信州
◆種別:特急
◆区間:茅野~長野
特急「信州」は今年4月23日〜6月12日の一部土休日に茅野〜長野間で運転された臨時列車です。「信州」という列車名は国鉄時代に上野〜長野間を信越線経由で走っていた急行列車で使われて、JR化後は福井~長野間(直江津経由)の臨時特急としても使われました。
茅野〜長野間という一見中途半端な運転区間は、おそらくこの時期に開催されていた諏訪地区の御柱祭と長野の善光寺御開帳の行き来に便利なように設定したものと思われます。
御柱祭は申年と寅年に行われるので寅年の今年は所定の開催年ですが、善光寺御開帳は昨年が所定の開催年だったものの新型コロナの影響で一年延期され、今年御柱祭と同時開催となりました。
首都圏からだと、特急「あずさ」で茅野・下諏訪まで行き御柱祭を見て当地に泊まり、翌朝特急「信州」で長野へ移動し、善光寺を参拝してから新幹線で帰るという周遊型の旅行に利用できます。2往復運転されたので逆回りも可能です。似たようなコンセプトで塩山~長野間を結んだ特急「甲信エクスプレス」という臨時列車が設定されたことがありましたが、こちらはさほど定着せず2年で姿を消しています。
車両は中央線特急で使用されている松本車両センターのE353系の3両編成(付属編成)が充当されました。営業運転で付属編成単独で運転されることも、長野まで乗り入れることもないため、鉄ヲタにも注目の列車でした。グリーン車はなく普通車のみで全車指定席でした。
ダイヤは以下のような感じでした。
1号 | 3号 | 停車駅 | 2号 | 4号 |
---|---|---|---|---|
06:30発 | 12:45発 | 茅野 | 14:25着 | 21:00着 |
07:06着 07:10発 |
13:23着 13:34発 |
松本 | 13:49発 13:45着 |
20:23発 20:15着 |
↓ | ↓ | ↑ | ↑ | |
レ | 14:16着 14:40発 |
姨捨 | 12:36発 12:07着 |
レ |
08:11着 | 15:16着 | 長野 | 11:30発 | 18:55発 |
1時間41分 | 2時間31分 | 茅野~長野間 所要時間 |
2時間55分 | 2時間05分 |
(他の停車駅)
上諏訪、下諏訪、岡谷、塩尻、明科(2・3号)、篠ノ井
1号は朝早すぎる気がしますが、塩尻~長野間は平日運転の「おはようライナー」を置き換えた快速列車と同じダイヤで、定期列車のダイヤを利用しているので4本のうちで最速です。2・3号は日本三大車窓である善光寺平の最寄り駅である姨捨駅で30分ほど停車するため観光列車的な要素があり、1・4号より余分に所要時間がかかっています。4号は松本や茅野に到着する時間が遅く、単純に移動するだけの列車だと思います。同じ「信州号」という列車でありながら、それぞれで性格が異なっています。
私が乗車したのは移動するためだけの4号でした。長野で観光してからその日の宿泊地の松本へ移動するためでした。長野発の特急「しなの」の24号が18:11発で、26号が19:40発なので、「信州4号」はそのおよそ中間の時刻に発車する感じです。もっとも、松本到着時刻は長野を45分後に発車した「しなの26号」に15分差にまで詰められています。
同じ号車の乗客は20人程度だったので、せいぜい3~4割ぐらいだと思います。E353系で全車指定席なので、座席上のランプを使用するかなと思ったんですが、「着席サービス」の対象列車ではないため、使われず全部赤色になっていました。ランプを使わないときは消灯するってできないんですかね?
私が乗車した日は篠ノ井、稲荷山で長めに運転停車し、稲荷山を15分遅れで発車しました。どうやら中央線で人身事故があったようで、篠ノ井線もそれに巻き込まれダイヤが乱れていました。途中、交換列車をやりくりして松本にはほぼ定刻で到着しましたが、松本から先は運転打ち切りになってしまいました。ただでさえダイヤが乱れている中央線に、イレギュラー要因となる臨時列車を突っ込むのは得策ではないと判断したのでしょう。
長野と諏訪地区を直通する特急列車は現状ないので、ダイヤや料金設定をうまくやればビジネス客や観光客の需要を掘り起こせると思うんですが、特急「信州」は6月12日で運転を終え、夏秋の設定はありません。せっかく存在が少し知れたところで、ちょっともったいない気がします。