「乗継用eきっぷ」とは在来線特急の「eきっぷ」の亜種で、山陽・九州・北陸新幹線と乗継割引適用駅で乗り継いだ際に発売される特急券です。
ちょっと古いですがこちらの右側が現物です。右下に大きく「乗継」ではなく右上にごく小さく「乗継用」と印字されているのが特徴です。なお、岡山接続の「乗継用eきっぷ」は今年3月末で岡山接続の乗継割引が廃止されたことに伴い発売終了しています。
このきっぷが発売された2015(平成27)年当時の料金です。5月6日は繁忙期なので通常のきっぷの料金は繁忙期で計算しています。
通常のきっぷ | eきっぷ | |
---|---|---|
小倉~岡山 「みずほ」特急料金 |
5,020円 | 3,630円 |
岡山~大歩危 「南風」特急料金 |
1,270円 | 1,370円 |
小倉~大歩危合計 | 6,290円 | 5,000円 |
通常のきっぷの「南風」の特急料金は乗継割引前が2,550円で、乗継割引が適用されて1,270円になっています。「みずほ」も「eきっぷ」で割安になっているため、「乗継用eきっぷ」は正規料金の半額より若干高い1,370円になっています。とはいえ小倉~大歩危間のトータルでは「eきっぷ」が通常のきっぷより割安になっています。
乗り継ぎを含め「eきっぷ」が利用できる区間ではあえて通常のきっぷを選択する理由はないと思っていました。
しかし、その長く染みついた固定観念をひっくり返される時が来ました。e5489で城崎温泉~岡山間の特急券を買おうとした時のことです。城崎温泉~姫路間は特急「はまかぜ4号」で姫路~岡山間は新幹線を想定していました。
「はまかぜ」は全車指定席で自由席はありません。乗り継ぐ「みずほ609号」は指定席にしてみました。なんと通常のきっぷより「eきっぷ」の方が120円高くなっています。これでは何のためのJ-WESTカードなのか分かりません。気になったので決済はせずパターンを変えて調べてみました。
乗り継ぐ新幹線を加算料金がかからない「ひかり513号」にしてみました。やはり通常のきっぷより「eきっぷ」の方が130円高くなっています。
今年10月からの「EX予約」の値上げに伴って、e5489や九州ネット予約で発売する山陽・九州新幹線のe特急券の発売額も同額に値上げされました。同じ区間であればどの列車にいつ乗っても同額だった特急料金はのぞみ・みずほの加算料金が上乗せされ、繁閑の変動も加わるようになりました。
乗継割引適用後の通常のきっぷの城崎温泉~姫路間の特急料金は1,190円(通常期)で、同区間の「乗継用eきっぷ」の料金は1,400円(通年同額)です。値上げで新幹線部分の「eきっぷ」が全体的に高くなったことによって、この210円の価格差を吸収できなくなったからだと思います。
「みずほ」を自由席にしてみましたが、通常のきっぷより「eきっぷ」の方が高いのは変わりませんでした。とにかく「eきっぷ」は安いと思いこんでいたので、通常のきっぷより高い区間があるのは驚きでした。
もっとも、来年3月には乗継割引制度自体が全廃される予定なので、同時に「乗継用eきっぷ」も発売終了となるはずです。その際には通常のきっぷより「eきっぷ」が割高になるという逆転現象は図らずも解消されるものと思われます。