悪夢のような大震災から1ヶ月半が経ち、不通になっていた東北地方の鉄路は徐々に復旧しつつあります。岩手県の不通区間で最初に復旧したのは震災から5日後の3月16日の三陸鉄道北リアス線・久慈~陸中野田間でした。三陸鉄道は同区間の列車を「復興支援列車」と位置づけ、3月31日まで運賃を無料としました。
(久慈駅:平成18年7月)
その後、3月20日に宮古~田老間が、3月26日には田老~小本間が運転再開しました。これで北リアス線の半分強が運転再開したことになります。地域の復興の先頭に立とうという三陸鉄道関係者の矜持のようなものを感じました。そして、この調子で復旧が進めばいいなと思っていました。
しかし、4月4日の三陸鉄道社長のメッセージを見て、事態はそんな楽観的ではないことを思い知らされました。要約すると、自力で復旧できる区間は復旧させたものの、残る区間のギブアップ宣言です。確かに三陸鉄道一社でも、沿線市町村でも、岩手県でも、これだけの被害状況になれば対処不能で、復旧には国による支援が不可欠だと思います。野放図に財政出動すればいいとは言いませんが、三陸鉄道は交通弱者に対するライフラインとして道路や港湾設備と同様に復旧させて欲しいと思います。
ただ、津波で壊滅的な被害を被った地域は集落全体を高台へ移転することを視野に入れているようですので、そうなった場合は線路を敷設するルートの選定から行う必要があり、復旧には数年はかかりそうな感です。これは同じく津波の被害を被ったJR東日本でも同様のようです。
さて、このきっぷは私が最後に三陸鉄道に乗車した際に南リアス線・三陸駅で購入した盛接続の南リアス線→JR連絡券です。三陸駅は旧・三陸町(現在は大船渡市に編入)の中心駅で、観光案内所のおばちゃんがきっぷを発売していました。快速「リアスシーライナー」に乗車していた際の交換待ちで、快く売ってもらえたのが記憶に残っています。
おばちゃんは補充券を書く手を動かしながら「こういうの(手書きのきっぷ)お好きなんですか?」と聞いてきました。私がちょっと返答に窮していると、「ふふふ愚問でしたね」と自己完結されてしまいました。まぁ確かに愚問だったんですが…。
情報が少なく正確なことはわからないんですが、三陸駅は比較的高台にあったせいか駅舎自体は津波で損壊することはなく無事だったようです。南リアス線復旧の際にはまた訪れてみたいと思っています。