北陸応援フリーきっぷ
「北陸応援フリーきっぷ」は今年元旦に発生した能登半島地震の復興支援としてJR東日本が2月15日~3月11日の1ヶ月弱の間に発売したフリーきっぷです。フリーエリアまでの往復には北陸新幹線が利用でき、出発地は東京都区内のみ出発前日までの発売で価格は20,000円ちょうどで4日間有効でした。東京から富山まで往復するだけで元が取れました。
フリーエリアは以下の通りです。
- 北陸新幹線:黒部宇奈月温泉~金沢
- 北陸線:敦賀~金沢
- 七尾線:津幡~和倉温泉
- 氷見線:高岡~氷見
- 城端線:高岡~城端
- 高山線:猪谷~富山
- 越美北線:越前花堂~九頭竜湖
- 小浜線:敦賀~小浜
- あいの風とやま鉄道:倶利伽羅~黒部
- IRいしかわ鉄道:金沢~倶利伽羅
石川・富山・福井の北陸三県をほぼ網羅している上に、北陸新幹線もフリーエリアに含まれています。さらにフリーエリア内は新幹線を含む特急列車の自由席が利用できるという大盤振る舞いぶりでした。
首都圏発で北陸までの往復乗車券+特急料金(寝台特急「北陸」や急行「能登」も利用できました)とフリーエリアが含まれたきっぷとして2013年3月まで「北陸フリーきっぷ」というきっぷが発売されていました。
「北陸フリーきっぷ」の詳細は↑のリンク先を見て欲しいんですが、北陸線のフリーエリアが加賀温泉~富山間と「北陸応援フリーきっぷ」よりもだいぶ狭く、福井県はフリーエリアに含まれていません。それでいて「北陸応援フリーきっぷ」の方が10年以上前の「北陸フリーきっぷ」より1,400円安いのでいかに破格であるかわかると思います。
現物はこんな感じのきっぷでした。往路は「かがやき」「はくたか」の指定席が利用できましたが、復路は「はくたか」の自由席限定でした。復路だけそういう制限をかけたのは全車指定席の「かがやき」が格安のフリーきっぷの客で満席になってしまうのを良しとしなかったのかなと推測します。
私は始発駅の金沢で「はくたか572号」(金沢発16:53)の自由席に並んだので座れましたが、富山発車時点でほぼ座席が埋まり、上越妙高からは通路に立ち客が発生していました。金沢から軽井沢まで各駅停車だったので、高崎まで乗客は増える一方でした。日曜夕方発の列車だったのでもともと混む傾向にはある列車だったと思われますが、「北陸応援フリーきっぷ」が混雑に拍車をかけた側面はあったと思います。
私は20時間程度の短い滞在時間の間に福井県と石川県に滞在しました。福井県や石川県の加賀地方・金沢近辺は地震の影響をほぼ感じさせませんでしたが、七尾線に乗って羽咋を過ぎたあたりからブルーシートが掛かった家が見られるようになり地震の影響が徐々に見え始めました。
七尾駅も駅舎側の1番線のホームが地震で崩れてしまったため、2・3番線だけで運用されていました。修復工事が行われていましたが、線路は使用停止によりさび付いていていました。
同様に和倉温泉駅も地震によって駅舎の基礎やホームに被害があったようで、駅舎側の1番線を使用停止にし、2番線が単線運用されていました。この時点でのと鉄道は七尾~能登中島間は再開していましたが、和倉温泉駅がこの状態なので本数を減らさざるを得ませんでした。そのためか、七尾~和倉温泉間は乗車券のみで特急列車自由席に乗車できる特例が適用されていました。
以前は休みの日の和倉温泉駅に特急列車が到着すると、駅前のロータリーがタクシーやホテル・旅館の送迎車で所狭しと埋まったもんですが、今回は自家用車が数台停車しているだけで閑散としていました。和倉温泉のホテルや旅館のほとんどが再開できていない状態なので無理もないとは思いますが、賑わっていた様子を知っているだけに衝撃的な光景でした。
「北陸応援フリーきっぷ」は3月11日発売分(3月12日出発分)で発売終了しました。3月12日出発分で4日間有効だと有効期間は3月15日までです。これは北陸新幹線敦賀延伸開業の前日にあたります。
タイミングから判断すると北陸新幹線延伸開業に伴ってきっぷの効力が変わる前日でいったん発売終了したというのが真相で、たった1ヶ月弱で復興支援を止めるということではないと思います。復興支援第2弾としてGW明け~夏休み前ぐらいに再発売されるような気がします。新幹線区間が延長され在来線は第三セクターに転換されているので、発売額はいくらか高くなるかもしれませんが…。
今日(4月6日)からのと鉄道が全線で運転を再開します。少しずつでも以前のこの地域の賑わいが戻ることを祈ってやみません。