3月14日のダイヤ改正でJR北海道のすべての在来線特急が全車指定席化されました。これは昨年4月に発表されていた「令和7年度事業計画」の記載内容を計画通りに実行した結果です。
2024年3月のダイヤ改正で「北斗」「すずらん」「おおぞら」「とかち」の4列車が全車指定席化されていて、残された「ライラック」「カムイ」「オホーツク」「宗谷」「サロベツ」も2年遅れて追随した形になります。

管内の特急の全車指定席化に踏み切った会社はJRグループで初めてです。JR東日本では首都圏発着の特急はすべて全車指定席化され、JR西日本も自社完結の特急は「はるか」「スーパーおき」「スーパーまつかぜ」以外は全車指定席化されています。私鉄でも優等列車は全車指定席で運行されている会社も多いので、JR北海道が特急を全車指定席化したことに対して批判するつもりはありませんが、JR北海道のやり方はマズいと思うのです。
下の表はJR北海道・東日本・西日本が特急列車を全車指定席化した際の手法をまとめたものです。ピンクに網掛けした部分は利用者にとってのデメリットです。
| JR東日本 (「草津・四万」以外) |
JR北海道 | JR西日本 | |
|---|---|---|---|
| 繁閑の料金変動 | なし | あり | |
| 全車指定席化後の 特急料金 |
従前の自由席と指定席の中間の価格 | 指定席の価格に一本化 (自由席がなくなった分が値上げ) |
|
| 満席時の取り扱い | 座席未指定券での利用 (指定席特急券と同額) |
立席特急券を発売 (通常期指定席-530円) |
|
| 特急券単独の チケットレス割引 |
全区間で割引あり (100円引き) |
札幌・旭川発着のみ (10~35%引き) |
J-WESTチケットレス チケットレス特急券 (半額以下もあり) |
各社それぞれの方法で全車指定席化が実施されていますが、JR北海道はJR東日本と西日本の悪いところを繋ぎ合わせた上にチケットレス割引も手薄な特急料金制度になっています。
JR東日本が特急列車を全車指定席化するにあたって「新たな着席サービス」を導入し、座席未指定券というこれまでにない斬新な(?)制度を始めたのは11年前の2015年3月のダイヤ改正です。
登場当初は変な制度だなと思っていたんですが、新しい指定席が従前の自由席と指定席の間という価格設定が絶妙でした。指定席ユーザーには値下げになって歓迎されますし、自由席ユーザーにとってもこれまでの指定席よりは安くなっていて値上がり幅もせいぜい200円程度だったのですんなり受け入れられたように見えます。実際は相当に練られたプランだったのかもしれません。
JR北海道の特急料金
| 25Km以内 | 50Km以内 | 100Km以内 | 150Km以内 | 200Km以内 | 300Km以内 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 自由席 | 320円 | 630円 | 1,150円 | 1,830円 | 2,200円 | 2,420円 |
| 指定席 | 850円 | 1,160円 | 1,680円 | 2,360円 | 2,730円 | 2,950円 |
| 値上がり率 | 165,7% | 84.1% | 46.1% | 29.0% | 24.1% | 21.9% |
片やJR北海道は単純に自由席をなくして雑に指定席の価格に寄せたため、一律530円の値上げとなり近距離利用客には値上がり率が高く負担感が大きくなっています。
札幌圏以外では普通列車の運転間隔が数時間開くことも珍しくなく、その穴埋めとして気軽に特急列車を利用してもらうべく近距離の特急料金を安くする利用促進策を進めていました。今回の全車指定席化ではそれに代わる救済策はなく、ただただ自社の増収のことしか考えず、従前の近距離の特急利用客に対しハシゴを外した印象があります。


函館線・大沼公園駅には日中時間帯の「北斗」が停車します。駒ヶ岳の麓に大沼・小沼を始めとする大小126の湖沼が広がり、一年を通じて観光客で賑わいます。函館から近いので最近は函館観光のついでに雪景色を求めて来るインバウンド客も多いです。

大沼公園からの自由席特急料金は五稜郭・新函館北斗・森までが25Km以内で320円、函館までが50Km以内で630円でした。自由席特急料金が割安で大沼公園を発着する普通列車が少ないせいか、以前は函館~大沼公園間を特急利用する客が多くいました。

それが2024年3月のダイヤ改正で「北斗」が全車指定席化されたことによって、自由席がなくなり指定席となってそれぞれ850円と1,160円に値上がりしています。
函館まで特急を利用しようとして、大沼公園駅の窓口で運賃に別途1,160円追加になることを聞いて利用を取りやめている人を何人も見ました。片やインバウンド客はたいてい外国人専用のレールパスを持っていてタダで特急指定席が利用できるので、躊躇せずに特急に乗り込んでいきました。

私はそんな光景を複雑な気分で見ながら、25・50・100Km以内の近距離区間についてはやはり負担軽減策が必要で、特急料金体系を変えるか「えきねっと」で自由席+200~300円程度で利用できる商品を出すべきなんじゃないかと感じました。過去にあれだけ近距離の特急利用を推奨しておいて今さらハシゴを外さないで欲しいと感じます。特に50Km以内の区間は630円からいきなり1,000円超えとなると心理的障壁も大きいです。
こんな感じで利用客を蔑ろにすることばかり繰り返していて、JR北海道が今度は黄色線区の維持のために上下分離するんで税金出してくださいと頼んだところで快く出してくれる自治体はないと思います。JR北海道にとってとにかく増収が大事なのは理解しますが、従前の利用客の影響も考えてもう少し丁寧に物事を進めて欲しいものです。