続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

北海道新幹線の常備乗車券

 3月26日で北海道新幹線は開業5周年を迎えました。JR北海道の経営状態がマズくて新幹線を担うのに大丈夫かいな?と思っていましたが、大きなトラブルもなく持ちこたえました。

 ただ、新型コロナの影響を受けて北海道新幹線の今年度第2四半期までの累積の営業損失は60億円を超えました。管内の単独の路線では最多で、JR北海道の営業損失の合計の2割弱を占め、ただでさえ悪い業績の足をさらに引っ張っています。札幌に延伸するまでは辛抱の日々が続きそうです。

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新函館北斗駅のポスター 2021/10/29

 それはさておき、5周年を迎えた記念イベントの一つとして、北海道新幹線の各駅相互間で常備軟券の乗車券を発売しています。購入すると専用の台紙が貰えます。記念券的なきっぷですが一定の数量を常時用意し、なくなり次第終了という扱いです。内容は以下の6種類で、自駅発しか発売しません。

発駅(発売駅) 着駅 発売額 地紋色
奥津軽いまべつ 木古内 1,680円 ピンク
新函館北斗 2,420円 薄青
木古内 奥津軽いまべつ 1,680円 ピンク
新函館北斗 860円 ピンク
新函館北斗 奥津軽いまべつ 2,420円 薄青
木古内 860円 ピンク

 営業キロ100Km以内ではピンク地紋で、超えると薄青色の地紋になります。単純に6種類全部集めるだけで9,920円になります。私のような酔狂なきっぷヲタが実使用して全部集めようとするとさらに特急料金が必要になるので2万円近い出費になります。うまいこと考えたもんです。

 こういう券が3月から発売されていることは知っていたんですが、しばらく北海道から足が遠ざかっていたので集められませんでした。ところが、10月に緊急事態宣言が明けて出張が解禁になると、立て続けに北海道2回・青森1回の出張が入りました。

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奥津軽いまべつ発
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木古内発
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新函館北斗発

 ありがたくそれに便乗して、10月29日に新函館北斗~木古内の往復、11月22日に新函館北斗~奥津軽いまべつの往復、12月9日に奥津軽いまべつ~木古内の往復という具合に短期間で6枚コンプリートすることができました。

 道内の簡易委託駅で発売されている常備軟券の乗車券と同じ様式で、経由はすべて「北海道新幹線」となっています。小児断線が入っていますが、小児用の発売はしないとのことです。変に様式を変えず記念券っぽくしていないのに好感が持てます。

発駅 着駅 券番 実発売枚数 発売日数 1日あたりの
売れ行き
奥津軽いまべつ 木古内 0746 736枚 260日 2.83枚
新函館北斗 0499 489枚 242日 2.02枚
木古内 奥津軽いまべつ 0704 694枚 260日 2.67枚
新函館北斗 0907 897枚 219日 4.10枚
新函館北斗 奥津軽いまべつ 0784 774枚 242日 3.20枚
木古内 1506 1496枚 219日 6.83枚

 券番0001〜0010は地元に進呈し、一般向けに発売しないとのことなので、実発売枚数は券番-10です。それを元に発売枚数と3月26日からの発売日数で割ると1日あたりのおおよその発売枚数が分かります。

 やはり一番よく売れているのは安くてアクセスが便利な新函館北斗〜木古内間で、一番売れていないのは高くて駅までのアクセスも不便な奥津軽いまべつ〜新函館北斗です。

 ここで下世話な試算をしてみます。常備券の乗車券を購入した人が全員特定特急券も購入し実使用したとしたら、どれだけの売り上げが立つか算出してみます。

発駅 着駅 乗車券 特定
特急券
1日あたりの
売れ行き枚数
1日あたりの
平均売り上げ
奥津軽いまべつ 木古内 1,680円 1,520円 2.83枚 9,056.0円
新函館北斗 2,420円 2,850円 2.02枚 10,645.4円
木古内 奥津軽いまべつ 1,680円 1,520円 2.67枚 8,544.0円
新函館北斗 860円 1,330円 4.10枚 8,979.0円
新函館北斗 奥津軽いまべつ 2,420円 2,850円 3.20枚 16,864.0円
木古内 860円 1,330円 6.83枚 14,957.7円
合計 69,046.1円

 1日約69,000円貢献しています。これを半期に換算すると

 69,000円 × 183日(4月1日~9月30日の日数) = 12,672,000円

 この分全てが上乗せではないと思いますが、北海道新幹線の今年度第2四半期までの営業収益(≒売り上げ)が20億0800万円なので0.6%を占めます。

 0.6%が大したことはないと感じるか、大きいと見るかは人それぞれですが、ちゃんとした紙切れを刷ってオマケの台紙を付けただけで売り上げが0.6%増えたんですから、私は意外と大きいと感じます。

 とにかくJR北海道はいろいろ工夫して売り上げを増やさないといけないと思います。こういうちゃんとしたきっぷを出してもらえれば、きっぷヲタとして協力できるところは協力しますんで。次なる企画に期待です。


 今年の記事はこれで終わりです。今年は新型コロナ禍が長引いて各社の業績が悪化したため、新幹線や特急列車は間引きが続き、駅の窓口閉鎖や無人化、実質的な値上げやトクトクきっぷの縮小が今までにないペースで進みました。JR西日本の社長が「10年スパンで考えていたことを2~3年のうちにやらなければならなくなった」と言っていましたが、その通りとなりました。

 私自身今年は修行のごとく駅巡りをしていたような気がします。窓口閉鎖や無人化はしばらく続きそうなので、健康か仕事か金銭面に不測の事態が生じなければ来年もそんな感じになると思います。

 あと、甥1を連れて行く旅行が月1回ペースで発生したのが特筆すべきことですかね。甥1は撮ることに夢中で、きっぷにはあまり興味なさそうですが、ジャンルは異なれど人様の迷惑をかけない鉄ヲタに教育するのも親世代の責務かなと感じています。

 昨年最後の記事の末尾に書いた今年一年の予想の結果はこうなりました。

  • 国の支援で一息ついたJR北海道の廃線協議が地元自治体の抵抗で停滞する。
    →廃線協議に進展なし。当たり。
  • JR東日本のどこかの路線が自然災害で長期間の不通が発生する。
    →ハズレ
  • JR東海が静岡地区にも駅遠隔管理システムを導入。
    →ハズレ
  • JR西日本で利用者減を理由にみどりの券売機を撤去する駅が出る。
    →ハズレ
  • JR四国が利用の少ない駅の廃止を打ち出す。
    →ハズレ
  • JR九州と地元自治体の交渉が難航し肥薩線の復旧方針がまだ決まらない。
    →交渉以前の問題で費用の見積もりすらしていない。半分当たり。

もう少し当たると思っていましたが、未来を予想するのはなかなか難しいですね。アディオス!