続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

しまんトロッコ

しまんトロッコ

◆種別:快速

区間宇和島窪川

 予土線にはJRグループで最初のトロッコ列車である「清流しまんと」という列車がありました。「清流しまんと」は観光列車風に改造されることとなり、平成25年8月末で運行を終了しました。その代わりに10月から登場したのが「しまんトロッコ」です。

 「しまんトロッコ」の改造はかの水戸岡鋭治氏によって手がけられました。JR九州での成功以来、中小私鉄を中心に水戸岡氏が手掛ける車両が全国的に広がっています。水戸岡氏のデザインは否定しませんが、JR四国ぐらいの会社規模となると社内で設計やデザインを手掛ける人材はいるはずなのに、JR四国まで外部の水戸岡氏頼みになってしまうのかなぁ…という気がしました。ただ、この経験は後の「伊予灘ものがたり」に生きたんだと思います。

Seiryushumanto1 (before)

Shimantoro1 (after)

 改造期間は1ヶ月程度だったので大きな改造はありません。トロッコ車両はビニール屋根を交換し、外観を山吹色ベースに一新し観光列車っぽくなりました。個人的には「清流しまんと」時代の無骨な手作り感が好きだったんですが、そこは人それぞれでしょう。

Shimantoro (予土線・江川崎)

 「清流しまんと」は定期列車にトロッコ車両を併結していましたが、「しまんトロッコ」は定期列車とは別の臨時列車として運転されています。そのためか、トロッコ車両だけでなく、控車のキハ54系も一緒にカラーリングを一新し、編成に一体感が出ています。

Shimantoro2 (キハ54系車内)

 キハ54系の車内はカラーリング以外に座席の色が変わっていました。手前から奥にかけてグラデーションが入っています。こういう見せ方の上手さは水戸岡氏のデザインの真骨頂かと思います。つり革や運転士横の運賃表は残っていたので、いざとなったら単独でローカル運用で使う想定もあるのでしょう。

 トロッコ乗車区間は1号(宇和島行)が窪川~江川崎間、2号(窪川行)が宇和島土佐大正間に変わっています。予土線は単線なのにトロッコ乗車区間が上り下りで違うのは前々から不思議に思っていますが、理由はよく分かりません。

I0714

 指定席券の発売区間は「清流しまんと」の頃はトロッコ乗車区間に限られましたが、「しまんトロッコ」の場合はトロッコ乗車区間含む区間に改められました。この指定席券でトロッコに乗車できたのは江川崎~土佐大正間でした。土佐大正窪川間はキハ54系に移りました。なお、通年310円だった指定席料金は510円(増税後は520円)に値上げされています。

 私が乗った2号は宇和島から江川崎までトロッコに乗って、江川崎からバス観光に行く団体がいたので、江川崎までは満席だったものの、江川崎からは半分程度空いていました。それでも、思ったより乗っているなという印象はありました。予土線四万十川に絡みつくようにして走っているので、座席の左右による有利不利はあまりないように思います。

Hobbytrain (海洋堂ホビートレイン:窪川

Tetsudohobbytrain (鉄道ホビートレイン:江川崎)

 予土線JR四国で一二を争う大赤字路線です。その赤字を減らすべく、平成25年7月の「海洋堂ホビートレイン」、10月の「しまんトロッコ」、昨年3月の「鉄道ホビートレイン」を「予土線三兄弟」と銘打って既存車両を改造し観光列車としました。「しまんトロッコ」は言わばその三兄弟の次男坊です。

 JR四国の担当者は「予土線三兄弟」を目玉に予土線を利用してもらうきっかけを作りたいと言っていました。私は「鉄道ホビートレイン」で江川崎まで行ったんですが、この列車にも20人ぐらい乗車していました。「青春18きっぷ」期間外の6月の普通の日曜朝の大赤字路線にしては客が乗っている印象で、今のところその目論見は当たっているように見えました。今後、それをどう維持していくかが課題だと思います。