山田線振替乗車票
山田線は盛岡~宮古~釜石間を結ぶ路線です。そのうち海側の宮古~釜石間は東日本大震災で壊滅的な打撃を受け今も運休しています。昨年から復旧工事に着手し、復旧後は三陸鉄道に移管される予定です。
(快速リアス:山田線・区界)
一方、内陸区間の盛岡~宮古間も東日本大震災の影響で一時的に不通となったものの、1か月後には復旧しています。しかし、昨年12月に発生した松草~平津戸間の土砂崩れの影響で、現在も上米内~川内間が不通となっていて、盛岡~宮古間が直通できない状態が続いています。
もっとも、不通以前から盛岡・宮古間の都市間連絡は山田線よりも、岩手県北バスがほぼ同ルートを並走して運行する「106急行」の方が断然優位に立っています。
山田線 | 106急行 | |
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盛岡~宮古間の本数 | 4往復 | 17往復 |
最速所要時間 | 1時間59分 | 2時間15分 |
運賃(片道・無割引) | 1940円 | 2030円 |
盛岡始発/最終 | 11:08/19:06 | 5:45/20:45 |
宮古始発/最終 | 5:07/18:10 | 5:20/19:05 |
両者をありのままに比較してみます。赤字のところが優位な部分です。確かに山田線の方が優位に立っているファクターもありますが、いかんせん本数が少なすぎます。
(盛岡駅掲示)
今回の不通によって、山田線の上米内~川内間をまたぐ利用については有効な乗車券との引き換えで「106急行」への振替乗車票(以下「振替票」)が発行されることになりました。
盛岡駅の場合は在来線の改札で山田線に有効な乗車券を呈示し、振替票の交付を受けました。乗車券の着駅が山田線の場合、ここで回収されます。係員はなにやら台帳に記入してから、振替票の「盛岡駅長」のところに「代」と追記し、そこにシャチハタ印を押して渡しました。
振替乗車票はこのような常備軟券でした。乗車駅は有人駅のみで、降車駅は区界~宮古間の全駅が網羅されているかと思いきや、松草・箱石・腹帯の3駅は記載がありません。もともと利用が少ないから記載不要という判断なのかもしれません。
なお、注意書きの一番下にある「106スーパー特急」とは「106急行」の速達タイプのもので、東日本大震災前まで運行されていました。現在は「106急行」しか運行されていないので、なくてもいい注意書きです。
ところで、無人駅(のバス停)や有人駅の窓口閉鎖時間帯にバスに乗車する場合、この振替票は貰えません。その場合は自腹になってしまうのか少々気になっています。
(106急行の「ヒトものバス」)
不通当初は山田線が発車する便の時間帯のバスに限られていたようですが、ほどなくして便の制限はなくなったようです。利用客的には山田線が不通になって振替票を交付されることにより、本数が多い「106急行」が利用できるようになり、かえって便利になるという世にも奇妙な事象が続いています。
(←証拠物件)
ちなみにこの振替票はバス降車時に回収されますが、こうして手元に残って(残して)います。と言うのは、きっぷヲタとしてこの振替票をむざむざと料金箱に投入してしまうのはあまりに惜しいと思い、別にバスの運賃を支払いました。JR→岩手県北バスへの精算は振替票の発行数ベースなのか、バスでの回収数ベースなのか分かりませんが、二重に運賃を支払ったことは確かです。
不通区間の復旧工事は雪崩の危険性がある冬場は行わず、年が明けて春から再開しています。JRは復旧時期を明言していませんが、先日の河北新報の報道によると復旧は来年秋の見込みだそうです。なので、しばらくはこの振替票を見ることになりそうです。
ただ、振替票で使える「106急行」の便利さが広がって、そのうち山田線不要論が台頭してこないかが鉄ヲタとして心配なところです。