鎌倉・江ノ島パス
3月末で発売終了した「鎌倉・江ノ島フリーきっぷ」に代わって発売された「鎌倉・江ノ島パス」です。フリーエリアまでの往復がなくなった上に、有効期限は2日から当日限りに短縮され、発売箇所はフリーエリア内のJR駅・びゅうプラザに限られてしまいました。
(都内某駅の掲示)
このように前身のきっぷのいいところをことごとく潰す改定を一般的に「改悪」と言いますが、使いもせずに評価をするのもなんなので、いちおう使ってきました。その結果…。フリーエリアは変わっていないので、使い勝手としては変わりありませんでした。ただ、フリーエリア内の移動のためにフリーエリア外から来た客がわざわざこのきっぷを買うかと言うと疑問です。SuicaやPASMOを持っていればそっちを使ってしまうと思います。
発売終了した「鎌倉・江ノ島フリーきっぷ」と「鎌倉・江ノ島パス」と小田急で発売している「江の島・鎌倉フリーパス」の三者を客観的なデータで比較してみます。以下のA~Cで主要駅から価格比較してみました。
新宿 | 赤羽 | 千葉 | 八王子 | 柏 | 大宮 | 古河 | |
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A | 1,970円 | 2,170円 | 2,910円 | 2,170円 | 2,700円 | 2,700円 | 3,870円 |
B | 1,430円 | 1,850円 | 2,990円 | 1,570円 | 2,670円 | 2,330円 | 3,650円 |
C | 2,460円 | 2,460円 | 3,440円 | 2,580円 | 3,100円 | 3,100円 | 4,460円 |
- A:「鎌倉・江ノ島フリーきっぷ」
- B:小田急線最寄駅までの往復+「江の島・鎌倉フリーパス」(八王子からの小田急線最寄駅は町田、それ以外からは新宿)
- C:大船駅までの往復JR+「鎌倉・江ノ島パス」
A→Cへの移行では4~500円程度高くなっています。BとCの価格比較だけだとJRを使う理由はありません。赤羽・千葉・大宮・古河の場合はフリーエリアまで乗換なしの一本で行けるので、JRのほうが便利と言えますが、「鎌倉・江ノ島パス」を利用するのであればフリーエリア内の駅で一旦降りて購入する手間が発生します。
小田急の「江の島・鎌倉フリーパス」はフリーエリア内の駅を含む全駅から発売している上に、西武(新宿経由)や相模鉄道(大和経由)からの設定もあり、販路を広げる努力も行っています。また、鉄道運賃の割引に加えフリーエリア内16施設で入場料や飲食代金の割引特典があり、観光に便利なように工夫されています。
【ひとこと】
このきっぷを企画したJR東日本の担当者もこの程度のリサーチはしているでしょう。販路を狭めて買いにくくし、相変わらず特典はなく、トータルで割高になって何一つ優位性のない「鎌倉・江ノ島パス」が利用客に受け入れられると思っているのであれば、相当頭がおかしいと思います。私が他人に薦めるのであれば迷わず小田急の「江の島・鎌倉フリーパス」を薦めます。
今年はJR東日本の支社レベルではいいフリーきっぷが発売されていますが、横浜支社だけは「我関せず」といった感です。JR東日本(の横浜支社)としては社内事情最優先で利用客のことなんぞ二の次三の次なんでしょうが、今まで長く発売されソコソコ定着していた商品をなぜわざわざ改悪したのにはやはり理解に苦しみます。ひょっとしたら「廃止にしなかっただけありがたく思え」というメッセージなのかもしれませんが。
使い勝手…★☆☆☆☆
お得感…★☆☆☆☆
当日発売…あり
小児用…あり
【補足:2020/4/3】
「鎌倉・江ノ島パス」は2020(令和2)年3月末で発売終了しましたのでカテゴリーを追加しています。思った以上に長持ちした感です。