続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

北陸新幹線敦賀延伸開業

 3月16日のダイヤ改正で北陸新幹線・金沢~敦賀間が延伸開業しました。当初は2025年度の開業を目指して工事が認可されましたが、地元のゴリ押しとも言える「要望」により3年早めて2022年度末(2023年春)開業に前倒しされました。

福井駅上り一番列車のかがやき502号 2024/3/16

 2020年11月に建設主体の鉄道・運輸機構が1年半の工期の遅延と工事費が2,880億円増える見通しを明らかにし、地元は騒然としました。人件費や資材費の高騰に加えて、工期を3年も短縮する過程でいろいろと無理が生じたのは想像がつきます。国土交通省が間に入って原因の検証や対策を進め、1年の延長と工事費の増加を200億円ほど圧縮しました。

福井駅の開業日ボード 2024/3/16

 そして2023年度末の3月16日に開業を迎えました。それでも当初の2025年度の開業より2年前倒しでした。地元の「要望」に振り回されたJRや鉄道・運輸機構、それに工事関係者の皆さんは大変なご苦労だったかと思います。

 今回の新幹線開業に伴って関西・中京圏から福井・金沢まで直通する特急列車がなくなり、特急料金が値上がりしたのと、敦賀乗り換えが発生したことによって関西~北陸の時短効果が低いことが話題になっていました。大阪~富山間は29分、大阪~金沢間は22分、大阪~福井間はわずか3分です。

福井駅発車案内表示 2024/3/16

 北陸新幹線は東京~長野間で完結する「あさま」、JR西日本エリアまで乗り入れる速達タイプの「かがやき」、標準タイプの「はくたか」、金沢~富山間の区間便の「つるぎ」の4種類の列車があります。敦賀開業にあたって大きく性質が変わったのが「つるぎ」です。

つるぎ1号指定券(開業初日の福井発一番列車)

 「つるぎ」は敦賀での特急「サンダーバード」「しらさぎ」との接続列車となり、早朝深夜の1往復を除き原則敦賀~金沢・富山間の運転となり、敦賀~金沢間を最速41分で結び福井のみに停車する速達タイプも新たに設定されました。そして号数も3桁の列車はなくなり1桁もしくは2桁になりました。

 逆に敦賀での「かがやき」や「はくたか」との乗り継ぎはあまり便利ではありません。「サンダーバード」は湖西線の強風で冬場はよく遅れますが、その場合でも「つるぎ」だけは敦賀で待たせて、東京方面の列車に極力影響を及ぼさないようなダイヤが組まれているようです。

つるぎ+サンダーバード一葉券

 敦賀乗り継ぎの「サンダーバード」・「しらさぎ」と北陸新幹線・越前たけふ~富山間の特急料金は通しで計算され、西九州新幹線と同様に特急券はこのように一枚にまとまります。この一葉券を敦賀駅の自動改札機に通した際に、特急券にも出場の印字が入るのは特筆されます。北陸新幹線を富山以遠の黒部宇奈月温泉方面まで(から)乗車する場合は一葉券になりません。

 このダイヤや特急料金制度は関西・中京圏から福井~富山まで行く人には考慮されたシステムですが、例えば北陸を超えて関西から新潟(上越地域)・長野(関西~長野は名古屋周りより北陸周りの方が速くなっています)や中京圏から新潟といった使い方に対しては何の考慮もされていないなとは感じます。

敦賀駅で北陸新幹線から特急への乗り継ぎ客 2024/3/17

 いろいろ言われている敦賀8分乗り換えの件ですが、3回試してみて位置取りを間違えず少し急げば何とかなると感じました。でも、大荷物を持っていたり子連れや高齢者にはちょっとキツいかもしれないとも思いました。

敦賀駅の乗り換え通路 2024/3/16

 駅構内には目立つよう乗り換えホームへの導線がペイントしてありました。ただ、このペイントは列車名で案内されているのが不親切です。列車名よりは「京都・大阪方面」と「米原・名古屋方面」という具合に方面別の表示もすべきです。

敦賀駅特急ホーム 2024/3/16

敦賀駅発車案内表示 2024/3/17

 3階の新幹線ホームの真下の1階に建設された敦賀駅の特急ホームは島式ホーム31~34番線の2面4線の造りです。そこから新幹線接続を受けた「サンダーバード」・「しらさぎ」が発着します。「サンダーバード」と「しらさぎ」で停止位置をずらして人が集中しないよう配慮されていましたが、そもそも発車するホームを方面別に分けた方がいいと思います。

 開業間もないこともあり誘導の駅員や警備員が多数いましたが、私が乗車した敦賀発の特急列車はいずれも3~4分遅れて発車しました。新幹線の位置取りは自由席のある東京方の車両(1号車)は不利で、6号車より敦賀方がいいと思います。

フェイントサンダーバード26号:敦賀駅 2024/3/17

 個人的には長い間「オレンジの帯が入った車両=しらさぎ」だったんですが、ダイヤ改正後は「サンダーバード」にも入っていますので、車両で列車を判別している鉄ヲタのみなさんはご注意ください。私は「しらさぎ」と間違えて乗りそうになりました。

 この敦賀乗り換え問題は最近ニュースなどでよく取り上げられているので、JRが何かしら改善に動くことはありそうです。でも、接続時分を8分から延ばすことはないと思います。仮に接続時分を4分増やして12分にしてしまうと、3分しか時短効果のなかった大阪~福井間は「サンダーバード」よりも遅いということになります。これはJRとしては受け入れられないと思います。


フリーゲージトレイン3代目試作車:新八代試験線 2014/11/29

 こうして課題を積み残したまま北陸新幹線が敦賀まで開業しました。当初はフリーゲージトレインを導入し敦賀で軌間変更をして大阪まで直通する予定でしたが、技術的な課題が解消できず導入断念となりました。技術的に確立されていないフリーゲージトレインに未来を託した結果、途中駅で乗り換えを強いられているのは西九州新幹線と同じです。

 確かに東京と福井が直通できるようになりましたが、関西や中京圏とは敦賀で分断されました。最終目的地の新大阪までのルートはだいたい固まったものの、開業めどはまったく立っていない状況です。しばらくこの敦賀乗り換えが続きそうです。