7月に入ってJR東日本の旅行部門である「びゅうプラザ」の店舗を2022年3月末で全店閉鎖するというニュースが流れました。ただし、JR東日本がプレスリリースなど公式な発表はまだ行っていません。
「びゅうプラザ」が全部なくなるというのは驚きでしたが、閉鎖はここ数年各地で絶え間なく続いていて、どこまで減るんだろうなと思っていました。私の生活圏でも八王子が今年5月に閉鎖し、町田・溝ノ口(武蔵溝ノ口)・平塚が8月末に閉鎖になります。
JR東日本の旅行部門であるという特性上、取り扱いエリアは東日本エリアが主体で、品ぞろえには限度がありました。それにかつては旅行会社で独占的に扱っていたホテルや航空券の予約は今はネットですべてできてしまうので、「びゅうプラザ」と言うより業界全体が苦戦している状況ではありました。
それゆえ、JR系に限らず旅行会社でもカウンター店舗は減っています。私の今の職場の港区六本木近辺からは旅行会社がことごとくなくなり、JR券を買うのに苦労しています。「びゅうプラザ」がなくなって困るなら駅前の旅行会社を使えばいいなんて寝言を世界発信している某ネットメディアの記事がありましたが、旅行会社ですら店舗を減らしているのが現状です。
この状況を見ると、平成13年に自社の旅行部門TiSをいち早く本体から切り離し、日本旅行に統合したJR西日本は慧眼だったと感じます。TiSから「日本旅行TiS」に生まれ変わった店舗はJR西日本エリアの商品が多いですが、日本旅行の仕入れルートを活かしてそれ以外の日本全国や海外旅行商品も取り扱っています。駅ナカという立地を生かし、取り扱い商品の幅が広がったことで店舗数も「びゅうプラザ」ほど減っていません。
JR東日本は「びゅうプラザ」を駅の管理下に移管し、10年くらい前から数年かけて駅のみどりの窓口と「びゅうプラザ」を一体化した造りに改装していました。これ自体は利用客には何のメリットもデメリットももたらさなかったと思いますが、改装してそんなに経たないのに閉鎖するのはもったいないなと感じました。
ただ、「びゅうプラザ」がなくなって困るかと問われると正直困らないですし、実際に何年も行ってません。「みどりの窓口」の大行列に耐えかねて、同じブース内で隣接するヒマそうな「びゅうプラザ」に行って「ここではJRのきっぷは売れない」と言われ追い返されことなら何度かありますが。社内事情を優先し、来た客を平気で追い返すプレイはこの会社以外では見たことがありません。
これらのきっぷは8月末で閉鎖になる「びゅうプラザ」の窓口で購入した旅行商品です。いずれもネットでは対応していない商品でした。
「びゅうプラザ」閉鎖後は旅行商品を扱わず訪日客対応などを行う「顧客接点型拠点」に移行していくんだそうです。この「顧客接点型拠点」とやらが既存のみどりの窓口や「びゅうプラザ」とどう違い、どういう方向を目指すのかよく分かりませんが、東京駅や新宿駅にある訪日旅行センターのような感じになるのかもしれません。ただ、昨今の迷走ぶりを見ていると数年したらまたコケるような気がします。何せ社内事情が最優先の会社ですから。