田丸駅無人化
今年9月末で参宮線・田丸駅と関西線・加佐登駅が無人化されました。ローカル線でのJR東海の容赦ない無人化を進めており、今回の両駅のような小さい駅は標的になりそうな予感はありました。JR東海における在来線の赤字なんて新幹線の膨大な黒字と比べれば微々たるものだと思いますが、だからと言って赤字を放置するわけにもいかないのでしょう。
田丸駅は三重県度会郡玉城町の中心部にほど近いところにあります。三重県統計書という県の公式資料による乗車人員は平成18年の548人を底に下げ止まっており、利用状況は健闘していると思います。
田丸駅には自動券売機はなく、すべて窓口での発売でした。田丸駅からの乗車券と指定券を購入しました。快速「みえ」の大多数の列車は田丸駅を通過しますが、朝の名古屋行の2本と夜の伊勢市止まりの4本が停車します。
無人化前までは子会社の東海交通事業による業務委託駅でした。JR東海は以前の飯田線の駅と同様に、子会社の要員の引き揚げを通告するとともに、玉城町に対して簡易委託を受託するかどうかの打診をしたんだと思います。
ちなみに同タイミングで関西線・加佐登駅(鈴鹿市)も無人化されました。今年10月以降三重県内のJR東海の有人駅と平成22年度の乗車人員を列挙すると、以下とおりとなりました。
駅 | 乗車人員 (平成22年) |
|
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1 | 桑名 | 4678人 |
2 | 津 | 3354人 |
3 | 四日市 | 2266人 |
4 | 亀山 | 2120人 |
5 | 松阪 | 1683人 |
6 | 伊勢市 | 993人 |
7 | 多気 | 651人 |
8 | 熊野市 | 585人 |
9 | 尾鷲 | 546人 |
10 | 鳥羽 | 352人 |
11 | 紀伊長島 | 264人 |
有人駅が11駅にまで減ってしまいました。三重県の人口は北中部に集中しているとおり、北部の駅はそれなりに多いです。逆に南部の駅は市の中心駅でありながら今回無人化された田丸駅よりも少ないところがあります。この中からさらなる無人化があるとすれば、紀勢線・紀伊長島駅はちょっと危なそうな感です。同じぐらいの乗車人員で、同じ特急停車駅でもある三瀬谷駅は一足先に今年3月末で無人化されています。
JR東海は飯田線北部でも大規模な無人化を沿線自治体に通告しており、さらに再来年予定されている武豊線電化の際には半田駅以外の要員を撤収して遠隔管理すること(≒無人化)を発表しており、今後もローカル線の合理化は強力に進めていくようです。
JR東日本の窓口閉鎖(≠無人化)は都市部で派手に進めているため目立ちますが、JR東海では町や村で唯一の有人駅を少しずつ着実に完全無人化しています。JR東海にとっては利用客がいさえすれば駅に要員が居ようが居まいが運賃収入は関係なく入るという考えなんでしょうが、窓口の維持費をすべて地元自治体に丸抱えを要求し、それが通らなければ問答無用で無人化というやり方は強引過ぎる感はあります。
【補足:2019/12/12】
乗車人員を表に変更し、駅の写真と本文を修正しています。
【補足2:2023/4/9】
田丸駅の駅舎は2023年度の取り壊しが決まり、町が跡地に外観の意匠を残した交流施設を建てるんだそうです。なんてもったいない...。