続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

1962

あそ1962号

◆種別:快速

区間:熊本~宮地

◆最終運転日:平成22年12月26日

Aso1062sign (熊本駅発車サイン)

 快速「あそ1962」号は平成18年6月から昨年末まで運転されていた豊肥線の観光列車です。その前年までSLの快速「あそBOY」が運転されていましたが、機関車の老朽化により引退しており、その代替といえます。運転区間は熊本~宮地間で、車両はJR九州熊本車両センターのキハ28・58系の専用編成でした。列車名の「1962」は専用編成のキハ58-139が昭和37(1962)年に製造されたことに由来しています。

Aso1962_1 (熊本駅

 塗色は黒と金色のレタリングに塗り替えられています。ただし、車両としての外観は損なわれておらずカラカラ鳴るエンジンはそのままなので、レトロ感がしっかり出ています。また、列車はワンマン運転でドア扱いは運転士が行い、車内改札は観光案内や車内販売を兼ねた女性の客室乗務員が行っていました。

Aso1962_2 Aso1962_1

 車内の床は木で張り替えられ、ボックスシートのモケットも茶色の木をイメージしたような柄に張り替えられていました。天井には昔懐かしい扇風機が取り付けられています。また、各車両の3分の1ぐらいのスペースは自転車積み込み用のスペースになっていて、車輪を固定できる装置がありました。愛車を積み込んで阿蘇山をサイクリングできるようにとの趣向です。写真をクリックすると拡大します。

I0461 

 私は昨年の春に乗りました。この日はGWの谷間の平日でしたが、当日でも余裕で空いていました。乗車率は1ボックスに1~2人程度でした。また、自転車を積み込んでいる人もいませんでした。うす曇で肌寒く、阿蘇山を見るにはあいにくの空模様でした。

 途中の肥後大津駅まではわりと住宅街の中を走るような風景でしたが、肥後大津駅を境に山の景色に一変しました。それとともに勾配がきつくなり、年代モノの気動車も苦しそうに坂を上っていきました。途中の立野駅では20分ほど停車しました。 ここで南阿蘇鉄道トロッコ列車「ゆうすげ」号に接続しました。乗り換える人も10人程度いましたが、私は立野駅の三段スイッチバックを登りたかったので、「ゆうすげ」号は見送りました。

 豊肥線立野駅は行き止まりになっています。行き止まりの先が南阿蘇鉄道(旧:高森線)です。熊本方面から来た列車は立野駅で方向転換しスイッチバックを登り、スイッチバックの終点で再度方法転換をし阿蘇方面へ向かいます。この車両は窓が開くので、立野駅を発車してスイッチバックを登る様子を動画(7分30秒)で撮ってみました。雑音が多いですが、頑張って坂を登っていく様子がわかるかと思います。

Asosan (阿蘇山

 スイッチバックを上り、赤水駅を過ぎるころから阿蘇山がしっかりと見え始めます。晴れていればもっと遠くからでも見えたかもしれませんが、曇り空だったので近くに行くまでなかなか姿を現してくれませんでした。

Aso1962_2 (豊肥線・宮地)

 列車は宮地駅止まりでした。熊本方面からの列車もこの宮地駅止まりのものが多いです。近辺に観光地はなく、阿蘇山へは手前の阿蘇駅で降りた方が便利です。到着後構内の留置線に停泊していました。

 私は宮地駅から阿蘇駅に戻って阿蘇山に登ろうとしたんですが、「あそ1962」阿蘇駅で降りてもバスの接続が考慮されていませんでした。せっかく阿蘇へ行く観光列車に乗ったのに、バスのダイヤが考慮されていないとがっかりすると思います。このへんはもう少し工夫の余地があるように思いました。ただ、列車自体は乗っていて退屈することなく、機会があればまた乗ってみたいと感じていました。

 今年3月の九州新幹線全線開業を機に豊肥線の観光列車として特急「ゆふDX」で使用していたキハ185系を改造した特急「あそぼーい!」を運転することになり、「あそ1962」は昨年末で4年半の役目を終えました。私は結局この1回乗っただけで終わりました。「あそぼーい!」という名前は正直いかがなものかと思いますが、ファミリー車両を連結し家族連れをターゲットにするようです。「あそ1962」は古い車両の良さがわかるある程度の大人をターゲットにしていたので、方針転換と言ってもいいでしょう。

 「あそ1962」運転終了後の車両の処遇は今のところ発表されていません。たぶんすぐに廃車・解体することはなく、検査切れギリギリまでJR九州旅行主催の団体ヲタ列車として使い倒すんじゃないかと思っていますが…。