一勝地駅入場券
(一勝地駅駅舎)
肥薩線・一勝地(いっしょうち)駅は球磨川に張り付くようなところに設置されている駅です。駅舎は明治41年の開業当時のものが残っていて、きれいに手入れされています。その縁起のいい名前から、同駅で昭和55年から「必勝お守り記念入場券」を発売しています。
その心は「地に足を付け努力し、まず一勝を」とのことです。うまいこと考えたもんです。
これがその現物です。横幅は3cmぐらいです。入場券としてはお守り型でイレギュラーな形で、純粋な様式の入場券を集めたい人は微妙かもしれません。以前の記事で同じ九州の指宿枕崎線・喜入駅の入場券を購入してがっかりしたという記事を仕込みました。個人的には印字が消えてしまう懸念があるPOS券よりはこちらの方が好感が持てます。
ちなみに発案の主は発売当時一勝地駅の助役だった上村さんという方で、昭和55年の夏の甲子園に出場した熊本工業ナインに贈ったことがスポーツ紙に報じられ、縁起がいいきっぷとして話題になりました。その年は熊本工業が決勝で八代高校を破って熊本県代表として出場していますが、熊本工業の捕手が伊東勤で八代高校のエースが秋山幸二でした。後の西武黄金時代の主力となる2人が熊本県予選の決勝で対戦していました。
…てな話を上村さんご本人からうかがいました。スクラップされて茶色くなった当時の新聞記事も見せていただきました。肥薩おれんじ鉄道に転換される半年前の日奈久駅での待ち時間のことです。
一勝地駅は国鉄末期の昭和61年に直営から簡易委託化されています。駅にJA球磨の支所が同居していて、平日に限って乗車券とともに記念入場券を発売しています。一勝地駅で購入すると「必勝」のスタンプが押された券袋とセットでもらえます。4つ隣の直営駅である人吉駅では曜日に関わらず発売しています。券面に人吉駅の連絡先が印刷してあるのはそのためだと思われます。でも、こういう縁起きっぷだからこそ、できるだけ現地で購入したいものです。