続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

レール&レンタカーきっぷ発売終了へ

 10月31日のJRグループ一斉のプレスリリースで「レール&レンタカーきっぷ」を来年2月28日返却分で発売終了することを発表しました。

 「レール&レンタカーきっぷ」はその名の通り、JR線とレンタカーがセットで割引になるきっぷです。購入条件は以下の通りです。

  • JR線を片道・往復・連続で201Km以上利用すること
  • 出発駅から駅レンタカー所在駅までの営業キロが最短距離で100Km以上離れていること
  • 往路の乗車券の有効期間内にレンタカーを借りること
  • レンタカー返却の当日か翌日に復路の利用を開始すること

 この条件を満たすことで運賃2割引、特急料金が1割引になります。これはドライバーだけでなく、ドライバーと同一行程で移動する同乗者全員に適用されます。

 購入する場合はまず駅レンタカーの予約サイトでもともと割安になっている「レール&レンタカーきっぷ」向けの専用プランを予約し、その予約番号を持って駅のみどりの窓口や旅行センターに行ってJR券とレンタカー券を一緒に購入します。

レール&レンタカーきっぷ(レンタカー券)

 「レール&レンタカーきっぷ」のレンタカー券です。2名でSクラスのレンタカーを借りて、区間に印字されているとおり、芦原温泉で借りて福井で返すという乗り捨て(借りた営業所と違う営業所で返すこと)を行っています。レンタカー券はレンタカーを借りる際に回収されるので手元には残りません。

レール&レンタカーきっぷ(乗車券)

 次に「レール&レンタカーきっぷ」の乗車券です。券名は「企画乗車券」となっていて、C制印字の下に小さく「R&R 950」と印字されているのが特徴です。往路はレンタカーを借りた芦原温泉まで利用し、復路はレンタカーを返した福井から利用しています。

 また、職場(東京都区内)から旅先へ直行し旅先から自宅(横浜市内)に帰ったので発駅と着駅が異なっていますが、レンタカー利用を挟んだ発駅と着駅が同一である必要はありません。往路と復路で経路が異なるのももちろんOKです。

 この当時の運賃での2人分の割引額は以下の通りでした。

 {(9,130 - 7,300) +(8,360 - 6,680)} ×2 = 7,020円

 レンタカー代が7,040円なので「レール&レンタカーきっぷ」を利用することでレンタカー代が相殺されてほぼタダになっています。ちなみに特急料金は1割引にしかならないのでe5489やEX予約を併用しました。


 「レール&レンタカーきっぷ」発売終了の理由については「お客さまのご利用状況を踏まえ」といういつもの文言が記載されていました。こういう書きぶりを見るとなんでもかんでも客のせいにするなと文句の一つでも言いたくなりますが、客の立場から見て思い当たるフシはいくつかあります。

みどりの窓口でしか買えない

 「レール&レンタカーきっぷ」はみどりの窓口(と旅行会社の窓口)でしか買えません。ご承知の通りコロナ禍以降JR各社はみどりの窓口を数多く閉鎖しています。特に地方はみどりの窓口がある駅が島根県では1駅(松江のみ)、徳島県では2駅(徳島・阿南)という惨状です。

 また、オペレーター対応の指定席券売機(「話せる(指定席)券売機」「みどりの券売機プラス」「ど~ぞ」等)でも「レール&レンタカーきっぷ」には対応していないため、客が買いたいと思っても容易に買えないことが最大の欠点だと思います。

駅レンタカーの営業所が減っている

トヨタレンタリースに委託されている駅レンタカー石巻店 2025/11/3

 コロナ禍以降地方の駅を中心に駅レンタカーの営業所が多く閉鎖されています。同業他社や観光協会に委託されているのはいい方で、「レール&レンタカーきっぷ」を利用しようかなと思っても以前あった営業所がなくなっていたことが何度かありました。

レール&レンタカーきっぷよりも魅力的商品の登場

 JR東日本が特に熱心なんですが、「えきねっと」での列車予約とレンタカーを組み合わせてレンタカーが割安で利用できるプランやJREポイントが多く還元されるプランがあります。30~40%割引になる「お先にトクだ値」との組み合わせもできるので、料金的に「レール&レンタカーきっぷ」より魅力的だったりします。

 JR東日本以外でも同様の商品が用意されているようです。

・カーシェアの普及

燕三条駅のタイムズカー 2022/2/11

 「レール&レンタカーきっぷ」は最短で6時間利用からですが、カーシェアは15分から借りられて料金はガソリン代込みで比較的割安に設定されています。設置箇所は多いですし、一度会員登録をしてしまえばアプリで予約から貸出・返却まで完結できてしまうので、料金や利便性の面から駅レンタカーが影響を受けた可能性はあります。まぁカーシェアの普及は駅レンタカーに限らずレンタカー業界全体に脅威だとは思います(とはいえ来月からカーシェア最大手のタイムズカーが料金値上げするので勢力図に変化があるかもしれませんが)


 一方でJR側の本音はこんなところだと思います。

・実際に売り上げが低迷していた

 みどりの窓口でしか売れないことが災いし、プレスリリース記載の通り「お客さまのご利用状況」が低迷していたんだと思います。本気で「レール&レンタカーきっぷ」を売りたければシステムを改修してでも対応すると思いますが、そこまでして売るつもりもなかったんだと思います。

・売るのが面倒

 私が利用した経験値ですが10分しないで全部発券した係員もいれば、30分かかっても発券できなかった係員もいました。複雑な経路だったり特急列車を何度も乗り継ぐ行程だとどうしても手間と時間がかかるのは分かります。

・国鉄時代から続く6社共通商品はそろそろ整理したい

 国鉄が分割民営化されてそろそろ40年が経って独立志向が高まり、JRグループで一緒になって何かやるよりもなるたけ自社内で利益を囲い込もうという風潮が強くなっていると感じます。全国共通の「青春18きっぷ」を使いにくくし、自社商品に移行させやがてフェードアウトさせようとしていることと同じ動きに見えます。

・駅レンタカー事業自体の見直し?

 先月JR東海管内にある駅レンタカー営業所(10ヶ所)を来年3月末までにすべて閉鎖することが発表されています。ひょっとしてJRグループとして駅レンタカー事業の譲渡や撤退を含めた見直しが行われるのかもしれません。

 「レール&レンタカーきっぷ」に何度かお世話になったきっぷヲタとしては来年2月までにあと1回は利用してみようかなと思っています。