京王観光の不正発券問題は年明けの「週刊文春」でのスクープで明るみに出ました。京王観光の3つの支店で支店長の指示によりJRの団体乗車券の人数をごまかして、その浮かせた分を支店の利益に計上していたという古典的ながらも悪質な手口で、被害総額は2億円にも及ぶと言われています。
京王観光はその名のとおり京王電鉄の子会社です。鉄道会社が会社間の信頼関係を逆手に取って組織的に別の鉄道会社を欺いていたわけですから、タチが悪さが際立っています。
JRグループとしてはごまかされた2億円だけでなく、罰金や遅延損害金は当然加算して請求するでしょうから、京王観光としてはごまかした金額以上の損害を被ることになります。主導した支店長は目先の利益のために不正行為を指示し、それが露見して会社の信用を傷つけ、多大な金銭的損害を与えたわけですから、当然懲戒解雇にするべきだと思いますし、当時の経営陣(本件発生時の京王観光の社長は現在の京王電鉄の社長に栄転しています)の監督責任も逃れられないと思います。
JRから京王観光という法人に対しては「全支店で**日間のJR券販売停止」ぐらいの処分かなと思っていました。ところが実際は「2月5日以降全支店で(当面の間)JR券販売停止」という厳罰になりました。新規の発券は2月4日までで、発券済みのものに対する変更・払戻については3月1日まで対応するそうです。
今後についてはまだ何とも言えません。私個人的な予想としてはJRグループとしても大口販路の一つである京王観光との委託契約を解除してマルスを引き揚げることはないと思います。ただ、正確な被害額はまだ確定できていませんし、京王観光の内部管理体制の見極めも必要でしょうから、JR券の販売停止が数ヶ月単位になるのは避けられないと思います。
ちょっと気になっているのはこの件は報道ばかりが先行していて、不正の当事者である京王観光(+電鉄)の動きがよく見えないことです。1月17日に京王電鉄のプレスリリースが1本出ていますが、「文春」の報道で表沙汰になったから後追いで出したような感がありありです。それに、昨年6月の不正発覚から半年以上経つのにまだ京王側でも調査を行っているのは動きが遅いよう見えます。
私の手持ちで京王観光のきっぷを探してみました。熱転写時代まで遡りますが、数少ないながらもありました。
京王観光の旅行会社記号は○京になります。渋谷駅営業所は昨年9月で閉鎖していますが、それよりずっと前にJR券の取り扱い自体を止めていました。仙台支店は市内中心部の愛宕上杉通沿いにカウンター店舗がありましたが、いつの間にかなくなり現在は団体専用の空中店舗になっています。
平成12年当時はJR東日本管内でVIEWカード以外のクレジットカードが利用できなかったため、こうして旅行会社を利用していました。今ではJRグループ全社でクレジットカードが利用できるので、旅行会社を利用する頻度がだいぶ減った感じはします。
他の旅行会社の例に漏れず、京王観光の店舗も減りつつあるので、いつか回ってみたいと思っていましたが、少なくとも今はその時期ではないと思っています。販売停止の喪が明けたら考えてみますかね。