JR北海道は5月11日~31日の3週間限定で「特急トクだ値スペシャル21」を発売することを3月21日に発表しました。GW後に需要が落ち込むためその利用促進を目的としていました。乗車の21日前まで購入する必要がありましたが、割引率はなんと60%でした。
今までの「トクだ値」の最大の割引率は55%だったので60%は前例のない割引率です。いくら北海道の閑散期とはいえ、過去に前例のない割引をしてまで利用促進しなければいけない理由があるんだろうなと考えました。
やはり考えられるのが、今年3月のダイヤ改正で実施された一部特急列車の全車指定席化とトクトクきっぷの廃止によって、JR北海道の想定以上に特急利用が落ち込んだことじゃないかと思います。指定席の前売り状況を対前年と比較してある程度実際の見込みが分かるので、見込みの数字が思った以上に悪くて慌てたのかもしれません。
特に特急「すずらん」の落ち込みは大きいようで、北海道新聞の記事でもたびたび取り上げられています。素人の私が見ても全車指定席化による実質値上げとトクトクきっぷの全廃を同時に進めたのは明らかに拙速と感じました。
「特急トクだ値スペシャル21」の対象は道内の特急列車すべてです。設定区間の数は列車や方面によってまちまちでした。
設定区間 | |
---|---|
北斗・すずらん | 70区間 |
おおぞら・とかち | 16区間 |
ライラック・カムイ | 8区間 |
オホーツク・大雪 | 6区間 |
宗谷・サロベツ | 8区間 |
これは「特急トクだ値1」の設定区間と概ね同じです。「北斗・すずらん」はやけにきめ細かいですが、札幌~南千歳間および新函館北斗~函館間完結および沼ノ端・大沼公園発着以外は大半の停車駅相互に設定があり、札幌側は札幌と新札幌発着、函館側も五稜郭と函館発着がそれぞれで設定されているのでやたら多くなっています。
私が利用してきた「特急トクだ値スペシャル21」です。券面の表記は相変わらず割引率を示す「トクだ値60」となっています。定価が5,220円が2,080円にまで安くなっているので激安と言ってもいいんですが、「とかち」については通常時でも14日前で55%割引になるので、21日前購入で60%割引は若干インパクトには欠けました。
全車指定席化されてから初めて「とかち」を利用したんですが、閑散期の平日午前中の列車だったこともあり半分程度の乗車率でした。インバウンド客はほとんどいませんでした。閑散期に一回乗車しただけでは全車指定席化の影響は判断つかないところです。
記事作成時点での「特急トクだ値1・14」の割引率は以下の表のようになっています。「北斗」から「とかち」までの上の4列車はイールドマネジメントを導入し、需給によって価格を変動させています。「トクだ値14」のない「ライラック・カムイ」以下の5列車については区間ごとに価格(=割引率)が固定です。時期によって発売数を変動させているんだと思います。
トクだ値14 | トクだ値1 | |
---|---|---|
北斗 | 20・25・30% | 10・15% |
すずらん | 40・45% | 10・15・20・25・30・35% |
おおぞら | 30・35・40% | 10・15・20・25% |
とかち | 45・50・55% | 10・15・20・25・30・35・40% |
ライラック・カムイ | 設定なし | 30・35・45% |
宗谷 | 設定なし | 35% |
サロベツ | 設定なし | 45・50・55% |
オホーツク | 設定なし | 30・35% |
大雪 | 設定なし | 50・55% |
21日前に購入することで60%割引になるインパクトは大きいと感じますが、前日に40%以上の割引率で購入できる列車や区間があるのも事実(上の表の赤字部分)です。お得に感じるかは列車や区間によってそれぞれかなと思います。