続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

新十津川のこと

新十津川のこと

 JR北海道は11月18日に「当社単独では維持することが困難な線区について」というプレスリリースを発表しました。赤字の程度を明示し、バス転換もしくは鉄路を維持するための仕組みについて沿線自治体と協議したいという路線を公表しました。もっとも、前々から新聞報道等で報じされていたとおりの内容で、特段目新しいものはありませんでした。

 そのうち輸送密度が200人を下回る超閑散区間で、老朽構造物を抱えているためバス転換の方針が示されたのは下記の三線区です。

  • 根室線:富良野~新得
  • 留萌線:深川~留萌
  • 札沼線:北海道医療大学前~新十津川

Ikutora (根室線・幾寅)

 根室線のこの区間は8月の台風で大きな打撃を受け、現在も東鹿越~新得間が不通になったままです。仮に残りの区間を復旧させるにしても工事着手が来春以降になるとのことです。今後バス転換協議を睨みながら復旧工事はしばらく棚上げするのでしょう。ただ、特急列車や貨物列車が走る石勝線のバイパスルートをブツ切りにして、赤字がひどい部分だけ廃止してしまっていいものか疑問があります。

Tougeshita (留萌線・峠下)

 留萌線は今日で末端区間の留萌~増毛間が廃止されますが、末端にとどまらず路線全体をバス転換しようとしています。留萌線に乗っていると分かりますが、ほぼ並行するようにして深川留萌道路という線形のよい高規格道路(しかも無料!)が走っていて、3年後には留萌市中心部まで全通する予定です。私もレンタカーで走ったことがありますが、確か留萌~深川が40分程度で快適な道路でした。そうなると鉄道が今以上に厳しくなるのは明白です。私は存続困難と見ますが、留萌市を筆頭に沿線自治体がどういう判断をするのか注目しています。


Shintotsukawa (新十津川駅)

 最後に札沼線です。この区間は電化されなかった部分で、札幌から直通列車がないばかりか本数がガクンと減る区間です。さらに浦臼~新十津川間は今年3月のダイヤ改正で1日1往復にまで減便されました。新十津川の始発・最終列車は朝9:40です。これでは交通機関としての機能を果たしているとは言えず、もはや免許維持路線と化しています。

E0723

 私が7年前の札幌出張の帰りに利用したものです。この頃はまだ朝昼晩と1日3往復ありましたが、今みたいに1往復になってしまっては鉄ヲタが乗りに行くのも困難です。

Takikawa

 こちらの地図は新十津川駅と函館線・滝川駅との位置関係です。石狩川を挟んで直線距離で3Kmほどです。新十津川役場と滝川ターミナル(駅近接)をバスで約15分で結べる近さで、日中は1時間に1本あります。札幌との列車での行き来に札沼線を使う人はほぼ皆無でしょう。上のきっぷの発売箇所が滝川駅になっているとおり、私が7年前に訪れたときも行きは滝川経由で新十津川に入りました。

 JR北海道の幹部が新十津川町を訪れてバス転換の方針を伝えた際に、町長は廃止に反対する旨を伝え「地域として札沼線を維持していきたい」と返したそうです。気持ちは分からんでもないですが、1日1往復しかない鉄道を維持して何になるのかと。列車で新十津川に来た客が列車で帰ったとしたら、今のダイヤでの滞在時間は12分です。12分だったら駅や列車の写真を撮って、駅前のポニーと戯れていたらもう発車です。何の経済効果もないです。

 廃線後はJR北海道がバスを走らせてくれるわけで、おそらく滝川から新十津川経由で浦臼に伸びる1日5往復の北海道中央バスの路線を拡充するんだと思いますが、そちらの充実に注力したほうがよほど町民の利益になると思います。


 現在特急列車が走っているような幹線でもJR北海道が単独維持困難としている路線がいくつもあり、JR北海道は今後のあり方について沿線自治体と協議を開始したいとしています。

 私はJR北海道と沿線自治体が路線ごとに個別で協議して部分最適で進めるのではなく、道が前面に立って国や沿線自治体を巻き込んでネットワークとして道全体で考えて全体最適を目指すべきだと思います。もっとも、この期に及んでも富山出身で元経産官僚の落下傘知事は北海道の交通ネットワークの維持には関心が薄そうですが。