志国高知幕末維新号
◆種別:快速
◆区間:高知~窪川
「志国高知幕末維新号」は土讃線・高知~窪川間で運転されている観光トロッコ列車です。このルートは幕末に坂本龍馬が土佐を脱藩する時に通った道の一部とされ、大政奉還から150年を迎えた平成29(2017)年の秋から運転されています。
トロッコ車両(キクハ32-501)1両+控車のキハ185系で運転されています。トロッコ乗車区間は上下とも伊野~土佐久礼間です。それ以外の区間は控車で過ごすことになります。
以前紹介した「伊予灘ものがたり」もそうですが、四国の観光列車では下り列車が奇数号、上り列車が偶数号という一般的な規則が当てはまりません。この列車については下り列車(窪川行)が「龍馬立志の巻」、上り列車(高知行)が「日本の夜明けの巻」となっています。
指定券はこんな感じです。列車名は「幕末維新号」と略され、上り下りに相当する「龍馬立志の巻」はすべて表記されていますが、「日本の夜明けの巻」は「日本夜明の巻」と少し略されています。チケッターは高知運転所のアンパンマン列車のデザインです。
この列車では日替わりで地元の高校生やボランティアの人が乗車し、沿線の観光案内や車内販売を行っています。私が乗車した日は伊野商業高校の生徒さんが乗車していました。高校生とは思えないぐらい分かりやすく聞き取りやすいガイドで、プロ顔負けでした。聞いたところによると、同校の「キャリアビジネス科ツーリズムコース」という将来は旅行業界への就職を目指すっぽい学科の生徒だそうで、そもそも職業に対する意識が違うのかもしれません(ちなみに、乗車していたのは全員女子だったので、車内販売が飛ぶように売れていました)。


また、往復に貰えた記念乗車証は伊野商業の生徒が一枚一枚手で漉いた土佐和紙だそうです。普段、記念乗車証はあまりこだわりはないんですが、これは特別感があってありがたみを感じました。
土讃線で一番景色の良いところは安和駅付近の太平洋岸だと思っています。その付近は減速し、安和駅には1分ほど停車します。1分と言わず5分ぐらい止まってもらいたいぐらいでした。海側の席は偶数番の席になります。
逆に山側の景色での見どころは山の中に突然現れる巨大な工場群です。まるで映画「ハウルの動く城」で出てくる景色のようです。実際は白石工業という会社の石灰石を扱う工場だそうです。ここは夜景でも違った姿を見せてくれそうな感じがします。
私が乗車した日はキハ185系が2両連結されていました。多度津寄りの先頭がボランティアの生徒の、真ん中が乗客用の控車で、最後尾がトロッコ車両になっています。
ところで、この「志国高知幕末維新号」ですが、運転開始から2年目の今年11月30日で運転終了となります。後継として来年春から「志国土佐時代の夜明けものがたり」というキハ185系ベースの全車グリーン車で食事も楽しめる特急列車が登場します。同様のコンセプトで一昨年から運転されている特急「四国まんなか千年ものがたり」が好調なので、二匹目のドジョウを狙った感はあります。
ひょっとしたら、ガイドをしてくれた伊野商業の生徒の中で「志国土佐~号」のアテンダントとして乗務する人が現れるかもしれません。そんなことも楽しみにしながら、来年の早いうちに「志国土佐~号」にも乗ってみたいと思います。
【補足:2020/10/3】
「志国高知幕末維新号」は運転終了したのでカテゴリーを追加しています。車両は改造され今月から「藍よしのがわトロッコ」として徳島線で運転される予定です。