3月4日で伯備線・新見駅のみどりの窓口が閉鎖し、翌日からみどりの券売機プラスに置き換えられました。
伯備線中間駅の有人窓口はコロナ禍を挟んだ5年間でこのような推移になっています。5年前に既に無人だった駅は省略しています。
2019年4月末 | 2024年4月現在 | 合理化時期 | |
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清音 | みどりの窓口 | 無人 | 2021/2 |
総社 | みどりの窓口 | 【MV+】 | 2021/2 |
備中高梁 | みどりの窓口 | 【MV+】 | 2021/2 |
井倉 | 簡易委託(車発) | 無人(簡易委託解除) | 2022/3 |
石蟹 | 簡易委託(POS) | 無人(簡易委託解除) | 2022/9 |
新見 | みどりの窓口 | 【MV+】 | 2024/3 |
生山 | みどりの窓口 | 無人【MV+】 | 2021/6 |
根雨 | みどりの窓口 | みどりの窓口 | ― |
江尾 | 簡易委託(POS) | 無人(簡易委託解除) | 2024/3 |
伯耆大山 | みどりの窓口 | 無人【MV+】 | 2020/3 |
【MV+】はみどりの券売機プラスを示します。2021年1~3月にかけて旧岡山支社管内のみどりの窓口に大ナタが振るわれて、伯備線内も清音・総社・備中高梁の3駅のみどりの窓口がなくなりました。清音については「みどりの券売機」すら設置されず無人化されています。
新見から北の旧米子支社管内も似たようなもので、伯耆大山・生山と相次いでみどりの窓口がなくなり「みどりの券売機プラス」が設置されています。生山についてはみどりの窓口閉鎖と同時に無人化されましたが、伯耆大山については閉鎖から4年経った今年4月に無人化されました。また、簡易委託駅はここ2年ほどで全滅しています。
その結果みどりの窓口が残ったのは新見と根雨の2駅だけでした。両方とも特急停車駅ですが、全列車が停車する新見の方がみどりの窓口が残る可能性は高いだろうなと踏んでいました(むしろ根雨に残ったのが不思議でした)。
直近で新見駅を訪れたのは発売終了間近の「懐鉃入場券」を買いに行った昨年12月のことでした。この頃から近いうちに閉鎖するのではないかという噂は聞いていましたが、みどりの窓口がこれだけ減っている上に伯備線の拠点駅でもありさすがにデマじゃないかと思っていました。
閉鎖前の新見駅のみどりの窓口の営業時間は8時~20時でした。JR西日本ではほとんどの駅でみどりの窓口の営業開始は8時に統一しています。長距離客が見込まれる岡山行の特急「やくも」は8時前に2本新見駅を発車している上に「みどりの券売機」もなかったので、券売機を設置せず地域事情も考慮せず全社画一的に窓口営業開始を8時とするのはマズいと思っていました。
3月4日でみどりの窓口は閉鎖になったものの、翌3月5日からは朝5時半~23時までオペレーター対応する「みどりの券売機プラス」が利用できるようになったので、早朝の利用者に対してはサービス改善になったようにも感じました。
ところが一昨日(5月7日)に6月1日から「みどりの券売機プラス」のオペレーター対応時間を現行の5時半~23時から8時~20時に短縮することを発表しました。「コロナ等の環境変化」という何ら具体性がない言い訳に加え、早朝深夜対応を行わないことで昼間の混雑緩和に注力することを理由としています。
確かに昼間の混雑緩和は喫緊の課題かもしれません。しかし、以前みどりの窓口を閉鎖し「みどりの券売機プラス」に置き換える際に利用者に対して『早朝から深夜まで利用できみどりの窓口より営業時間が長くなるから便利になる』という説明をしていました。
オペレーター対応時間をみどりの窓口並みに短縮してしまうとこの説明が詭弁になります。うがった見方をすれば最初からオペレーター対応時間を短縮するつもりでコロナ禍云々は後付けの理由に過ぎず、サービス劣化を隠して利用者を騙し討ちしたようにも見えます。
JR九州では短縮し過ぎたみどりの窓口の営業時間を4月から延長した駅がいくつかあります。最大で7時間延長した駅もあるぐらいです。JR東日本は昨日の社長会見で混雑激化で苦情が殺到したため、みどりの窓口の閉鎖を見合わせ当面は現状維持することを発表しています。
このようにコロナ禍によって行き過ぎた有人窓口の切り捨てを揺り戻す動きがある一方で、JR西日本は引き続き削減で突き進むのか注目しています。今はコロナ禍が終息しインバウンド客も戻ってきて駅ナカビジネスも含め目先の営業成績は好調なのかもしれませんが、こんなことを続けていては中長期的にJR離れにもなりかねません。きっぷを買うのに不便で長時間待たされる交通機関なんて誰も利用したくないです。
JR西日本は19年前に福知山線脱線事故を起こし乗客に多数の死傷者を出しました。事故の遠因となった企業風土や乗務員の教育や指導の在り方については世間の強い批判を浴び、その是正にはしんどい思いをして大変な時間と労力をかけてきたはずです。誤っていたことを正す大切さはどの会社よりも理解していると思いたいです。