゾート・トマム」の待合室にトマムトラベルセンターというJR北海道の係員がいる窓口があり、そこのマルス端末で指定券類の発行もできました。しかし、JR北海道の合理化により2015年9月末で閉鎖されました。

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 トマムは観光客が減少傾向でしたが、星野リゾートによる通年型リゾートへの転換とインバウンド需要の取り込みが奏功し、2010年代半ばから外国人観光客が多く訪れるようになり息を吹き返していました。

 そのため2019年と2020年は外国人が特に多く訪れる旧正月+さっぽろ雪まつり期間中(概ね1月下旬~2月中旬)にトマム駅に係員が出張して臨発が実施され、札幌・新千歳空港までの常備券の乗車券と自由席特急券が発売されました。

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 2021年1月にQRコードを使用した「QRコード乗車駅証明書」が通年で発行できるようになり、冬季の臨発は終了し現在に至ります。ただ、「QRコード乗車駅証明書」は南千歳・新千歳空港・札幌の3駅の精算機でしか利用できないので、星野リゾートの中に簡易券売機でも置いて乗車券や自由席特急券が買いやすくする体制を整えるべきなんじゃないかと思っていました。

とかち4号:石勝線・トマム駅 2024/6/1

 2024年3月のダイヤ改正でトマム駅に停車する特急「おおぞら」「とかち」が全車指定席化され自由席がなくなりました。「QRコード乗車駅証明書」では自由席に代わり普通車指定席の空席が利用できるようになりましたが、事前に座席が確保できないという不便は解消されませんでした。

 そこでトマム駅の利用客の利便性向上を図るため、スキーシーズンが始まる昨年12月に星野リゾートトマム「ザ・タワー」内にJR北海道の指定席券売機が設置されました。

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 JRの指定席券売機が駅の外に設置される事例はJR北海道では初めてだと思います。他社を含めて以前に遡ると皆無ではありませんが、上の記事で紹介した丸の内の指定席券売機もこの後ほどなく撤去されてしまったので、近年では非常に珍しいです。

 なぜトマム駅に指定席券売機を設置しないのか疑問に思う方もいると思いますが、トマム駅の利用客=ほぼ星野リゾート関係で、トマム駅は無人かつ管理駅の新夕張駅から50km以上離れていて防犯上の懸念がある上に、冬は-20℃にもなる酷寒地なので、人目について空調完備の星野リゾートの施設内に設置させてもらったというのが実態だと思います。

星野リゾートに設置された指定席券売機 2025/5/31

 5月に星野リゾートトマムに宿泊した際に早速現物を利用してきました。設置されていたのはクレジットカード専用のMV60型です。JR北海道のMV60型のパネルは紫ですが、この券売機はJR東海そっくりの水色です。実際新規購入ではなくJR東海のお古を調達してきたのかもしれませんが真相は謎です。あと、左上の「よびだし」ボタンはパネルで塞がれています。 

初期メニュー 2025/5/31

 初期メニューはこちらの4つのみです。当然入場券は買えませんし、券売機左下の挿入口に「磁気定期券」という記載がありますが、定期券の取り扱いもありません。

経路検索画面 2025/5/31

 試しの経路検索画面を使用してみましたがこれが案外おバカでした。まず発駅はトマムで固定されており、発着駅の入れ替えもできません。こんな設定ひとつ取ってもこの券売機からJR東海っぽい融通の利かなさを感じます。これではトマムから先の乗り換え列車の特急券だけ購入したい場合も購入できません。

経路検索のエラー画面 2025/5/31

 特急料金不要で利用できる区間(追分・新夕張・占冠・新得)を着駅にするとこのように候補が表示できずエラーとなり、乗車券だけ購入することはできません。トマムに設置するんですからこの程度は購入できて欲しいです。

トマム駅で購入可能な最安の乗車券

 追分・新得以遠の区間は問題なく検索できるので、この券売機で購入可能な最安のきっぷは十勝清水までの小児乗車券(520円)です。発売箇所表記は「トマムMVC1」となります。

えきねっと予約の受け取り

 券売機で買えない区間のきっぷを買いたいときはこんな感じで「えきねっと」予約を噛ますといいと思います。JR東日本での受け取りに限定される株主優待やトクトクきっぷ、連絡運輸が絡まなければ受け取れると思います。

英語版の受け取りも可能

 トマムはインバウンド客も多いせいか、「えきねっと」の英語表記での受け取りにも対応していました。ただ、「えきねっと」もあまり賢くはないので先ほどの特急料金不要で利用できる区間へは検索エラーになって購入できませんでした。

 指定席券売機を設置したことは好判断だったと思いますが、やっぱりこれだけの機能では限界がある上に、指定席券売機を慣れない人が扱うのは難しいですし、外国人客の利用も多そうなので、オペレーター対応の「話せる券売機」の方がより適していると感じました。