「Sきっぷ」は国鉄時代から発売されている特急・急行の自由席が利用できる近距離区間の往復割引きっぷです。
手元にある昭和63年3月号の時刻表で調べてみたところ、北海道が5区間、東北地方が8区間、新潟地区が7区間、関東地方が4区間、長野地区が1区間、北陸地区が12区間、関西地区が5区間、四国が5区間、山陰地区が6区間、九州が2区間の55区間も発売され、全国に広く普及していました。
その後、新幹線延伸に伴う在来線特急の廃止・短縮に、回数券タイプへの移行やトクトクきっぷ自体の縮小が進んで、現在もれっきとした「Sきっぷ」として発売されているのはJR北海道と四国だけです。両社とも基本的にマルス券や券売機券での発売になっていますが、ごくわずかに常備券の「Sきっぷ」を発売している駅があります。
その一つが予土線・近永駅です。金額式の乗車券や常備回数券、特補・料補と盛りだくさんできっぷヲタには有名な駅でもあります。そこで宇和島~松山間の「Sきっぷ」を発売しています。
現物はこんな感じのクーポンサイズの常備券です。
前売りもしてくれるので、12月に自分で購入して翌年1月に自分で使いました。関東地方在住の人間が1ヶ月の間に2回も愛媛県の西端を訪れていることが狂気の沙汰だと思いますが...。同様のものが卯之町駅(の簡易委託販売所)でも発売しているようです。
JR四国は8月10日のプレスリリースで、チケットレスで特急列車が利用できる「しこくスマートえきちゃんアプリ」(略称「スマえき」)を来月予定で導入することを発表しています。「スマえき」アプリ内で片道で特急自由席が利用できる「スマえきSきっぷ」を発売するとともに、同タイミングで特急列車の自由席が利用できる回数券を大幅に整理します。
区間 | Sきっぷ発売額 | スマえきSきっぷ 発売額 |
往復あたりの 差額 |
---|---|---|---|
松山~内子 | 2,520円 | 1,160円 | 200円 |
松山~伊予大洲 | 2,920円 | 1,340円 | 240円 |
松山~八幡浜 | 4,840円 | 2,240円 | 360円 |
松山~卯之町 | 5,160円 | 2,400円 | 360円 |
松山~宇和島 | 5,880円 | 2,720円 | 440円 |
往復タイプの「Sきっぷ」については引き続き存続しますが、上の表の通り南予方面は全区間とも「スマえきSきっぷ」×2回分の方が割安なので、明らかにそちらへの誘導を図っています。そして、「スマえき」アプリでのチケットレス乗車が普及してきたと判断されたタイミングで「Sきっぷ」は発売終了するような気がします。
よって、常備券に興味がある方は近永駅も卯之町駅も早めに行って集めておいた方がよさそうです。