36ぷらす3(金の路)
◆種別:特急
◆区間:博多~長崎
昨年10月16日よりJR九州の12番目のD&S列車として特急「36ぷらす3」の運行が始まりました。この変な名前の由来は
世界で36番目に大きい島、九州全県を巡る「36ぷらす3」は、
5つのルートに、九州を楽しむ35のエピソードをぎゅーっと詰め込んで、お客さまをお迎えします。
ぜひ全ルート楽しんで、お客さまご自身に“36番目のエピソード”を語っていただきたい
そんな想いを込めました。
この列車で、驚き、感動、幸せをお届けし、「お客さま、地域の皆さま、私たち」でひとつになって、39(サンキュー!)=「感謝」
の輪を広げていきます。
だそうです。私は3回読んでみましたが、何が言いたいかよく理解できませんでした。結局のところインパクトのある名前にしたかっただけなんでしょ?という結論に落ち着きました。
車両は787系を改造した専用編成です。1~3号車はグリーン個室、4号車は座席のないマルチカー、5・6号車はグリーン車の座席です。全車グリーン席で普通席はありません。改造に際し車両番号は363に統一されています。 1~3号車と5・6号車の約半分は料理付きのパックツアーとして発売され、5・6号車の残り半分は座席のみで発売されます。
「36ぷらす3」は九州を5日間かけて反時計回りに一周します。月曜日ルートの「金の路」のみ博多~長崎間の往復運転となります。木曜日ルートの「赤の路」の八代~川内間は肥薩おれんじ鉄道を経由します。787系が営業列車として転換後の肥薩おれんじ鉄道区間を走るのは初めてのことです。
曜日 | 愛称 | 運転区間 | 停車駅 | おもてなし |
---|---|---|---|---|
木曜日ルート | 赤の路 | 博多→鹿児島中央 | 熊本 | 玉名・牛ノ浜 |
金曜日ルート | 黒の路 | 鹿児島中央→宮崎 | なし | 大隅大川原 |
土曜日ルート | 緑の路 | 宮崎空港→別府 | 宮崎・大分 | 延岡・宗太郎・重岡 |
日曜日ルート | 青の路 | 大分→博多 | 別府・小倉 | 杵築・中津 |
月曜日ルート | 金の路 | 博多~長崎(往復) | 佐賀 | 肥前浜(下りのみ) |
観光列車なので途中駅で停車時間を利用したおもてなしがあります。客扱いを行う停車駅は最小限に絞られ、出入りが激しくならないような工夫もあります。
また、「36ぷらす3」には専用のグリーン料金が設定されました。JR九州内の在来線のグリーン料金を以下に比較してみます。
100Kmまで | 150Kmまで | 200Kmまで | 201Km以上 | |
---|---|---|---|---|
グリーン料金 | 1,050円 | 1,600円 | 2,570円 | |
DXグリーン料金 | 1,680円 | 2,720円 | 3,770円 | |
グリーン個室料金 | 2,100円 | 3,200円 | 5,140円 | |
36ぷらす3専用 グリーン料金 |
3,300円 | 4,300円 | 5,300円 |
座席ですがDXグリーン料金やグリーン個室料金より高いです。しかも、短距離の利用を防ぐためか、100Km以内の設定がありません。さらに、博多~宮崎空港間で特急列車を利用し、大分駅で乗り継ぐ場合は特急・グリーン料金の通算ができる特例がありますが、「36ぷらす3」利用の場合は特例から除外されます。料金面でもかなり特別扱いされた列車です。
特急券の購入はネット予約のほか全国のみどりの窓口でもできますが、「赤の路」の熊本~鹿児島中央間を含む場合は肥薩おれんじ鉄道との連絡運輸の関係からか、JR九州以外での購入はできません。

私が利用した「36ぷらす3」の特急券です。列車名に「金の路」とは入らず、どの列車でも列車名は「36ぷらす3」としかなりません。グリーン席プランとして発売されるのは5・6号車のわずか29席です。ネット予約ではシートマップ機能も利用できるので、とにかく海側を確保した方が車中は楽しめると思います。
個室ではない座席のグリーン席なので、見ての通り株主優待割引も利用できます。JR九州のネット予約では安くならないので、安く乗ってみたい場合には一考です。ネット予約で株主優待割引を適用させるには、受け取り前に窓口に申し出る必要があります。私はこの手順を間違えたために、発券時にちょっと面倒くさいことになりました。
もともとの787系の艶消しっぽいグレーの塗装から、黒い光沢のある塗装に変わりました。ライトの周りは金で装飾されていて「ななつ星」の機関車のDF200-7000みたいです。車両を見たときは787系に「ななつ星」の塗装や装飾を施したんだなと思いました。デビューしたばかりというのもありますが、顔が写るぐらいピカピカで、少しでも汚れるとかなり目立ってしまいます。
5・6号車の座席はどちらも同じです。配置は2-1列です。モケットこそ異なりますが800系新幹線の座席に酷似しています。座り心地も似たようなもので、グリーン席っぽさはあまり感じませんでした。中央のひじ掛けにはコンセントが用意され、電源問題では困らないようになっています。
窓は手前の障子と奥のすだれを組み合わせた二重構造で初めて見る造りです。手前の障子があるため全開にはできませんが、組み合わせることで眩しい日差しをうまくコントロールでき、案外悪くないなと思いました。
5号車と6号車の違いですが、5号車の床は普通の板張りなのに対し、6号車は畳敷きで客室に入る際は靴を脱ぐ必要があります(下駄箱はあります)。両方乗ってみた感じとしては靴が脱げる分6号車の方がくつろげます。
4号車はマルチカーという誰でも利用できるフリースペースです。車内イベントもここで行われます。この車両が787系であるという雰囲気を微塵も感じさせません。よくここまで改造したなと感心しました。
3号車はビュッフェです。軽食や飲み物、グッズを販売しています。2号車寄りには2人用個室もあります。
3号車の車両は「つばめ」として運転されていた頃はサハシ787-2としてビュッフェとして使用されましたが、2004(平成16)年3月の九州新幹線新八代開業で「リレーつばめ」に転用される際に編成の定員を増やすために普通車に改造されサハ787-202となりました。それが再度改造され16年ぶりにこうしてビュッフェに戻ってグリーン車化されたため、車番はサロシ786-363となる数奇な運命を辿っています。楕円形のドーム型の天井が特徴的です。
途中の長崎線・肥前浜駅では地元のおもてなしとして、特産品の販売や利き酒、地元の観光団体の人が街並みガイドとして肥前浜宿を案内してくれるツアーもありました。私は電車の写真を撮っていて出遅れたのでツアーには参加しませんでしたが、少々お土産を買って帰りました。
博多~長崎間は特急「かもめ」で2時間弱のところを「36ぷらす3」は5時間近くかけて走ります。佐賀駅の13分、肥前浜駅の50分の他に後続列車の待避や交換列車待ちなどの運転停車も多数ありました。乗車中さほど退屈はしませんでしたが、5分10分のまとまった停車時間があれば、ドア開放してもらえると外の空気が吸えてよかったのにと感じました。
ところで、来年秋の長崎新幹線暫定開業(武雄温泉~長崎間)に伴い、長崎線・肥前鹿島~諫早間は電化設備を撤去し、非電化となる予定です。そうなると、こうして電車特急が乗り入れることもできなくなります。「36ぷらす3」はそれ以降も走り続けるでしょうが、長崎発着の「金の路」だけは早めに乗っておいた方がいいと思います。
ちなみに「36ぷらす3」は今日3月6日で100回目の運転を迎えるそうです。3月6日での達成は単なる偶然でしょうか?
【補足:2022/5/21】
博多~長崎間の「36ぷらす3」は9月19日での運転終了が発表されました。