ビクトリーはくと
◆種別:特急
◆区間:鳥取大学前→大阪(智頭急行経由)
特急「ビクトリーはくと」は鳥取大学の二次試験に合わせて、鳥取大学前~大阪間で毎年運転されている臨時列車です。私が受験生だった頃から鳥取大学に限らず国立大学の二次試験は毎年2月25日(2日間ある大学は翌26日も)に実施されています。下り(鳥取大学前行き)はなく上り(大阪行き)のみの運転です。
鳥取大学前駅は1995年7月に開業した比較的新しい駅です。鳥取大学だけでなく半径1Km圏内に学校が5校あり宅地化も進んでいたので、県および市の陳情を受けて設置されました。掘割の部分に単線の線路があり、狭いスペースに頑張って片側ホームを設置したような感じです。ちなみに駅から徒歩1~2分ぐらいの近さで鳥取大学の正門があります。
「スーパーはくと」は全列車通過しますが、2010年から「スーパーおき」「スーパーまつかぜ」は一部列車が停車するようになり、2014年から全列車停車になっています。都市間連絡の特急は止まらないけれど、鳥取・島根両県からの通勤通学利用を考慮して域内の特急は停車しているという感じです。
「ビクトリーはくと」は受験生専用列車的な扱いですが実際どんな感じかずっと気になっていた列車でした。幸い今年の運転日は日曜日で、予定していた山陰旅行の帰路に利用することができました。
鳥取大学前駅はもともとそんなに大きな駅ではないため、駅構内に入りきれなかった試験を終えた受験生とその親で駅前は溢れかえっていました。私が受験生だった頃は遠方でも一人で行くのが当たり前だったので、今どきの受験生は当たり前のように親がくっついてくるんだなぁ...という新鮮な驚きもありました。
とにかく構内が狭いため雑踏事故が起きないように多くの係員が応援に来ていました。「ビクトリーはくと」の乗客は号車ごとに並ばされ、米子方から入ってきた列車に号車ごとに乗っていきました。停車時間が短かったのでとにかく急いで乗らされた印象があります。
鳥取大学前~姫路間の指定は指定席・グリーン席ともに満席になっていました。共通テスト(私の頃は「センター試験」でした)の結果を受けて鳥取大学に出願すると決めてから帰りの列車の手配をするでしょうから、予約通りに乗っているなという感じでした。
また、列車の性質上、鳥取大学前で全部席が埋まるかとばかり思っていました。私の乗車した号車では鳥取大学前発車時点では半分強しか乗っておらず、鳥取できっちり満席になりました。これはちょっと意外な流動でした。
上郡から下車客が少しずつ現れ、姫路で半分近くが降りました。大阪より東から来ている人は姫路で新幹線に乗り換えるためだと思います。私の近くにいた客も新富士までの乗車券を持っていました。
「ビクトリーはくと」の車両は「スーパーはくと」と同じ智頭急行のHOT7000系です。なので外観上の違いはありません。
珍しいのは大阪行きの表示でしょうか。特に車外の側面の表示は列車名の表示はなく、行先だけ「大阪」と表示されているだけでした。
「ビクトリーはくと」の所要時間は臨時列車ゆえ鈍足でした。定期の「スーパーはくと」と比較してみます。
ビクトリーはくと | スーパーはくと | |
---|---|---|
鳥取~大阪間トータル | 3時間14分 | 2時間25分~46分 |
鳥取~姫路間 | 2時間08分 | 1時間29~39分 |
上郡~姫路間 | 35分 | 22~23分 |
姫路~大阪間 | 1時間05分 | 53分~1時間06分 |
個人的に着目したのが上郡~姫路間と姫路~大阪間の所要時間です。上郡~姫路間は列車の本数がそれほど多くない割にやけに余裕を持たせているのに、姫路~大阪間は定期列車と遜色ない所要時間です。これは単線の智頭急行線内で発生するであろう遅れを姫路までにできるだけ回復させ、姫路より東の高頻度運転区間に影響を及ぼさないようにしたためじゃないかと踏んでいます。
実際に智頭急行線内での対向列車遅れのため、上郡駅を12分遅れで発車しました。しかし、上郡を発車してからぶっ飛ばして姫路には2分遅れにまで短縮しました。たぶん大阪にはほぼ所定時刻に到着したんじゃないでしょうか。
ここからは私の推測でしかないんですが、「ビクトリーはくと」という列車名は2024年で終わりのような気がしています。「ビクトリーはくと」とダイヤ改正前後の「スーパーはくと」を比較してみます。
ビクトリーはくと | スーパーはくと (改正前) |
スーパーはくと (改正後) |
|
---|---|---|---|
運転区間 | 鳥取大学前→大阪 | 京都~倉吉 | 京都・大阪~鳥取・倉吉 |
設備 | 全車指定席 | 自由席あり | 全車指定席 |
鳥取大学前駅に | 停車 | 通過 | 通過 |
今年3月のダイヤ改正前まではこの程度の違いがあったんですが、ダイヤ改正で「スーパーはくと」は京都発着が2往復に減った代わりに大阪発着が6往復設定されました。また、自由席がなくなり全車指定席化されました。なので「ビクトリーはくと」とダイヤ改正後の「スーパーはくと」との違いは鳥取大学前に停車するか否かというだけになっています。
なので、来年は「ビクトリーはくと」という列車名は使わずに、「スーパーはくとXX号」みたいな「スーパーはくと」の増発として設定されるような気がしています。当たるかどうかは分かりませんが、冬臨の発表がある10月には答えが出ると思います。