鉄軌道王国とやま1日周遊乗り放題きっぷ
路面電車(市電)はかつて全国各地で走っていましたが、モータリゼーションの進展により全盛期より事業者・路線数とも大きく減らし衰退しています。
しかし、富山県は異彩を放っています。事業者が三社もあり、うち一社は平成17年にJR富山港線を軌道化して開業した富山ライトレールという新しい会社です。
また、高岡市にある「万葉線」は平成13年に経営悪化を理由に廃止の意向を示した加越能鉄道から地元が出資する第三セクターに移管しました。移管後は低床の新車を投入し、先ごろ完成した高岡駅新駅舎の直下までわずかながら路線を延長し利便性を高めています。雪が多いところですので、濡れずに乗り換えができるのは大きいです。なお、まだ試算したレベルですが城端線に乗り入れて北陸新幹線・新高岡駅と結ぶ構想もあるそうです。
富山市の既存事業者である富山地方鉄道(富山地鉄)では平成21年に富山都心線という新線を開業し、富山駅高架化が完成した際は富山ライトレールと接続する予定です。富山市のコンパクトシティ化構想の一環で公共交通を基軸にしたまちづくりが進められているので、「流れに乗った」感はありますが、衰退とは全く逆の既存資産を有効利用する流れになっていることは特筆できるかと思います。
昨年の夏休み~11月末の土休日限定で「鉄軌道王国とやま 1日周遊乗り放題きっぷ」(以下「鉄軌道きっぷ」)というそんな路面電車を1日楽しめるフリーきっぷを試験的に発売しました。フリー区間は以下の通りでした。
【フリー区間】
文字に起こすとわかりにくいですが、路線図にするとちょうど四角く一周できるような形です。
このきっぷは北陸新幹線開業後の観光客増を見込んで魅力あるきっぷを開発する目的として富山県が主体となって進める社会実験の一環だったそうです。一昨年に発売された「富山県置県130周年記念乗り放題きっぷ」も同じような趣旨だったのかもしれません。
きっぷは富山県内のJR駅のみどりの窓口のみの発売でした。なので、このようなマルス券しかありません。趣味的には各事業者で発売してもらえると嬉しかったんですが。日付は改札口の係員や乗務員が日付を確認しやすいよう敢えて大きくしたんだと思います。1日限り有効のきっぷなんですが、有効期限の表記の仕方に特徴があります。
私は富山駅を起点に富山→高岡→越ノ潟→岩瀬浜→富山と時計回りに一周してきました。乗ることがメインだったのであまりいろいろとは見ませんでしたが、乗り物だけでも十分楽しめます。また、きっぷに合わせてクーポン付のガイドブックも貰えたので、きっぷの価格以上にお得感はありました。
このきっぷは昨年11月末で発売終了しましたが、3月の北陸新幹線開業の際にはまた同じようなきっぷが発売されるかもしれません。欲を言えば富山地鉄の市内線もフリーエリアに追加されるとしない散策にも便利でより良いと思います。