B.B.BASE外房
◆種別:快速
◆区間:両国~館山
「B.B.BASE」は2018年1月に209系を改造して登場したサイクルトレインです。「B.B.BASE」とは"BOSO BICYCLE BASE"の略で、その名の通り千葉県内を中心に運転されています。
209系と聞くと房総ローカルで運用されていた余剰編成を転用したと思われがちですが、南武線を走っていた209系の最後の編成(ナハ53編成)を「B.B.BASE」に改造して幕張車両センターに転属させたものです。
自転車を電車内に持ち込む場合、自転車は分解するか折り畳んで携行袋に入れる必要がありますが、「B.B.BASE」には自転車を固定するラックや紐が用意されていてその必要がありません。私は経験ないですが、自転車を積み込もうとする人にとっては手間が省けて楽だと思います。
また、床はゴムっぽい素材になっています。これはビンディングシューズ(自転車のペダルに固定させる専用の靴)でも履き替えることなく歩きやすいようそうしたそうで、こんなところにもサイクリストに対する配慮があります。
6両編成のうち5両は乗客と自転車を積み込み、4号車はフリースペースとして座席がない車両になっています。窓や扉が埋められかなりイメージが変わっています。209系をよくここまで改造したなと感心します。
座席はこのような2人または4人掛けのボックス席で、テーブルが据え付けられています。テーブルに一口コンセントもあります。ただ、窓枠の幅に合わせて座席が置かれているので、シートピッチはかなり広く、足を伸ばしてくつろぐという使い方には向きません。あと、テーブルがもう少し大きくてもいいと思うんですけどね。
運行開始以来、ツアー商品専用列車として運転されていましたが、昨年9月から1・2号車は指定席として発売されるようになり、私のような自転車を積み込まない鉄ヲタでも気軽に乗車できるようになりました。
おそらくサイクリストから一定の需要は掴んでいたんでしょうが、逆にツアー商品だけで満席にするほどの需要もなかったんだと思います。いずれにしろ、ツアー商品は変更や払い戻しに制約があって使いにくかったものが、全車指定席化で融通が利きやすくなる気はします。
「B.B.BASE内房号」は往路が両国~和田浦間、復路が館山~両国間で運転されました。自転車の積み下ろしができる駅は始発・終着駅に本千葉・岩井・館山を加えた5駅です。逆に言うとこれ以外の駅ではできません。客扱いする駅もこれだけなので、指定券の乗客もこの停車駅でしか乗り降りできません。
ただ、岩井駅は駅舎から跨線橋を渡って島式ホームに行かなければならないので、自転車を積み込むには適さないんじゃないかなと感じました。実際に岩井駅で積み込まれた自転車もなかったので確認できませんでしたが。
この日は時折雨が降るあいにくの天気でしたが、ツアー枠の方はほとんどのボックスが埋まっていました。ツアーで申し込んでしまうと変更が効かないので、雨天決行にならざるを得ないのでしょう。逆に指定券の方の2両はガラガラでした。
「B.B.BASE」は全列車両国発着で、かつて新聞輸送列車が発着していた臨時ホーム(3番線)から発着します。臨時ホームは頭端式で、両国駅が房総のターミナル駅だった名残りを感じさせます。この写真の左手にスロープが取り付けられていて、自転車で乗り降りしやすくなっています。東京都内でこういうホームの使い方をできるのはここ両国駅と上野駅ぐらいだと思います。
何回か乗ってみて、自転車で利用するにはよく考えられた列車だなと感じました。ちなみに自前で自転車を持っていなくても、両国駅で貸し出してくれるサービスがあります。
指定券は「えきねっと」でも対応しています。観光列車メニューの「のってたのしい列車の申込」から検索するとラクです。指定席料金は普通列車標準の530円ではなく、観光列車価格の840円が適用されています。B.B.BASEのユニフォームを着たスタッフが数人乗車していますが、彼らが車内改札をやることはなく、車掌も車内改札には回ってきませんでした。
なお、来月のダイヤ改正以降の運転からはツアー商品での発売を終了し、全席指定席で発売されるようになります。乗車券は別途必要なので、Suicaなどの交通系ICカードや「休日おでかけパス」や「サンキューちば♥フリーパス」(期間限定・現在発売休止中)などフリーきっぷとの併用も考えられます。