続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

厚床

 厚床駅は北海道根室市にある根室線の駅です。厚床から終点の根室までの46.6Kmの区間はすべて根室市内の駅です。

標津線が分岐していたことを示す看板:厚床駅 2023/9/30

 1989(平成元)年4月まで厚床駅から標津線の厚床支線が分岐し中標津まで結んでいました。さらに1963(昭和38)年までは別海村簡易軌道も発着していたそうです。根室線以外はいずれも廃止され現在はただの中間駅として存続しています。

厚床駅の釧路方(手前が1番線で奥が使用停止した2番線) 2023/9/30

 標津線廃止までは駅舎側のホームと島式ホームの2面3線でしたが、標津線廃止の際に島式ホームの中線を撤去し2面2線となりました。さらに2016年3月に花咲線が減便された際に島式ホーム側の1線(2番線)も使用停止し、現在は駅舎側のホーム(1番線)のみを使用する1面1線の棒線駅となっています。上の写真では2番線側の信号機が横を向ているのが分かります。

厚床駅2番線に残るベンチと駅名標 2023/9/30

 2番線の景色はかつて「青春18きっぷ」のポスターに使われたことがあるそうですが、あいにく立ち入り禁止です。駅舎側のホームからこの程度には写真が撮れます。

厚床駅 2023/9/30

 駅舎は標津線廃止後の1989年10月に建てられた駅です。鉄道駅の機能だけでなくバスの待合室もありました。美深駅や音威子府駅などと同様に、時期的に標津線の廃線交付金を利用して建てられた感があります。

厚床駅窓口 2023/9/30

 駅舎内にはきっぷを売っていたと思われる窓口がありますが、1995(平成7)年8月末で無人化されています。JR北海道では平成7年時点でも硬券がバリバリ現役だったので、常備軟券に移行する前に無人化されたと思われます。

根室線の乗車券(国鉄地紋)

標津線の乗車券(JR北地紋)

 JR化後に厚床駅で発売していた乗車券です。標津線のものもありました。これ以外にも長距離乗車券や急行券も発売していたと思われますが、私の手持ちではこれだけしかありませんでした。


 私が当地を訪ねた9月30日は厚床駅で一つの大きな出来事がありました。厚床駅と中標津バスターミナルとを結び標津線の代替バスの役目を果たしていた根室交通中標津線がその日で廃止となりました。

厚床駅で発車を待つ最終日の根室交通中標津線のバス 2023/9/30

 標津線の廃線から34年経って代替バスまでも廃止されてしまいました。くしくも同じ日に胆振線や天北線代替バスも一部区間廃止や区間短縮が行われ、代替バスの先行きの厳しさを実感せざるを得ませんでした。

 原因は人口減による単純な利用者の低迷に加え昨今の運転手不足が重なったようです。今までは鉄道廃線後の代替交通としてバス転換が最初に検討されましたが、今後はバス会社が引き受け能力があるかという問題を最初にクリアしなければなりません。ダメならデマンドバスやデマンドタクシーで大型二種免許が不要な小型車両で運行されることになります。

根室交通中標津空港線のバス:中標津バスターミナル 2023/10/1

 10月からの標津線の代替バスは中標津~別海間に短縮し阿寒バス中標津別海線が担っています。また、厚床・別海を経由して根室と中標津空港を結んでいる根室交通中標津空港線は引き続き運行されるので、厚床と中標津を結ぶ代替交通が完全に途絶えたわけではないのがせめてもの救いです。ただ、空港バスは飛行機の時刻に合わせて運行されるので、地元の人にとって使いやすいダイヤになっているかと言うとそうではないのかもしれません。