JR九州の福岡・北九州地区で発売されている「お買い物往復きっぷ」がネット予約専用化され、駅窓口や指定席券売機での発売を終了しました。
以前は土休日になると博多駅や小倉駅ではみどりの窓口の前にテーブルを出して、係員がPOS端末で「お買い物往復きっぷ」をメインに発売する臨発をやっていたぐらいで、買いやすいよう力を入れている印象でした。気軽に買えていたきっぷをネット予約専用にして販路を狭めてしまうのは驚きでもありました。
ネット予約と聞くと、PCでもスマートフォンでも両方使えるイメージがあると思います。実際JR九州もそういう造りになっているんですが、スマホの場合JR九州アプリから「お買い物往復きっぷ」を予約することができず、ブラウザから予約サイトにアクセスする必要があります。私も当初アプリから予約しようとして見つからず困惑したクチです。
ブラウザの方も経路検索画面で「博多→小倉、特急利用、新幹線は利用しない」という条件で検索しても「お買い物往復きっぷ」は候補に出てきません。JR西日本のe5489だったら往復で割引になるトクトクきっぷも検索結果に出てきます。
結局、「お買い物往復きっぷ」はトップメニュー右上のボックスの「おトクな割引きっぷから予約する」メニューから検索しないと見つからないというあまりイケてない造りになっています。
昨年暮れに嫁が北九州の実家から友人に会うために博多へ行くことになった際に利用した「ネット限定!お買い物往復きっぷ」です。嫁はネット予約にあまり慣れていないため、私がネット予約で予約だけ入れて、受け取り時に駅でカード決済したものです。もし、買えなかったら普通列車で行くつもりだったそうです。
ちなみにきっぷの価格はネット予約専用化される前と変わっていませんが、追加料金なしで利用できた特急「きらめき」の指定席が利用できなくなり、「きらめき」でも「ソニック」でも指定席の利用には指定料金券の購入が必要になっています。
トクトクきっぷをネット予約専用にするのはJR西日本でもよく行われている手法で、目新しいものではありませんが、嫁のようにネット予約に苦手意識を持っていたり慣れていない人を遠ざけてしまうリスクがあります。私もそうですが、「きらめき」指定席の件や客側にひと手間増えて改悪と感じている人もいるでしょう。
以前、福岡市内のとある駅のみどりの窓口へ当日利用の「お買い物往復きっぷ」を買いに来た人を見かけました。窓口の係員からネット予約専用になって窓口で発売しなくなったことを告げられ、チラシを渡されていましたが、不満そうな顔をして何も買わず列車にも乗らずに帰っていきました。
JR九州では今のところチケットレスが導入されていないため、ネット予約で予約しても必ずきっぷの受け取りが必要です。受け取りはみどりの窓口がある駅で行う必要があります。指定席券売機や「ど~ぞ」が設置されている駅はありますが、ごく少数です。
多くの場合できっぷの発券時に係員が対応することになるので、「お買い物往復きっぷ」をネット予約専用にしたところで省力化にはなっていません。客にも客対応をする係員にも誰の得にもなっていないと思います。
おそらくJR西日本の真似をしたんでしょうが、JR西日本は時間をかけてみどりの券売機を増設(それに伴うみどりの窓口閉鎖や無人化はかなり強引だった面は否めませんが)し、チケットレスを含むネット予約のシステムも機能追加や改善を進めていました。
JR九州はその準備のための費用や時間を惜しんで、きっぷの発売だけネット予約専用にして、後先考えずに表面だけ真似したというのが実態でしょう。売り上げが減って大変な時期なのにわざわざ販路を狭めて何やってんの?という気がしますが。
どうも最近のJR九州は迷走ぶりが目につきます。